前回の島旅レポート
八丈島に到着。しかし・・・
翌朝、目が覚めて甲板に出ると天気は快晴であった。青い空と海。とても心地いい。
船は途中、三宅島、御蔵島を経由する。八丈島には均整のとれた山容が特徴の八丈富士(西山)と、三原山(東山)という山がある。その2つに挟まれた低地には島一番の集落があり、役場や警察暑などが置かれている。この日、天気は良かったものの、両方の山の頂だけが雲に覆われていた。
八丈島と青ヶ島を結ぶ船・「あおがしま丸」の運航スケジュールについて、出発前に船会社へ電話で問い合わせをしていた。その時の話では青ヶ島へ同じ日の乗り継ぎが可能とのことであった。
そのため、当初の計画では八丈島に到着しだい船を乗り換えて青ヶ島へ向かい、1泊して再び八丈島に戻ってくる予定であった。
ところがちょうどこの日は橘丸の到着とあおがしま丸の出発の時刻が同じで、運航スケジュール上は乗り換え時間はなかった。
しかし、橘丸の船内で乗組員の方に聞いた話によると、青ヶ島行の予約をして乗ることがわかっていれば、乗り換えを待っていてくれることが多いとのことであった。
急いで八丈島のチケット売り場に連絡をする。ところがこの日、うねりがあるために青ヶ島行の船が通常よりも早く出港する可能性があるということであった。
「橘丸、早く八丈島に着いてくれ。そしてあおがしま丸、もう少しだけ待っていてくれ」と、身勝手なことを祈り続けていると・・・
港をすぐ目の前にして、あおがしま丸がすれ違って行った・・・。
その日の青ヶ島行がダメになったことで、必然的に八丈島で一泊することになった。
八丈島でキャンプ♪
橘丸は八丈島に二つある港のうち、底土港に接岸した。
下船の際、クロアチア人の旅行者と知り合う。彼の名前はラザル。2m近い長身の陽気な男で、私たちと同様に島でキャンプをするという。
ちなみにラザル、彼は2週間ほど日本を旅するらしい。そう聞いても別に驚きもしなかったのだが、日本での旅行プランを聞いてびっくりした。
なぜならば、ラザルが日本で行きたいと思った場所は東京と京都、そしてなんと青ヶ島だという。
「東京と京都はわかるけど、いったいなぜ青ヶ島?」と半分驚き、そして半分笑いながら聞いてみると、彼もまた青ヶ島の写真を見て行きたいと思ったのだという。
恐るべし、青ヶ島・・・。
ラザルと私たちは、港に降りるとまず最初にキャンプの申込と島の情報収集をしに旅客ターミナル内の案内所へと向かった。
八丈島には島唯一のキャンプ場として、港近くに底土野営場がある。
しかし、ゴールデンウイークに突入していたこの日、旅客ターミナル内の案内所へ行くとすでに予約でいっぱいとのことだった。そのため、当日申込者の私たちは港から約3kmほど離れた垂土海岸に設けられた臨時の野営場を使用することになった。
ということで、キャンプ道具満載のヘビー級ザックを背負い、3人でキャンプ場へ向かう。
島の景色を眺めながら海岸沿いを歩くことおよそ40分。垂土の海岸が見えてきた。
いざ、八丈島観光へ!
臨時の野営場に到着すると、3人ともてんでバラバラ、離れた場所にテントを張る。仲が悪いわけではないのだが、空いているスペースは大きい。これを最大限に使わない手はなかった。
設営するとその日どうするかを考えた。
できることならば八丈富士に登りたい。しかし、山頂には相変わらず雲がかかっていた。
そのため、港の案内所で教えてもらった「唐滝&硫黄沼トレッキング」と「裏見の滝&温泉」へ行くことにする。
プランが決まり出発しようとすると、ラザルはのんびりとパンを食べていた。島内を走るバスは1日に4、5本しかない。次に到着する便までの時間はなく、それを逃すと2つある目的地のうち片方は行くことができない。さてどうしたものかと思っていると、
「俺はヒッチハイクをするから先に行ってくれ」とラザルが言った。
トシ君と二人でバス停へ向かう。
最寄のバス停留所までは歩いて15分ほどだった。
着いて待っていると時刻表通りに1台のバスがやってきた。トシ君とバス停の前に立ち、「バスに乗るぞ」アピールをするものの、なんと目の前を通り過ぎてしまった。
「いったいどういうことだろう?」と二人で少し考えてはみたものの、行ってしまったものはどうしようもない。
手段をヒッチハイクに切り替えて行ける所まで行くことにした。
幸いなことにヒッチハイクを始めてすぐに1台の軽自動車が停まってくれた。運転していたのは若い男性で半年前に島に移住してきたそうだ。旧町役場の近くまで行くというので、そこからバスに乗り換えて「唐滝&硫黄沼トレッキングルート」の入口へ向かうことにする。
乗せてもらい走ることおよそ5分。八丈島の警察暑前で降ろしてもらう。そこから旧町役場のバス乗り場までは歩いて10分ほど。乗り場に着くとちょうど坂上(末吉)行きのバスが出発するところであった。急いで乗り込む。
乗車してバスが走りだすとすぐに運転手さんが「どこで降りますか?」と尋ねてきた。
「唐滝へのトレッキングは『富次郎商店』で降りればいいですか?」と案内所で教えてもらった情報を確認すると、
「今の季節は滝の水量が少ないから、あまりおすすめはできないよ」と言って、代わりに断崖絶壁の上にある温泉「みはらしの湯」を教えてくれた。
どうするか迷っていたのだが、観光客限定の「島内路線バス2日間乗り放題&3つの温泉入り放題」チケットが1000円。という話が決め手になりトレッキングはやめて、温泉巡りツアーに変更となった。
裏見の滝。そして、温泉のはしご
旧町役場から30分ほど走り、運転手さんが「裏見の滝の近くだよ」と教えてくれたバス停で降りる。
そこから道草を食いながら中之郷地区の集落を20分ほど歩くと、滝へと続く山道の入口があった。
通常ならば山道の入口から滝までは徒歩10分ほどでたどり着くのだが、亜熱帯の森の美しさにつに目が奪われて倍の時間がかかる。
滝はその名の通り、裏側から見ることができる。水量は少なかったものの、風で舞った水しぶきが太陽の光を受けて輝く光景に思わず息を飲む。
滝を見ると来た山道を引き返し、再び舗装道路にでる。そして近くにある裏見の滝温泉へ。
この温泉、渓流沿いの崖の上に作られており野趣満点。しかもこれで無料というから嬉しい♪
湯を堪能すると次の温泉「みはらしの湯」へ行くためにバス停へ。裏見の滝温泉から坂を5分ほど下った停留所「ザ・ブーン前」からバスに乗る。
「ザ・BOON」から「みはらしの湯」まではおよそ20分だった。
みはらしの湯には休憩室と男女それぞれ、内湯と露天風呂が1つずつある。この温泉も素晴らしい☆いったい何が良いかというとその眺め。標高約100mの断崖の上に作られた露天風呂からは大海原とそそり立つ絶壁を一望することができる。とても開放的な湯に大満足♪八丈島には素敵な温泉が多いようである。
入浴後、最終のバスで垂土地区へ戻る。
キャンプ場に着くと隣には新たなテントが1つ張られていた。愛知から来たという若い男性でこの日、青ヶ島から八丈島に戻って来たという。
彼と少し話した後、日没を眺めながらカレーを食べる。
夜なると愛知から来た隣テントの男性と海辺へ行き、月灯りの下、トビウオのくさやをつまみに焼酎を飲みながら話をしていたのだった。
<【GW島旅レポート】憧れの島、青ヶ島に上陸! Vol.3 へ続く>
八丈島・底土港
※登場人物は仮名です。
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji
最終更新: