被災地だからこその新しい花言葉をつくろう

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花言葉ってどのようにでき上がったのか? 誰かが決めたことなのか? 決まったのだとしたらどのようにして?

誕生花と花言葉を組み合わせることもすっかり定着した。何月何日の誕生花は何それ。で、その花の花言葉はうんぬんかんぬん。だからあなたの性格は……。なんて真っすぐ見つめながら言われたりするとドキリとする。かんたんに信じるわけではないが、といって信じないだけの確かな根拠があるわけでもない。血液型占いとか誕生日占いみたいなものに連なるなにかのようにも思えてくる。

しかし、花言葉の神秘性は占いにつながるものというよりは、ことばのもつ不思議さをあらわすものと考えたほうがよさそうだ。この世に花言葉を広めたのが誰なのかとか、誕生花の生みの親が誰なのかといった話は、他の書籍やサイトにゆずって、ここでは花言葉がどんなものなのかを具体的に見てみる。たとえば、「美しい花言葉・花図鑑」(二宮孝嗣著 ナツメ社)には、こんな花言葉が記されている。

先月、中心商業エリアにオープンした「みつわ飯店」。普通盛りでも大盛りの麺類やカツカレーは陸前高田のソウルフードとも言うべきもの。その店先にもシロツメクサの群落が広がる
先月、中心商業エリアにオープンした「みつわ飯店」。普通盛りでも大盛りの麺類やカツカレーは陸前高田のソウルフードとも言うべきもの。その店先にもシロツメクサの群落が広がる

世界中に知られる花言葉を持つ
クローバー
*花言葉*
四つ葉/幸福 私のものになってください
白/約束 私を思ってください
赤/実直 勤勉

四つ葉は幸福のシンボルとして有名ですが、三つ葉は、愛情、希望、信仰のシンボルとされ、キリスト教では父と子、それに精霊の三位一体の象徴とされています。西暦432年頃にアイルランドを訪れた聖パトリックが、クローバーの葉を使い三位一体の説明をし、同時にさまざまな規制期を起こしたことからアイルランドの国花となりました。「約束」の花言葉は、この故事に由来しています。

「美しい花言葉・花図鑑」(二宮孝嗣著 ナツメ社)p.33

なるほど、三つ葉は三位一体の聖なる象徴。四つ葉はさらに一枚加わるから幸福のシンボルということなのか。二宮さんの同じ本にはこんな花言葉の解説もある。

小さくてもソラマメの仲間
カラスノエンドウ(烏野豌豆)
*花言葉*
小さな恋人たち 喜びの訪れ

すっかり日本になついてしまった帰化植物の一つです。熟しかけのサヤを半分に折り、中身を爪で取り除いて草笛にして遊んだ思い出がある方も多いのではないでしょうか。ソラマメの仲間なので若葉や豆は食用にもなります。花言葉は、早春に小さな花をいっぱい咲かせ、葉先から出ている巻きヒゲで、互いにからみあう愛らしい様子からつきました。

「美しい花言葉・花図鑑」(二宮孝嗣著 ナツメ社)p.24

花言葉は、19世紀のフランスでシャルロット・ド・ラトゥールが花言葉についての著作をあらわすよりもずっと前から、花にまつわる物語(もちろん神話や伝説なども含む)や花の姿から着想されたイメージを凝縮させたものとして人々の間にあったと考えたほうがいいだろう。

たとえば「ドクダミ」の名が「毒や痛みなど十の症状に効果があるハーブ」という意味から来ていたり、「ワレモコウ」が「地味な茶色な花なれど、吾も紅の花のひとつと主張している」という物語に由来するとの説があるというのも同じこと。

野に咲き乱れる多くの草花のそれぞれを愛でる気持ちが、それぞれを固有の名で呼ぶことにつながり、草花と人との間での言葉のやり取りの過程で幾多の物語が生まれていった。物語は淘汰されたりエンパワーされたりしながら、あるものはその植物の名を示すのに採用される。またあるものは、花言葉として草花にまつわる物語を伝えてきた。

ああ、それらならば、私たちが新しく花の言葉を提案してもいいわけだ。提案することを禁じるものなどないわけだ。

たとえば、陸前高田のシンボルロードに植えられたハナミズキ。ハナミズキの花言葉には「返礼」「お世話になった人へのお礼」というのがあるらしい。

でも、陸前高田の、津波から避難することを伝えていく道に植えられたハナミズキには別の花言葉を宛ててもいいのではないか。「悲しみをくり返さない」「みんなを守るために伝えられる花」「まちのシンボル」などなど。

たとえば、高台につくられた公園のリラ(ライラック)。リラにもたくさんの花言葉が伝えられている。「青春」「愛」「友情」などなど。でも、大災害からの復活を期して高台につくられた新しいまちのシンボルとして植えられたのであれば、このまちならでは花言葉があってもいいだろう。

花咲く春を待ち望む人のこころ。春の花を咲かそうと花壇の世話を続けてきた人たちのこころ。花に託すおもい。被災地に咲く花にこめられたおもいを結晶することができたら、そこからあたらしい物語がはじまるのではないか。

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