新進気鋭のイケメン憲法学者・木村草太氏の「憲法学者の見解がなぜ一致するか」がヤバすぎる

Kazannonekko452

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若くてイケメンで、しかも頭脳明晰な憲法学者・木村草太さんがTHE PAGEに載せた分析「憲法学者の見解がなぜ一致するか」がキレキレなのでご紹介。

 では、集団的自衛権の行使を基礎付ける憲法の条文は存在するか。これは、ネッシーを探すのと同じくらいに無理がある。国際法尊重や国際協調を宣言する文言はあるものの、これは、あくまで外国政府の尊重を宣言するものに過ぎない。「外国を防衛する義務」を政府に課す規定は、どこにも存在しない。

 また、外国の防衛を援助するための武力行使は、「防衛行政」や「外交協力」の範囲には含まれず、「軍事」活動になるだろう。ところが、政府の権限を列挙した憲法73条には、「行政」と「外交」の権限があるだけで「軍事」の規定がない。政府が集団的自衛権を行使するのは、憲法で附与されていない軍事権の行使となり、越権行為になるだろう。

 つまり、日本国憲法の下では、自衛隊が外国の政府との関係でなしうる活動は、防衛行政としての個別的自衛権の行使と、外交協力として専門技術者として派遣されるPKO活動などに限定せざるを得ない。

 以上のように、個別的自衛権すら違憲と理解する憲法学者はもちろん、個別的自衛権は合憲と理解する憲法学者であっても、集団的自衛権の行使は違憲と解釈している。憲法学者の圧倒的多数は、解釈ロジックを明示してきたかどうかはともかく、集団的自衛権が違憲であると解釈していた。さらに、従来の政府も集団的自衛権は違憲だと説明してきたし、多くの国民もそう考えていた。だからこそ、集団的自衛権の行使を容認すべきだとする政治家や有識者は、改憲を訴えてきたのだ。

なぜ、憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか? 木村草太・憲法学者 | THE PAGE(ザ・ページ)

ネッシーがいると信じている人の論拠を分析

どのように解釈しても憲法を改正しない限り集団的自衛権を合憲とするのは「ネッシーを探すのと同じくらいに無理」とした上で、木村さんは言う。

 まず、菅官房長官は、6月4日の憲法審査会の直後の記者会見で、「全く違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいる」と述べた。しかし、解釈学的に見て、集団的自衛権を合憲とすることは不可能であり、合憲論者が「たくさん」と言えるほどいるはずがない。もちろん、合憲論者を一定数見つけることもできるが、それは、「ネッシーがいると信じている人」を探すのは、ネッシーそのものを探すよりは簡単だという現象に近い。

なぜ、憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか? 木村草太・憲法学者 | THE PAGE(ザ・ページ)

木村さんは合憲論の論拠の主として4つをピックアップし、それぞれがいかに薄弱であるかを手際よく捌いていく。その論理の美しさはぜひ原文をお読みいただきたい。ひとつだけ、「最高裁砂川事件判決」の肝心要の部分で、マスコミがあまり触れたがらずにいる部分を引用する。

さらに、この判決は「憲法がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」と述べるなど、自衛隊を編成して個別的自衛権を行使することの合憲性すら判断を留保しており、どう考えても、集団的自衛権の合憲性を認めたものだとは言い難い。

なぜ、憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか? 木村草太・憲法学者 | THE PAGE(ザ・ページ)

あたかも「合憲論を完膚なきまでやっつける」の図である。

しかし木村さんの分析はそこでは終わらないのだ。彼が指摘する「まさか」の展開とは何か。これこそ憲法学者・木村草太の面目躍如と言える論である。

「集団的自衛権」という言葉にこだわる不可解

憲法の条文、最高裁判決に加えて木村さんが紹介するのは国際司法裁判所の判決だ。

 国際司法裁判所の判決によれば、集団的自衛権を行使できるのは、武力攻撃を受けた被害国が侵略を受けたことを宣言し、第三国に援助を要請した場合に限られる。ところが、今回の法案では、被害国からの要請は、「存立危機事態」の要件になっていない。もちろん、関連条文にその趣旨を読み込むこともできなくはないが、集団的自衛権を本気で行使したいのであれば、それを明示しないのは不自然だ。

なぜ、憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか? 木村草太・憲法学者 | THE PAGE(ザ・ページ)

なるほど、これが国際社会の常識なのか。被害国が攻撃されたことを宣言した上で援助を要請しなければ集団的自衛権は行使できない。被害国が要請もしていないのに、「ミサイルが仲間の国の空母を狙っているから」という理由で攻撃を加えるなどということは、ゴロツキ国家のやることだと国際社会も考えているわけだ。

ここまで来るともうネッシーどころの話ではない。

なのになぜ、政府は「集団的自衛権行使容認」にこだわるのか――。

 まさか、法解釈学に精通した誰かが、集団的自衛権の行使を個別的自衛権の行使として説明できる範囲に限定する解釈をとらせるために、あえて集団的自衛権の行使に必要とされる国際法上の要件をはずしたのではないか。

なぜ、憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか? 木村草太・憲法学者 | THE PAGE(ザ・ページ)

引用した部分だけで通じる人もいるかもしれないが、全文を通して読むとさらにいっそう論の明晰さが胸に響く。

というわけで、木村草太さんのこの分析、ぜひご一読をお勧めする次第です。

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 木村草太の力戦憲法
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