鹿児島中央駅へ到着!走行距離は919.0km【青春18きっぷ道中記 九州縦断編vol.3】

tanoshimasan

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 「人吉駅10時8分発」の列車に必ず、必ず乗れ!死んでも乗れ!【青春18きっぷ道中記 九州縦断編vol.2】
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青春18きっぷを手にすると、どれだけ電車に乗っていても平気になってしまう。

---------------------------------------------------------------------------------------  ■青春18きっぷ
  ・JR北海道からJR九州まで、すべてのJRの普通列車が乗り放題になる。
   (特急列車は不可)             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ・使用期間は大まかに春、夏、冬。学生の休暇時期と重なるように設定される。
  ・5枚つづり11,500円で販売されるため、1日あたり2,300円で乗り放題。
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昭和を思わせる吉松駅で40分の列車待ち

1日5本しか走らない肥薩線(人吉駅~吉松駅区間)を乗り越え、列車は鹿児島県・吉松駅に到着した。そう、青春18きっぷをフル活用し、地元・兵庫県から出発した旅もいよいよ鹿児島県へ突入したのだ!!ゴールは鹿児島中央駅。あと少し。

……と、言いたいところだが、ここでも列車は40分待ち。だんだんとこの長時間の列車待ちにも慣れてきた。

この40分、いつものように駅前をうろつく。しかし、コレと言って立ち寄れるようなお店もない。唯一「吉松駅前温泉」という、どう見ても新築民家なのに温泉を名乗る面白そうな建物を見つけたのだが、生憎閉まっていた。この吉松駅のある湧水町(鹿児島県)は、その名のとおり、町内の一部で湧き水が出るらしい。そんなことが近くの看板に書いてあったが、温泉もその類なのだろうか。

10分ほど歩いたものの、結局すぐ駅に戻った僕は、そのままベンチに腰かけて列車待ち。

この吉松駅は、僕が乗ってきた熊本・人吉方面(肥薩線)、僕がこれから乗る予定の鹿児島・隼人方面(肥薩線)、そして宮崎方面へと延びていく吉都線の3路線があり、いわゆる「乗り換え駅」として機能しているらしい。ちょうどこの時間は各方面から特急列車や観光列車がやってくるようだ。当初は何もない駅に思えた吉松駅だが、駅のホームは乗り換え待ちの人々で賑やかだった。

吉松駅と特急「はやとの風」

吉松駅と特急「はやとの風」

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それに、駅のホームから見る山々の景色がなんだかいいことに気付く。

恐らく国鉄時代からそのままなのだろう、昭和を思わせるフォントの駅看板。少しくたびれた駅舎と対照的に、春らしい鮮度を帯びた緑あふれる景色も印象的だ。そんな景色のなか、停車中の特急列車は「はやとの風」という名前らしい。特徴的な黒色の車体、レトロ感あふれる外装と、現代的で落ち着いた内装の雰囲気は一見ミスマッチだが、それがかえってオシャレに思える。

この特急列車に乗れば、目的地の鹿児島中央駅までさっさと行くことが出来るのだが、当然青春18きっぷでは乗ることが出来ない。お上品な熟年カップルや、友人同士で旅行中なのだろうご婦人たちを乗せた特急「はやとの風」は先に出発。それを見送った僕は、後から来た普通列車に乗車した。

着いた~!!…と、思ったら

「お兄さん、着きましたよ」

その声で、ファッ?と目を覚ました僕。いつの間にか、ガッツリ寝ていたらしい。同じ列車に乗っていた地元の人であろうおばあさんが、僕の肩を叩いて起こしてくれた。よだれがこぼれかけた口元を拭きながら、ザックを担ぎあげて列車を出る。おばあさんにお礼を言うと、

「気を付けてね」

と言ってくれた。



……あれ?

起きた直後から、どことなく感じていた違和感が徐々にはっきりしてきた。

「都城!?」

一人なのに、思わず声をあげてしまった僕。駅看板には「都城」という文字がある。そう、僕はなぜか宮崎県・都城駅(みやこのじょう駅)に着いてしまったのだ。時刻は13時20分。予定では、もう間もなく鹿児島中央駅に到着する時間なのに!!

