7月21日は海の日。海水浴シーズンがいよいよ到来する。
多くの人で賑わう海水浴場。しかし、毎年のように事故も発生している。海上保安庁の資料によると昨年度、海で事故にあった人は284名おり、そのうち死者・行方不明者は106名。事故原因の内訳をみると、離岸流によるものと考えられる人が51人もいる。毎年多くの水難事故を引き起こしている離岸流について書きたいと思う。
離岸流とは
離岸流とはいったいどのようなものなのか。
漢字からある程度察しがつくかもしれない。簡単に言ってしまうと「岸から沖への海水の流れ」のことである。
海岸では沖から岸へと波が次から次へと寄せてくる。一見、海水の流れは沖から岸への一方通行のようにも見えるが、それでは波打ち際はどんどん上昇し続けることになる。当然、打ち寄せてきた海水はどこかで海へと戻っている。この戻る海水が集中することによってできる流れが離岸流である。
離岸流による水難事故のパターン
離岸流の規模、速さについては一概には言えないものの、おおむね幅は10~30m、長さは数十~数百mと言われている。速さは秒速2mを超える場合もあるという。これは時速に換算すると7.2kmとなり、オリンピックの自由形競泳選手が泳ぐスピードとほぼ同じである。
つまり、一度速い離岸流につかまってしまうと、人間の泳力では流れに逆らって岸へと戻ることはできないことを意味している。
離岸流による典型的な水難事故は、離岸流に乗ってしまった人が流れに逆らい岸に向かって泳ぐものの、岸に近づくことができずに力尽きてしまうケースが多いと言われている。
離岸流が発生しやすい場所
離岸流は決して珍しい潮流ではなく、どの海岸でも発生する可能性がある。なかでも
・海岸が外洋に面しているところ
・遠浅で、海岸線が長いところ
・波が海岸に対して直角に入る
といった条件を満たしている海岸では特におこりやすいと言われており、次のような場所で発生する可能性が高い。
・消波ブロックなどの離岸堤の端付近
・防波堤などの突堤沿い
・砂浜が削られている場所
・岬沿い
離岸流に乗ってしまったときは・・・
万が一、離岸流に乗ってしまった場合「まずは、岸と並行に泳ぐ」ことが重要である。離岸流の流れのなかで、岸へ向かって泳ぐことは厳禁である。前述のとおり離岸流は速く、流れに逆らうことは大変難しい。
そのため、まず離岸流から抜け出すために岸と並行に泳ぐ。この時、実際には沖にも流されながら、岸辺と並行に泳ぐことになるだろう。川で泳ぐ際のことを想像してほしい。流れのある川で川岸を目指しても、下流に流されながら岸に近づいていく。離岸流も同じである。焦らずに沖に流されながら岸と並行に泳げばいい。
そして、離岸流から抜け出したところで、岸を目指して泳ぐ。
ちなみに、沖に行けば行くほど泳いでいても進み具合を実感することができないかもしれない。これは近くに目標物がないためにそのように感じるだけであって、潮流、波、風に対して逆らっていない限り、実際には進んでいる。
離岸流の幅は広くても約30m
離岸流から逃れる際に大切なことは「焦らず、自分を落ち着かせること」とよく言われる。ただ、そうは言っても海でぽつんとひとり沖に流されていくのは大変心細く、強い不安を感じるものである。私も趣味のウインドサーフィンを始めた頃に何度か風によってかなり沖まで流されたことがあるのでよくわかる。
そのようなときは、離岸流の幅は広いもので30mほどであることを思い出してほしい。25mプールほどの距離を泳げば、流れから抜け出すことができる。
参考WEBサイト
Text:sKenji
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