【三島探訪】街中にある富士の湧水地 ~柿田川湧水群~

sKenji

公開:

2 なるほど
2,222 VIEW
2 コメント

筆者の職場がある静岡県三島市。三島駅の周辺にはお店や住宅が立ち並んでいる。駅の改札をでて目にする光景は、他の街との違いをそれほど感じないかもしれない。しかし、駅から少しを歩いてみると、水に恵まれた街であることに気づく。水の街・三島とその近郊の魅力をご紹介します。

柿田川湧水群について

東洋一の湧水量を誇る「柿田川湧水群」は、静岡県の清水町にある。同町はその中心に伊豆を代表する河川・狩野川が流れ、水に恵まれている。三島市にも隣接しており、三島駅から柿田川湧水群までは直線距離にして約2㎞と近い。

湧水群では数十カ所から水が湧き出ており、その量は一日当たり約100万トン。これは25mプールに換算すると約2000杯になる。同湧水群一帯は柿田川公園として整備されており「名水百選」、「二一世紀に残したい日本の自然百選」にも選ばれている。

湧水は、約40㎞離れた富士山東斜面に降った雨や雪が数か月から数十年かけてこの場所に湧出している。水温は年間を通して約15度と冷たく、透き通るように澄んでいる。湧き出た水は日本一短い一級河川・柿田川となって狩野川に合流し、駿河湾へと注いでいる。

今でこそ美しい同湧水群であるが、一時期、水質が悪かった時もあったとのことである。大正時代、柿田川湧水群付近には、その豊富な水を求めて紡織・製紙企業が進出した。戦後になるとさらに工場建設、リゾート・住宅開発は進み、1960年頃から湧水量の減少、水質悪化などが生じた。そのため1980年代から環境保全に取り組んだ結果、水質が改善されて現在に至っている。

柿田川公園の魅力

柿田川湧水群がある柿田川公園には、驚くべき魅力が少なくとも2つはある。
一つ目は水の綺麗さ。湧き出る水は透き通り、まるでクリスタルのようである。水質も大変良好でそのままでも飲用できるという。

同公園には複数の展望台や散策路があり、湧き水や清らかな川を見ることができる。なかでも特筆すべきは、第二展望台にある湧き水の色である。同展望台の真下には直径およそ3m、深さは3~4mほどの巨大な井戸のような場所があり、底の砂を巻き上げて大量の水を湧出している。その色は濃いアクアマリンのようで、初めて見た瞬間には思わず感嘆の声を出してしまいそうになる。実際、私は「オォー」と驚きの声をあげた。他にも同様に声に出してしまっている人も少なくなかった。

第二展望台の青の湧水を見るだけでも、同公園を訪れる価値は十分にある。

川底の砂地がくっきりと見える。第一展望台から柿田川源流部を撮影。
川底の砂地がくっきりと見える。第一展望台から柿田川源流部を撮影。
川では子供たちが水遊びをしていた。柿田川公園内の散策路から柿田川を撮影
川では子供たちが水遊びをしていた。柿田川公園内の散策路から柿田川を撮影
「オォー」っとうなった第二展望台の湧水。初めて見た時は、その色に思わず感嘆の声をあげてしまわずにはいられない。底の砂地を巻き上げて大量の水が湧き出ている
「オォー」っとうなった第二展望台の湧水。初めて見た時は、その色に思わず感嘆の声をあげてしまわずにはいられない。底の砂地を巻き上げて大量の水が湧き出ている

2つ目の魅力は「自然の濃さ」である。人里離れた山奥にでも行けば、豊かな自然は珍しいものではない。しかし、柿田川公園は住宅街や工場などの中にあるのだ。公園正面入口の前には、片側2車線(右折レーンも含めれば3車線)の国道1号線が通っており、多くのトラックや乗用車などがひっきりなしに行きかっている。

そのような場所にも関わらず、同公園は緑で溢れている。特に散策路は街中の公園とは思えないレベルであり、野性味にあふれている。目隠しをされて散策路に連れて来られたら、いったいどこの山奥の森の中だろうと勘違いしても不思議ではない。

動植物の生態系も豊かである。哺乳類、両生類はもちろんのこと、21種の水生植物、アユなどの魚類、ゲンジボタルなどの昆虫、色の美しさから宝石にも形容されるカワセミなどの鳥類も生息している。なかでも、渓流にすむ魚であるアマゴまでいることには驚いた。柿田川公園の自然の懐は深く、多くの人に癒しを届けてくれている。

散策路にて撮影。散策路は野性味に溢れ、鬱蒼と生い茂る森の中にいるようである
散策路にて撮影。散策路は野性味に溢れ、鬱蒼と生い茂る森の中にいるようである
第一展望台から柿田川源流部を撮影。この場所から20~30mのところには国道1号線が走っているものの、まったくそれを感じさせない
第一展望台から柿田川源流部を撮影。この場所から20~30mのところには国道1号線が走っているものの、まったくそれを感じさせない

徳川家康公も愛した柿田川湧水群

徳川幕府を開いた家康公。晩年は大御所として政治の実権を握りながら駿府(現在の静岡市)で過ごしたことは有名である。

しかし、家康公が柿田川湧水群を大変気に入り、最晩年の憩いの地にしようと考えていたことは、それほど知られていないかもしれない。

同公園内に設置されている説明版によると、柿田川湧水群にはもともと戦国時代(15~16世紀)に泉頭城(いずみがしらじょう)と呼ばれる城が築かれていた。同湧水群にある川や地形などを活かした東西400m、南北500mの城郭であったという。

しかし、豊臣秀吉の小田原征伐の際、当時の城主である後北条氏は、韮山城と山中城に兵力を集中して守りを固めることを決め、泉頭城を破壊してしまった。

それから25年後、駿府にいた家康公がこの地を気に入り、泉頭城跡に隠居御殿の城を造るよう命じたという。ところが、その家康公が翌年に没したことから、造営は取りやめになったとのことである。

徳川家康公は、柿田川湧水群を最期の地として考えていたのだろうか。同湧水群は時の権力者が最晩年の棲家にしたいと惚れ込んでしまうほどの場所である。

訪れてみて、初めて魅力がわかる柿田川湧水群

以前千葉県に住んでいた時、よく知っている近所のおばさんが静岡県東部を通る際には、たびたび柿田川公園を訪れていた。

当時、「水の美しさと緑に癒される」と聞いてはいたものの、それを理解することができなかった。しかし、実際に訪れた今、あの時の言葉に心から共感することができる。

柿田川公園

参考WEBサイト

 柿田川湧水群|清水町商工会
www.kakitagawa.or.jp  
 静岡県清水町公式ホームページ
www.town.shimizu.shizuoka.jp  
 環境省選定 名水百選/詳細ページ
www2.env.go.jp  
 アマゴ | WEB魚図鑑
zukan.com  
 平成24年度水環境をかたる会
www1.kcn.ne.jp  

Text & Photo:sKenji

最終更新:

コメント(2

あなたもコメントしてみませんか?

すでにアカウントをお持ちの方はログイン

  • O

    onagawa986

    湧水のコバルトブルー!美しいですね~この公園なら涼を楽しむのにもってこいですね!湧水って近くには無いですね…富士山の恵み・静岡ならではなんでしょうね!行ってみたい!!

    • S

      sKenji

      まるで宝石のような色で、実際に見たらびっくりすると思いますよ!
      豊かな水や緑により、清涼感を感じることができる公園ですので、特に夏にはおすすめです♪