かつて地震が起きた現場「破砕帯」

Rinoue125R

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最近よく聞く「破砕帯」って何?

活断層が動く時には、とんでもない力が掛かる。だから、断層のがずれ動く面の岩盤は破壊されて岩屑になる。活断層の境目にサンドイッチされたグジャグジャに砕かれた石や岩の層が破砕帯と呼ばれるもの。

丹那断層。中央のタグが付いている場所が1930年の北伊豆地震で動いた断層面。左側の岩盤が割れたり、土になったりしているのがわかる。
丹那断層。中央のタグが付いている場所が1930年の北伊豆地震で動いた断層面。左側の岩盤が割れたり、土になったりしているのがわかる。

破砕帯の厚さや長さはさまざまだが、そこがかつて地震による断層活動(正確には地震=断層の動き)で動いた場所であることに違いない。

ということは、何年前か、何万年前かは分からないが、少なくとも過去に一度は、破砕帯の両側の岩盤に、断層ができるか、断層がずれるかするくらい大きな力が掛かったことを示している。今後、同様の力が岩盤に加わった場合、同じ破砕帯が再びずれる(つまり断層活動=地震が発生する)可能性は十分に考えられる。

破砕帯の岩屑がしっかり固着して岩と同じ強度になるくらい古い場合でも、過去にその場所に地震を発生させるほどの力のひずみがあった事実に変わりはない。

(なんらかの作用で時間経過とともに破砕帯が固化したとしても、まわりの岩盤と同じ強度・弾性になることは考えにくい)

活断層がいつ動くのかを予測するのはかなり難しいと言われる。明日動くかもしれないし、10万年後かもしれない。活断層が引き起こす地震にどう対処するか考える時には、人それぞれの「時間の尺度」が問われることになりそうだ。

いつ動くか分からないが、かつて地震を起こした現場そのものである破砕帯の話題にひとつ付け加えておきたいことがある。

それはフィンランドの高レベル放射性廃棄物を長期保管する地層処分場「オンカロ」のこと。この施設は高レベル核廃棄物が生物に無害になるまでの10万年間、密閉保管されるという。

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文●井上良太

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