毛越寺(もうつうじ)
毛越寺は、中尊寺の表参道入口から南へ1.5㎞ほど行った場所にあります。中尊寺と並び、平泉を代表する観光名所です。毛越寺について、お寺の公式WEBサイトからの引用です。
毛越寺は慈覚大師円仁が開山し、藤原氏二代基衡(もとひら)から三代秀衡(ひでひら)の時代に多くの伽藍が造営されました。往時には堂塔40僧坊500を数え、中尊寺をしのぐほどの規模と華麗さであったといわれています。奥州藤原氏滅亡後、度重なる災禍に遭いすべての建物が焼失したが、現在大泉が池を中心とする浄土庭園と平安時代の伽藍遺構がほぼ完全な状態で保存されており、国の特別史跡・特別名勝の二重の指定を受けています。 平成元年、平安様式の新本堂が建立されました。
中尊寺が木々生い茂る丘の上にあり、歴史の重みを感じるのに対して、毛越寺は平地にあり、開放的な印象を受けるお寺です。大きな池を中心とした美しい庭園が特徴的です。この庭園は、仏の世界すなわち浄土を地上に表現したと言われています。
池の東北側には、遣水(やりみず)と呼ばれる池に水を引き入れるために人工的に作られた小川があります。
平安時代の唯一の遺構で、全国的にも極めて珍しいものだそうです。新緑の頃になると、この遣水の上流から杯を流し、その杯が自分の前を通り過ぎる前に詩歌を詠んで、杯の酒を飲み、再び下流に流す「 曲水(ごくすい)の宴」が開催されています。平安貴族の生活を今に伝える雅な行事です。池と遣水が織りなす美しい庭園を見ていると、優雅な平安貴族を想像せずにはいられないと思います。
毛越寺の敷地の隣には、世界遺産である「観自在王院跡(かんじざいおういんあと)」 があります。入場は自由で、まるで公園のようです。毛越寺とセットで見て回るといいと思います。
無量光院跡(むりょうこういんあと)
無量光院跡について、以下、社団法人 平泉観光協会のWEBサイトからの引用です。
■平等院鳳凰堂を模した壮大な寺院
三代秀衡公が、宇治平等院の鳳凰堂を模して建立した寺院跡。調査の結果、阿弥陀堂の柱間や翼廊の左右が鳳凰堂より大きく、平等院を超えようとした意欲が感じられます。建物の中心線は西の金鶏山と結ばれており、その稜線上に沈む夕日に極楽浄土をイメージした、浄土庭園の最高傑作といわれています。
http://hiraizumi.or.jp/sightseeing/muryokouin/index.html
無量光院跡は、毛越寺の付属寺院でしたが、発掘調査によると毛越寺よりもひとまわり大きかったことがわかっています。平等院鳳凰堂を参考にして作られましたが、池に配置された中島は、鳳凰堂には見られないものです。
名称の通り、建物自体は残っていませんが、特徴的な跡地から当時の建物の配置をイメージしやすく、想像力がかき立てられる旧跡です。
観自在王院跡と同様に、入場は自由でいつでも見学することができます。
高館(たかだち)
高館は、北上川を望む小高い丘陵の上にあります。世界遺産ではありませんが、歴史好きには外せない場所です。この場所は、あの源義経終焉の地と言われています。兄、頼朝に追われた義経は、藤原氏3代秀衡により、この高館に居館を与えられて住んでいました。しかし、頼朝の圧迫に耐えかねた藤原氏4代泰衡の急襲にあって、この地で妻子とともに自害したと伝えられています。また、高館は俳句好きの方にとっても見逃せない場所でもあります。
「夏草や つわものどもが 夢の跡」
ご存知の方も多いかもしれませんが、松尾芭蕉の句です。
昔、中学校の授業で初めてこの句を知って以来、個人的にも大変好きな十七文字です。
短い文にもかからず、情景が鮮やかに浮かびあがってきます。この名句は、義経の死から500年後に高館を訪れた芭蕉が、藤原氏の栄華とこの地で最期を迎えた義経に想いを巡らせながら、眼下に広がる光景を見て詠んだものです。
芭蕉と同じ場所に立ち、同じ光景を見た時には、きっと感慨深いものがあると思います。
達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう)
達谷窟毘沙門堂は、毛越寺から西へ約5㎞、車で10分ほど行った場所にあります。お堂は断崖を削った場所に建てられており、1200年の歴史を誇っています。
桓武天皇の命により、蝦夷征伐で訪れた坂上田村麻呂が、この地にいた蝦夷に勝利した後、京の清水の舞台をまねて作ったと言われています。
中尊寺から少し距離はありますが、懸崖造りという特徴的な作りのお堂は一見の価値が十分にあります。また、お堂の脇の断崖には「岩面大佛」(磨崖仏)と呼ばれる大きな仏像が彫られており、こちらも貴重な大仏です。
達谷窟毘沙門堂
平泉観光のあとに
平泉観光の後、私は陸前高田に行き、仙台まで海沿いを南下しました。
平泉から東北の太平洋岸までは思いのほか近く、陸前高田までは車でおよそ1時間半でした。途中に渋滞や信号はほとんどなく、地図上での距離より近くに感じます。
電車でも一関から1時間20分ほどで気仙沼まで出ることができ、平泉に来たならば、太平洋岸に抜けて、海沿いに南下や北上するのもおすすめです。世界三大漁場の三陸沖でとれる海の幸や松島など、見どころも多いです。
※冬は雪のために、より時間がかかることが予想されます。
<「東北の名所案内 Vol.3 ~みちのくの理想郷・平泉」 終わり>
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji
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