ボランティアガイドをされているSさんと広島平和記念公園を巡っていく中で、「ここも絶対に外せない場所」と案内されたのが、原爆供養塔です。
原爆供養塔
原爆ドーム、原爆の子の像、広島平和記念資料館は位置的にわかりやすく多くの人が訪れますが、供養塔はこれらを巡るルートからは少し外れたところにあります。
そのためか、ガイド付きの団体さんはが2組ほどいたものの、個人で訪れていた人は数人しかいませんでした。
園内の観光地化している場所とは対照的に厳かな雰囲気。ただ温かみも感じられるこの場所には原爆で犠牲になった方々の遺骨が納められており、身元不明の方、また名前はわかっていても未だ引き取り手の遺族が現れない方も多くいるそうです。おそらくですが、原爆によって近親者も含めて犠牲になった方々もいると思います。
被爆直後、この周辺にはお寺がありその境内には身元がわからないたくさんの遺体がここに集められ、一時的に火葬場として使われていました。また、爆心地に近いこの場所の周りに落ちていた遺骨もたくさんあったようです。こういったところからも原爆の残酷さが伝わってきます。
集められた無数の遺骨を供養するためにこの場所があります。写真に写っている小さな塚(土で盛られた山)は高さ3.5メートルあるとのこと。見学はできませんが、この塚の中(地下)にあるのが納骨堂で、納められている遺骨は約7万にのぼります。
遺骨の名簿を毎年公開している
名前がわかる遺骨は全国の自治体に協力を得ながら詳細を公開しています。中には当時の年齢や住所がわかっている遺骨もあり、今年も先週から自治体の施設各所で掲示が始まっています。(10月いっぱいまで公開されます。)
ただ、全国総出で遺族を探していますが、814柱(遺骨の数え方)は未だなかなか見つからないという現実があります。それでも、毎月数件は問い合わせがあるとのことですが、こういった点からも、もっとこの場所が多くの人に広まっていければと思います。
供養塔の説明を終えて最後にガイドのSさんは「遺族を探し続けることは日本ならでは取り組みだと思う」と言っていました。
一刻も早く遺族の元に返してあげたい。遺族に見守られる場所へ移してあげたい。こうした死者への考え方が日本らしいということなのでしょうか。その時に,
もっと深く聞けなかったことが心残りですが、亡くなった人(魂)がを元の場所へ帰るとする考え方について言いたかったんだろうなと想像します。
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