隼人行きの列車に乗るべきだったが、都城行き(吉都線)に乗ってしまったらしい

隼人行きの列車に乗るべきだったが、都城行き(吉都線)に乗ってしまったらしい

ja.wikipedia.org

正直なところ、これに関する詳細はまったく覚えておらず、どこでどんなミスをしたのかも未だに思い出せない(と言うより、ミスをした自覚がない)。ただ、結果から言えば、どう考えても「先ほどの吉松駅で、隼人行きの列車に乗らなくてはならないところ、間違えて都城行きの列車(吉都線)に乗ってしまった」ことになる。

九州に詳しくない人はピンとこないかも知れないが、これは「東京から横浜に行こうとして、気が付けば千葉だった」くらいの感覚である。もしくは「京都から神戸に行こうとして、気が付けば奈良だった」と言えば伝わるだろうか。

……とにかく!

改めて鹿児島方面へ行かないと、この日18時に鹿児島港を出るフェリーに乗れない。慌てて鹿児島方面行きの列車を探すと、約10分後、13時34分発の列車があった!!鹿児島方面行の列車はかなり少なく、これを逃せば16時過ぎまで列車が無い。これに乗るしかない!!助かったぁ~。

「身体を酷使した大移動」
「寝不足」
「土地勘がない」
「乗り間違え」
「列車の本数が少ない」

青春18きっぷで旅をすると、こんなところから予定が狂う可能性がある。ふだん地元では、列車を1~2本逃したところで何の問題も無い日々なだけに、こうしたところの厳しさは想像以上だと身に染みた僕である……。

やっとこさ、鹿児島中央駅へ

鹿児島中央駅に到着したのは15時14分。

鹿児島中央駅のバスターミナル

鹿児島中央駅のバスターミナル

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疲れていたのか、僕はさらにしっかり寝てしまっていた。寝てしまっていたので、なんだかポケっとしていたが、ついに、ついに、地元・三ノ宮駅から鹿児島中央駅までの長い道のりを走破したのだ!!

前日の朝一番に出発。かかった時間もかなりのもので、列車の乗車時間だけで実に18時間強(余計な寄り道もあったが)。鹿児島を訪れるのは3度目ながら、これだけ時間を掛けて訪れたのは当然初めてなわけで、何とも言えない感慨深さが込み上げてきた。過去2度の鹿児島は友人と訪れたが、1人で見る景色も何だか違って見える気がするのだ。

鹿児島駅の外は、「南国交通」と書かれたバスが走り、「市電」という愛称の路面電車が走り……。駅の建物の屋上には、鹿児島ではお馴染みの観覧車が相変わらずゆっくり回っていた。道路沿いには大き目の看板があり、「白くま」の文字。あ~鹿児島に来たんだなぁ。

……と、しみじみしていても仕方がないので、頭を切り替える。

現在時刻は15時30分。このあと、鹿児島港を18時に出るフェリーに乗る予定だ。フェリーに乗れば一路、沖縄。乗船時間は25時間で、翌日19時に到着する予定だ。

と言うわけで、列車が船に変わったものの、またまた長時間乗りっぱなしの旅。つまり、25時間という長い長い時間をいかに快適に過ごせるかがカギとなるのだ。

例えば、やっぱり携帯電話は電波が届く限り使いたいが、乗船予定の客室は大部屋にたくさんの乗客が雑魚寝である。対して、充電用に使えるコンセントは3つか4つ程度。そのコンセントの近くに座れるかどうかも分からないので、たこ足配線用のタップが欲しいな……と、必要なものを色々と想像し、買い物をすることにした。

船内での食料(3食分)、飲み物、タップ、イヤホン、アイマスク、などなど。

こういう時間はワクワクするもので、今から出かけるんだ~という気分になる。(すでに十分“出かけている”んだけど)

鹿児島中央駅と路面電車

鹿児島中央駅と路面電車

買い出しを済ませ、鹿児島港方面へ歩いていく。鹿児島港は鹿児島中央駅から東へ2km程度。路面電車が走る方向と同じ方向を行けば、見覚えのある天文館の景色が見えてきた。

神戸・三ノ宮から鹿児島まで、大移動の道中に途中下車した駅では、この天文館ほど活気のある街は無かった。さすがは南九州最大の繁華街といったところで、この都会的な雰囲気がなんだかものすごく久しぶりに思えたのだ。

鹿児島中央駅である程度買い物を済ませておいたのにも関わらず、なんだか面白そうなお店もちらほらあり、僕を手招きする。天文館を訪れるのも3度目だが、一人で訪れるのは初めて。遠慮なく動けるとなると、ついつい寄り道したくなる。

時刻は16時30分。鹿児島港まであと1km。もう少しだけなら大丈夫かな?

