海辺に広がる野原に被災した学校が残っていた。宮城県東松島市野蒜地区の鳴瀬第二中学校。
2013年7月16日。野蒜地区を訪れる。被災したものはほとんど取り除かれ、津波で壊された校舎だけが残っていた。
海が目と鼻の先あり、海岸には砂浜と松林。
自然が豊かで奥松島の島々にも近く、震災前は、きっと、風光明媚な場所だったに違いない。
学校という場所柄、震災前の活気に満ちた校舎をイメージしてしまう。
目の前にある津波の爪痕とのギャップを感じると同時に、震災当日、この場所であったであろう出来事を想像してしまい、いたたまれなくなる。
約半年前にこの場所を訪れた人に聞いた話だと、当時は、被災した物も一部残っていたという。
写真を載せるべきか、載せないべきか。
とても難しい。ただ、年月が経ち、震災の記憶が薄らいできている今だからこそ、あえて、写真を載せ、文章を書いた方がいいのだろうかとも思っている。
鳴瀬第二中学校を後にする際に、校門で一匹のスズメが死んでいるのに気付いた。震災前ならば、生徒が埋葬してくれていたかもしれない。
誰もいない雑草の生えた学校で、スズメの亡骸がポツンとある光景が、忘れられない。
鳴瀬第二中学校
Text & Photo:sKenji
(※)写真:井上良太(2012年11月16日撮影)
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