10万年という時間のリアル

Rinoue125R

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地底深くで放射性廃棄物が眠る、10万年という時間

これから夏に向けて美しさをましていく天の川、銀河系は私たちの太陽系が含まれる銀河です。その直径は差し渡し10万光年。光の速さで走っていって10万年かかる距離。

ちなみに宇宙戦艦ヤマトがコスモクリーナーを求めて飛んで行ったイスカンダル星は、銀河系のすぐ近くをうろついている伴銀河・大マゼラン雲にあって、そこまではだいたい15万光年。銀河の直径よりもちょっと遠いところってことになります。(要するにコスモクリーナーを持って帰っても、そこは30万年後の地球ってこと)

▼以前、宮城県多賀城市総務部地域コミュニティ課・吉田学さんが、多賀城市のガレキの量について、こんなたとえをしてくれました。

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人口6万3000人の多賀城市のガレキの量は、44万立方メートル。どれくらいの量だか想像できますか? こんな時によく使われる東京ドーム何杯分という単位ではきっとイメージできないと思うので、もっと身近なもので計ってみました。皆さんがご飯を食べるお茶碗で計算すると、44万立米は10億杯です。この量のご飯を1人で三食たべ続けたとして、全部たいらげるまでには91万3000年かかることになります。

毎日ひとりで食べ続けるのはちょっとさみしいので、家族4人で毎食2杯食べ続けたとしたら、多賀城市のがれきと同じ量のご飯を食べ終わるのにかかる時間も、ほぼ10万年。

たとえをいろいろ考えてみたけれど、どうもピンとこない、10万年という時間。

オンカロで核廃棄物が無害化するまでの10万年

フィンランドに建設中の放射性物質の地層処理施設「オンカロ」。映画やテレビで紹介される機会が増えているから、ご存知の方も少なくないでしょう。オンカロはフィンランド国内の原子力発電所から出た核のゴミが無害化するまでの間、安定した深い地底で長期保管するための施設です。

この施設建設にあたって、核廃棄物が生物にとって無害化する年数として設定された時間も、10万年。

世界史で習った四大文明でさえ、現在から5、6000年遡ることができるだけ。10万年前というと現世人類クロマニヨン人はまだ現れておらず、ネアンデルタール人たちの時代だったそうです。

東日本大震災からの復興にも、原子力発電所の最稼働問題にも関連する、10万年という数字、実感する方法をご存知の方がいらっしゃたら、ぜひ教えていただきたいと思うのです。

10万年という時間のリアルを。

オンカロで核廃棄物が無害化するまでの年数は、映画では10万年、先日放映されたNHKのテレビ番組では25万年、さらに国によっては想定が異なっており、アメリカやフランスでは100万年と言われています。

100万年前って、ようやくジャワ原人が直立二足歩行した時代ですよ。それと同じ時間を、人類は核のゴミを持ち続けて、どうやって生きて行くのでしょうか。

文●井上良太

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