集団的自衛権について語る姿はまるで、お休みした先生の代わりに教壇に立った教頭先生みたい。
生活の党・小沢一郎代表の2014年5月12日定例記者会見がいい。集団的自衛権についての世論調査で7割が賛成という結果についての受け止めを聞かせてほしいと訊いた読売の記者とのやり取りで、集団的自衛権が実際どういうことなのか、わかりやすく示している。
【2014年5月12日】小沢一郎代表 定例記者会見
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安倍さんの会見の前にぜひ見ておきたい動画だ。
内容をちょっと抜粋
集団的自衛権が話題になるのは7分28秒あたりから。
読売が世論調査では集団的自衛権について聞いたのに、見出しでは「的」を外して集団自衛権としたことについて、まず指摘する。そこには20年以上にわたって、集団的自衛権について議論してきた小沢さんの「歴史」が反映されている。若い記者と現場にいた政治家。その対比があざやかだ。
11分21秒には、
自衛権の行使って武力行使を当然含むんだよ。当たり前でしょ。
12分10秒あたりでは、
いずれにしろ、国連のこととはまったく別個に、どっかの国と一緒に、国際紛争を解決するために、海外に増派を(?)派遣できるちゅう話になっちゃうんで。
そこをみんな国民がわかってるかな、集団的自衛権っていわれたって、分かんねえんじゃないか?
法制局でさえ分からないんだから。メディアだって分かるわけないわな。分かるか?
12分45秒、
じゃあ国連の41条、42条と、集団的自衛権とはどう違うか。なかなか、まあオレは何回も言ってるけど、なかなか明快に説明できないでしょ。
13分15秒、
だから、まあなんとはなしに、いいんじゃないのっちゅう雰囲気が、あるのかな。そういうことかもしれない。
13分30秒、
それで、集団自衛権認めるかっていう時、じゃあ武力の行使もいいかって聞いてるの?
「授業」は核心に進んで行く。
戦争がどうやって起きるかは、前もって分からない
17分30秒、
軍を動かすっちゅうのは、政治の最終の手段なんだよ。人を殺す、ことができるわけでしょ。政治の最終の手段をそういういい加減なことで決定してはいけないと、オレは思うよ。
19分00秒、
だから、どこまでなんちゅうのを限定できるかっちゅうのよ。戦争っちゅうのはどうやって起きるか分かんないだろ。
たとえば朝鮮半島有事だなんつうの、いいって言ってんだろ、読売やその他は、何となく、アバウトでいうと。
じゃあ朝鮮半島でどういう事態が起きたら集団的自衛権を行使するんだ? 分からんだろう、分からないんだよ。前もって戦争がどういうかっこうで起きるかなんか、分かりゃせんだよ。
19分38秒
最終的には政府の判断なんだよ。どういう事態で自衛権を発動するかっちゅうのはね。だけども集団的自衛権で、一般的にそれを認めて、まあ簡単に言うと日米安保、あるいはその他のあれでもいいけど、同盟国と共同歩調をとるという理屈になるだろ。
20分06秒
そうすっとアメリカは、そうでなくたって日本参加しろ参加しろって言ってるわけだから、アフガンの時もイラクの時もそうだった。前のイラク、クウェート、イラク戦争の時にはそうじゃないけどね。これは国連が、ソ連と中国は棄権したけれども安保理で決定したことだからね。これは国連の決定事項だったけれども。
20分35秒
こないだもそうでないし。アフガンもそうじゃないでしょ。アメリカは、ベイビーブッシュは、「これはアメリカの戦争である。とやかく他の野郎奴やに言われる筋合いはない」と言って戦争をおっ始めたわけだ。それに協力するっちゅう話になっちゃうな。だろ? 違うんか。わっかんないじゃ困るだよ。
集団的自衛権という抽象的な言葉で議論しても分からない。要は、国連でもなんでもなく、どこかの国と一緒に、海外で武力行使をすることが是か非か――。
15日に予定されているという安倍会見の前にぜひ見ておきたい。
文●井上良太
後記:小沢さんって、こんな人だったっけ。小沢さんは経験豊富なおじいちゃん先生。記者はまだ産毛も生えかわらないヒヨコ。怒ったり凄んだりするのではなく、困った子だなあとアタマを掻きながら教えてくれる。その語り口に驚いた。20年前にはずいぶん右よりの人だと思っていたが、いまや彼の言葉が真ん中に思えてしまうのは、世の中が大きく右に傾いたからだろうか。
最終更新: