スパムおにぎり - 沖縄、小笠原諸島【島の郷土料理】

tanoshimasan

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郷土料理。素朴で目立たず、だけど、うまい。地域おこしのために誕生する「ご当地グルメ」とはちょっと違う。昔から存在して、どこの家庭でも作られる料理。

スパムおにぎり 

 スパムおにぎりをご存知でしょうか。人によっては「スパムむすび」、「ポークおにぎり」と言った方がイメージできるかも知れません。

 これは、アメリカで普及したランチョンミートのブランドである「SPAM」と、日本のおにぎりの発想を組み合わせたもので、「握ったご飯の上に焼いたスパムを乗せ、海苔で巻いた食べ物」です。ハワイ在住の日系人が考案したものと言われ、ハワイではポピュラーな料理のひとつです。 そもそもスパムとは、1937年に誕生したアメリカの食べ物。ひき肉と香辛料を生で金型へ入れ、外から過熱を施したソーセージの一種です。特に第二次世界大戦中は、米軍の間で支給され、米兵のたんぱく源として一役買ったことで有名になりました。

※ 「スパム=SPAM」とは
アメリカ・ホーメル食品社製のランチョンミート缶詰の商標。しかし、数あるランチョンミートの中でも、日本国内ではスパムが有名になりすぎたため、「スパムおにぎり」「スパムむすび」などと言われるようになりました。 

郷土料理としての浸透

 上述の通り、元々スパムはアメリカの食べ物、そしてスパムおにぎりはハワイ生まれなのです。しかし、そのアメリカとの関係が深かったことから、沖縄、小笠原諸島にも流入し、それぞれの島々で馴染んでいきました。

沖縄の場合

 戦後はどちらもアメリカの統治下となりましたが、沖縄に関してはごく自然な形で流入しました。米軍基地もあり、アメリカ文化が必然的に取り入れられましたが、中でも豚肉を好む沖縄の人々にとって、戦後の食糧難に登場したスパムはちょうど良い豚肉の代替品。沖縄ではスパムを含むランチョンミートはすべて「ポーク」と呼ばれるようになり、すぐに受け入れられていきました。 また、何でも沖縄流に組み合わせてアレンジしてしまう「ちゃんぷるー文化」のおかげでさらに進化を遂げ、スパムおにぎり(ポークおにぎり)のみならず、卵と炒める「ポーク卵」やチャンプルの具材としてなど、用途も広がりを見せました。

小笠原諸島の場合

 東京より南へ1000km、小笠原諸島でも、同じく米軍統治の時代がありました。同じく米軍統治下の間にスパムおにぎりが浸透したと言われています。 特に小笠原諸島の場合は、絶海の孤島という地理的条件のせいか、19世紀初頭までは無人島。そのため、航海技術が発達するとともに、日本のみならず、ハワイ(王国時代)や、アメリカ、ポルトガル、イギリス、ドイツ、ポリネシアなど様々な人種が移住した歴史があります。そのため多様な文化が入り混じっており、戦前より、いわゆる欧米系島民や日本人がともに生活していました。第二次世界大戦下は全ての島民が疎開したものの、戦後は欧米系島民のみ先に帰島が認められ、その中で、アメリカの生活物資が多く流入したことが、基盤となっているようです。

 その流れに並行して、スパムが島の流通過程に乗り、いつの間にかスパムおにぎりも定着したのだとか。日本返還後の今も、小笠原には多様な文化が混在しているため、欧米系島民の子孫が経営する島のスーパー(生協)では、アメリカの商品が多く取り揃えられています。都内ではほとんど見かけないスパムも、島では当たり前のように購入可能です。 こうして定着したスパムおにぎりは、国内では珍しい存在とあって、観光客からは島の郷土料理として見られるようになりました。今では島のスーパーや民宿で販売され、主に遊びに出かける観光客の昼食として、島中で食べられています。

スパムおにぎりの作り方 

あくまで作り方の一例です。スパムを使っているだけで普通のおにぎりですので、アレンジは自由自在!お子様にはケチャップ、マヨラーにはマヨネーズを少し塗っても美味しいですよっ。(スパム自体、味が濃いので、塗りすぎ注意)

手順

1.スパムを厚さ5mmにスライスし、フライパンでスパムを熱します。表面が程よくカリッと焦げてきたらOK。
    (スパムそのものに油分も調味料も含まれているため、油、調味料は不要!)
2.ご飯は俵型に握り、面積は広めにしておきます。
    (スパムを乗せるためです。それなりのボリュームになります!)
3.ご飯の上からスパムが落ちないようにのりをしっかり巻いて完成!

※お好みで玉子焼きを挟むと、ポーク卵おにぎり(沖縄風)になります。 

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