福島県の山の登山者数について
福島県の名峰・安達太良山(あだたらやま)が、明後日、5月18日(日)に山開きをする。
東日本大震災が発生する前、安達太良山は多くの登山者で賑わっていた。しかし、震災後、その数が減少しているという。同山は、震災発生前年の2010年に、年間約21万人の人が登っていたものの、震災発生翌年の2012年には、約14万人に減少している。安達太良山以外にも、福島県の山では、登山者の減少傾向があることを、福島民友新聞の記事で知った。
東京電力福島第1原発事故による風評被害で県内各山の登山客の減少傾向が見られる中、県勤労者山岳連盟は独自に県内140以上の山で放射線量を測定、ホームページ上に公表することで安心をアピールし、登山客の呼び戻しに努めている。登山道の復旧の遅れなどから今年も山開きを中止した山もあるが、登山関係者は震災前と同様に本県の山に多くの登山客が戻るよう、地道な努力を続けている。
県内では18日の安達太良山(二本松市)、25日の磐梯山(猪苗代町)など7月まで山開きが続くが、登山客は震災以降、減少傾向にある。県の調査によると、安達太良山では2010(平成22)年の登山客が約21万人だったのに対し、12年は約14万人に減少するなど全体に落ち込んでいる。放射線量を公開している県勤労者山岳連盟の分析によると、特に福島第1原発から近い阿武隈山系で登山客が減少しているが、比較的放射線量が低い会津地方でも風評被害による影響が出ているという。
同連盟は「福島の山は登れるのか」「山の放射能汚染はどうなっているのか」などの問い合わせが寄せられたことから、各山の放射線量の実態を把握した上で正しい情報を発信するため、会員が自前で線量計を購入し「山岳放射線量調査」に着手した。所属する各団体の会員が登山道や山頂などで放射線量を測定し、調査日とともにホームページ上で順次公表している
登らないには惜しい福島県の山々
記事を読み、震災発生の翌年に登った安達太良山のことを思い出した。私も当時、放射線に対して一抹の不安もあったのだが、紅葉美しい安達太良山を登りたい一心で、福島県へと向かった。安達太良山には、言葉にできないほどの美しい秋の世界が広がっていた。同山だけに限らないが、山で出会った登山者たちは、弾むような表情をしている。なかには、疲れた顔をしている人もいるけれど、山頂で見かける登山者の多くは、達成感や笑顔にあふれており、清々しい顔をしている。そのような表情にさせてしまう、山という存在に敬意を抱く。
東北の山は、比較的手軽に登れるにも関わらず、緯度が高いことから高山植物が豊かで、山の魅力を十分に感じることができる名峰が多い。特に福島県は、登山者に人気のある日本百名山のうち、7座(※那須岳を含む)を有している。これは、東北では1番、全国でも8番目に多い数である。
放射線を恐れる気持ちが必要であることは、言うまでもないけれど、過度に恐れて登らないのは、あまりに惜しい山々が福島県にはあると思う(※線量の低い山での登山が前提です)。
高高度を飛行する航空機は、放射線量が地上と比べると高く、その線量は、3~5μSv/hと言われる。測定場所、ホットスポットなどにより、数値の変動はあるものの、福島県勤労者山岳連盟が測定した100以上の山のうち、約3分の2は、飛行機搭乗時に受ける放射線量の10分の1以下となっている。
安達太良山に続き、来週の日曜日には、磐梯山も山開きとなる。福島県の山は、いよいよ夏山シーズンを迎える。 今年の夏、ふたたび福島県の山の頂に、登山者の清々しい笑顔があふれてほしいと思う。
福島県の名峰・安達太良山
参考WEBサイト
Text:sKenji
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