サミットが始まった。世界の今日明日がどうなるのか注目される一方、首脳会議の終了後、アメリカのオバマ大統領がヒロシマを訪問することにも世界の人々の関心を集めている。
セキュリティの問題もあってオバマ大統領の広島訪問の詳細なスケジュールは明らかにされてはいない。しかし、ホワイトハウス筋からは、原爆投下に関しての謝罪は行わないこと、日本人犠牲者のみならず、原爆投下時に広島にいた連合国軍の捕虜、当時事実上日本に併合されていた朝鮮の人たち、東アジアの人たちなど、原爆の被害を受けたすべての人たちに対する追悼が行われるという話が伝わっている。第二次世界大戦中日本の捕虜になっていたアメリカ兵や、日本人被爆者が、オバマ大統領の追悼式典に参加するという話もある。
さまざまな意見はあるものの、原爆投下とその悲劇を、日本とアメリカという二国の問題にとどめるのではない姿勢は評価したい。
ヒロシマの平和記念公園の一角に、「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」が建てられているのをご存知だろうか。強制労働等により広島で被爆した韓国の人たちの慰霊と、再び原爆の惨事を繰り返さないことを願うために建立されたものだ。
碑のそばに建てられた銘文にはこう記されている。
慰霊碑の由来
第二次世界大戦の終わり頃、広島には約10万人の韓国人が、軍人、軍属、徴用工、動員学生、一般市民として在住していた。
1945年8月6日原爆投下により、2万余の韓国人が一瞬にしてその尊い命を奪われた。
広島市民20万犠牲者の1割に及ぶ韓国人死没者は決して黙過できる数字ではない。
爆死した これら犠牲者は誰からも供養を受けることなく、その魂は永くさまよいつづけていたが、1970年4月10日、在日大韓民国居留民団広島本部によって悲惨を強いられた同胞の魂を安らげ、原爆の惨事を二度と くり返さないことを希求しつつ平和の地 広島の一隅に この碑が建立された。
望郷の念にかられつつ異国の地で爆死した霊を慰めることはもとより 今もなお理解されていない韓国人被爆者の現状に対しての関心を喚起し一日も早い良識ある支援が実現されることを念じる。
韓国人犠牲者慰霊祭は毎年8月5日にこの場所で挙行されている。
在日韓国青年商工人連合会及び有志一同
韓国人原爆犠牲者慰霊碑
この言葉ににじむものをどう受け止めるか。
原爆投下の悲惨はもとより、そこからえぐり出されているものを、人類の共通の課題として受け止めることから、世界平和の道が歩みだされることを願わずにはいられない。このヒロシマの地から。
核兵器廃絶は人類の大きな歩みだ。しかし核兵器がなくなるだけでは地球上に生きている私たちに平和は訪れない。
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