赤土の土手の切り欠きから見えた横断幕に記されていた言葉。それは——
想いを一つに「釜石の復興のシンボル」を築く!
半年ほど前までは、ラグビーワールドカップという言葉はおろか、ラグビー競技場という施設名すら掲げられることのない、ややさみし気な造成工事現場だった場所に、メインスタンドらしき建物が現れ、「釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)」との看板が掲げられた。
ところが、道路側には高い土手が築かれていて、スタジアムの全体を見渡すことがなかなかできない。うろうろしていると、鵜住居駅方面からの仮設道路の誘導員をしているガードマンさんが、「そこの櫓に登ればよく見えるよ」と教えてくれた。
足場を組んで作られた櫓の入口には檻のようなドアがあって、閂が掛かっている。「入ってもいいんですか」と尋ねると、「ああ、狭いから頭に気をつけてね」
4層だから約20メートルくらいの櫓の上からは、ガードマンさんの言葉のとおり、工事中のスタジアムが展望できた。
目に見えて工事が進展しているのは、正面のスタンドくらい。グラウンドはおそらく排水用の設備の工事が行われている最中か。
スタンドに掲げられた横断幕を覗き見た土手の切れ込みには、入口のスロープや土止め施行が行われている。こちら側の観客席は土盛り構造になるらしい。
ずっと気になっていた競技場の工事を、高いところから展望できていい気分だ。降り掛かってくる雪も気にならない。
さらに振り返ると、鵜住居川の中州の辺りには無数の鳥たち。カモやサギ、トビにまじってハクチョウの姿も見えた。
いい景色を見せてもらえたのはガードマンさんのおかげ。
想いを一つに「釜石の復興のシンボル」を築く!
その言葉はゼネコンが掲げたスローガンには違いないが、スタジアム建設に携わる多くの人たちの共通する「想い」であることも間違いない。
完成予定は今年7月。これからも時々立ち寄りたい。
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