震災記録写真(2013年7月15日) ~閖上地区~

sKenji

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日和山

草が生い茂る広野に、ポツンと盛られたような小さな丘がある。宮城県名取市閖上地区、日和山。この丘は、昔、漁師が漁をする際に天候、海の状態を見るために作られた丘だと聞いた。

日和山の上から
日和山の上から

天気は曇り空。風が強い。

夏だというのに、半袖では肌寒かった。

東日本大震災以前、日和山の周りは住宅地だった。しかし、今、この丘の上から見える光景は荒涼としている。

元々、丘の上には神社があったのだが、津波で流されたとのことだった。津波は高さ6.3mの日和山の頂上よりも、さらに2m以上の高い位置まで襲ってきたらしい。
当時、この丘に避難してきた人もいたらしいが、津波の犠牲になった。

今、丘の上には、再建された神社と卒塔婆がある。建て直された神社の賽銭箱は、壊されてお賽銭が盗まれたという。日和山の付近に家庭ゴミを捨てていく輩もいるらしい。お賽銭を盗み、ゴミを捨てていく彼らの目には、この高台からの光景がどのように映るのだろう。

被災した物は、ほぼ取り除かれているようだが、地元の方の話だと、復興に向けての動きが遅いということだった。

1年後、日和山から見える光景に変化はあるのだろうか。広がる野原の向こう側には、仙台の高層ビル群が見えた

この先もずっと・・・

日和山を後にして、閖上地区を見て回る。

広範囲にわたり、津波の被害を受けていた。橋や道路のほとんどは、まだ壊れたままだった。

雑草が生い茂っている一画に花が供えられていた。近づいてみると、花とともにゴルフボールがひとつ置かれていた。すぐ脇には途中で消えてしまった線香があった。

ゴルフ好きの方だったのだろうか。

ボールを置いたのは、ご家族の方なのだろうか。

どのような想い出とともに、ここにこのボールを置いていったのだろうか。

供えられていた花やゴルフボールは新しい。恐らく、最近来られたのだろう。

どれほど時間がたっても、どれほど復興が進んでも、ボールを供えた方は、この先も終わることなく、花とゴルフボールを手向けつづけるのかもしれない。

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日和山

Text & Photo:sKenji

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