山ガールも夏ガールも必見♪夏山シーズン間近♪富士山山開き

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2012年8月の富士山。なぜか駿河湾の海上より
2012年8月の富士山。なぜか駿河湾の海上より

夏の富士山って、夜になると登っている人のライトの列が見えるのってご存知? とくに登山道から近い沼津市や富士市からは、ジグザクの登山道が登山者のヘッドランプの光が、まるで登山道をトレースするみたいにに夜空に浮かび上がります。以前から山小屋がある辺りの光は見えたのですが、LEDのヘッドランプを使う人が多くなってから、山腹の光の列が目立つようになったように思います。

以前に撮った写真があったはずなので探してみたけど見つからなかったので、その画像はなしでゴメンなさい。

7月1日は山梨県側の富士山登山道での山開き

世界遺産に登録されたことを受けて、2014年のシーズンから山梨県側と静岡県側の登山道で山開きの日に違いが出ています。昔ながら7月1日を入山の日としているのは山梨県側の吉田ルート。富士スバルライン経由で5合目が登山口になっています。

他方、静岡県側の須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの3つは7月10日が山開きの予定になっています。

先陣を切っての吉田口ルート。山開きになったものの、本日の天気は大変な暴風雨。早朝から山開きの日の登頂を目指した登山者も多かったようですが、8合目より上には登れそうにないと、引き返してきた人が多かったとのこと。

いろんなサイトで紹介されていますが、旅行サイトヤジキタのフェイスブックから記事を引用しましょう。



今日7月1日は富士山の山梨県側登山道での山開きでした。あいにくの空模様で8合目より上は暴風雨のために登頂は困難だったとのことですが、この先、梅雨が明ければ本格的な富士登山シーズンの到来です。

日本のシンボル富士山ですが、他の山にはほとんど見られない特徴がいくつかあります。まず登山道を登り始めたらほぼ登り続けの道だということ。登り始めから登頂、そして下山までの間にほとんど樹木がないこと。そして3776mという高山病の危険が十分に懸念される標高だということなどです。

このような特徴があるため、富士登山には富士山ならではの注意が必要です。ジグザグの登山道をひたすら高度を稼いでいく山なので、自分の上方には必ず誰かが登っているケースがほとんどです。しかも足元は岩屑が敷き詰められたような道。ちょっとした不注意で、足元の石を転がり落としてしまうことがよくあるのです。

たとえ小さな石ころでも落下とともにスピードが上がると、その衝撃は想像以上のものになります。また小さな石が少し大きな石にぶつかって、少し大きな石がさらに大きな石を動かしてという連鎖によって、一抱えもあるような大きな石が落ちてきたり、多数の石が同時に落下してきたりすることもあります。

ほとんど樹木のない富士山は、落石の危険が極めて高い山なのです。落石による死亡事故も頻発し、12名死亡、29名負傷という大惨事も発生しています。

富士登山では落石にくれぐれもご注意を。もしも石を落としてしまったり、上から石が落ちて来るのを見つけたら「ラーク!」と大きな声で周囲の人たちへの注意喚起をお願いします。

落ちてくるのは石だけではありません。ペットボトルや金属製の水筒など、滑りやすいもの、転がりやすいものも要注意です。私は夜の登山中に大きなスイカが落ちてきたのに遭遇したこともあります。あんなに恐ろしいスイカは見たことありませんでした…。

今日7月1日は、富士山の山梨県側の山開きの日です。それにちなんで、富士登山の注意点をご紹介。まずは山登りの道具についてのミニ情報。

富士山ならではの山道具として必携なのがスパッツ(あるいはゲーター)です。これは靴の上からズボンの裾上までをカバーするグッズで、靴の中に砂利などが入らないようにしてくれる優れモノ。富士山の登山道にはスコリアと呼ばれる火山性の細かい砂利が多く、とくに下り道では靴の中に砂利が入って本当に難渋するのです。ぜひともスパッツは持って行ってください。

富士山は登山道がある5合目付近から上にはほとんど木が生えていません。登山道に樹木がないということは、つまり日陰がないということ。必ず帽子はお忘れなく。また風が非常に強い山なので、飛ばされないような工夫も怠りなく。いっそヘルメットという手もありですね。落石や火山噴火への備えとしてもある程度は期待できそう。

富士登山で十分に注意したいのが高山病。酸素が少ないために起きるめまいや吐き気、頭痛や倦怠感といった症状で病気ではありません。酸素ボンベ持参で登っている方もいますが、酸素を吸っても効果は一時的なのだとか。高山病には高度順応(酸素の少ない環境に慣れること)こそが重要なのです。そのためには、ゆっくり登ることが一番です。(つまり、日帰り弾丸登山は止めた方がいい)