離島航路だらけ!「鹿児島港」のワナ

17時。出港まであと1時間。鹿児島港の入り口に到着した。

しかし、ここで僕は大いに戸惑ってしまった。

「那覇行きのフェリーターミナルがわからない……」

そう、鹿児島県内には多数の離島があり、それに比例して航路もたくさんあるのだ。だから“鹿児島港”とひと口に言ってもかなり広い。フェリーターミナルだけで、桜島行き、種子島行き、屋久島行き、十島航路、三島航路、奄美・喜界航路などなど、それぞれ建物がある。さらには貨物船の発着所まで。

……で、那覇行きのフェリーターミナルはどこ?

鹿児島港の旅客ターミナル「Dolphin Port」
鹿児島港の旅客ターミナル「Dolphin Port」
……で、「那覇行き」はどこ?
……で、「那覇行き」はどこ?

いろいろあるのに、肝心の那覇行きのフェリーターミナルが分からない。そんな馬鹿な。チケットを予約した時には「鹿児島港」って聞いたのに!

突如として不安な気持ちになる。慌てて僕はそこらじゅうにいる人に那覇行きのフェリーターミナルの場所を聞いて回った。

「那覇行きはねェ。ここじゃなくて、もう少し南にある鹿児島“新港”にあるんだわ」

えーーーっ!!!!!

鹿児島港の駐車場のオッちゃんが言うには、那覇行きのフェリーターミナルだけ、少し離れた鹿児島新港にあるという。ただ、鹿児島港も鹿児島新港も、まとめて「鹿児島港」と呼ぶ人が多いらしく、「まぎらわしいよねェ」とオッちゃん。なんてこった!

オッちゃんが指さす先にある鹿児島新港は、鹿児島港から見える程度の場所にあるものの、歩いて……いや、走って行くにもけっこう時間がかかりそうだ。

「18時の船でしょ?ちょっと“歩き”じゃ厳しいんじゃないかな……」

オッちゃんは気の毒そうに言う。17時25分。連絡バスのようなものも見当たらない。

こうなったら……、やはりタクシーしかないのか。

タクシーに乗り込んだ僕は、鹿児島新港までお願いした。わずか2km程度の距離。余計な出費だが、これは仕方ない。



ところが、鹿児島港と鹿児島新港を結ぶ道路はまさかの渋滞!!さすがは、南九州一番の物流拠点と言ったところか。とにかくトラックが多く、そして信号も多い。車は少しずつ進むのだが、まぁなんとも鮮やかに信号に引っ掛かる。

グングン上がっていくタクシーのメーター。

17時40分。無事、鹿児島新港にたどり着いたものの、たった2kmの距離ながら1,200円もかかってしまった。うえぇぇぇ~~~。

1,200円にウジウジするなんて、器の小さい男だ。そう思う人もいるかもしれない。しかし、よく考えてほしい。

青春18きっぷをフル活用した僕。そのおかげもあり、神戸・三ノ宮駅から鹿児島中央駅まで、たった4,900円の出費で済ませているのだ(※)。道のりに直せば919.0kmという長距離移動である。それが4,900円なんて、超の付く破格と言っていいだろう。青春18きっぷだからこそ、成せた業なのだ。1kmあたり、なんと5.33円の計算である!

それが、だ。それが、このタクシーはたった2kmの距離で1,200円。1kmで換算すれば、600円!ワオ!!

この価格差。僕じゃなくても、ちょっと落ち込んでしまわないだろうか(?)。2日間かけ、激安移動を突き詰めた。だからこそ、たった1,200円が「自宅で食事をせず、歌舞伎町でたらふく飲んだのか!?」ってなレベルにすら思えたのだ。

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