登山のスケジュールの組み方も高山病対策につながります。バスなどで5合目付近の登山口に到着したら、すぐに登り始めずに、売店でグッズを見たりショッピングしたり、軽く食事をとるなどしてできるだけ5合目で長い時間を過ごすようにしましょう。山梨側の5合目は登山口なのに高度は2300mもあるんです。ここで長く過ごすことは高地順応の効果が大なのです。

さらに、8合目や本8合目付近の山小屋で休憩するのも必須です。本8合目の高度は3400mほど。日本で二番目に高い北岳よりも高いんです。この場所で仮眠をとれたらベスト。8合目で仮眠するのを前提に計画を立てるなら、夕方4時に5合目に入り、午後7時頃から登山開始。0時前後に8合目の小屋で仮眠。4時半頃の日の出を小屋の前で見てから頂上を目指すというスケジュール。富士登山のオフィシャルページもご参考に♪

事前の準備とプランニングを万全にして、楽しい富士登山を!

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とっても特異な山である富士山

山は世界中のさまざな場所にありますが、その姿形や高さには、地域によって、また山が作られた経緯によって大まかに傾向というか分類できる基準があるようです。

たとえば造山運動が長い期間に渡って続いて、なおかつ風雨による浸食が山を高くする力よりも小さい場所には、大規模な高地が形成されます。ヒマラヤやヨーロッパアルプスがそうですね。

大昔にはアジアからヒマラヤの南を東西に突っ切って、地中海にもつながっていたと言われているテチス海が、プレート移動で塞がれていく過程で盛り上がっていったヒマラヤやヨーロッパアルプスは、長い時間をかけて隆起し続けてきました。そしてたまたまなのかどうなのか、隆起速度よりも浸食速度の方が遅かったから、あんな高い山脈になったというわけ。

日本にも南・中央・北と3つのアルプスと呼ばれる山脈がありますが、いずれも歴史が短い。さらに降雨・降雪が多く気温の変動も大きい日本では浸食のスピードがかなり大きい。だから、日本のアルプスと呼ばれる地域の山は、超高いもので3100mクラス。それもわずかに10座。続いて3000~3100mの山が11座。ところが2500~3000mの山となると124座と急増。つまり、日本の山は隆起速度に比べて浸食の力の方が勝っている傾向があるので、3000m未満の高山は多くても、それより高い山は何らかの強み(主に隆起速度の大きさと地質)がない限り、風雨に削られてなかなか高くなれないと考えられるのです。

ところがです、日本で2番目に高い南アルプスの北岳の標高が3192mなのに対して、日本一の山、富士山は3776mと群を抜いています。

これは富士山が非常に若い火山なので、盛んに噴火を繰り返した結果どんどん高くなっていき、なおかつ若い山なので浸食もあまりされていないということなのだとか。

歴史的には富士山を凌ぐほどの大きな火山があったとも言われますが、火山は大きくなり過ぎると阿蘇山その他の大規模火山のようにマグマを出し過ぎて山体が吹っ飛んでしまったり、陥没してカルデラになったりしてしまう場合が多いので、自ずから高さには上限があるようです。さらに、高い火山は富士山と同様に火山灰や溶岩、スコリアなど多種多様な、しかも比較的地下水を通しやすい層が積み重なって出来る成層火山である場合が多いので、浸食に弱く、時間とともにどんどん低くなっていくのです。(現在は富士山より800m以上標高が低いながら、巨大な火山であったと考えられる八ヶ岳がいい例です。ただし八ヶ岳の歴史はかなり多くの謎に包まれているらしいのですが)

そんな山の歴史の面から見ても、富士山は日本の他の山とは明らかに異なる、特別な山なのですね。だからこそ、富士登山には装備や気持ちの準備が不可欠なのです。世界中の山の中でも群を抜いてたくさんの山小屋(登山者のための避難施設であり、補給施設であり、レスキューの拠点ともなる施設)があり、登山道も整備され、毎年夏には大勢の登山客が訪れる(そうです、麓から登山客のヘッドライトの動きが見えるほどなんですから!)富士山。小中学生でも登れてしまうからって、油断は禁物なのです。

富士山の危険なところを列挙

ヤジキタさんの記事とも重複しますが、富士山の危ないところを列挙してみましょ。

◆登山口から先、山頂まではほぼ登る一方
◆登山口から先には樹林帯がほとんどない
◆登り一方の登山ルートなので、ジズザグに登山道が付けられている
◆風化が進んだ岩屑が山体の表面を覆っていて落石の危険が極めて高い
◆しかも火山性の小さな軽石(噴火の際に溶岩の中の気体成分が気化したために隙間が多い)であるスコリアが多く転倒の危険も高い
◆日差しを遮る木陰がなく、気象条件次第で熱中症にすらなりかねない
◆植物のほとんどない岩屑地帯が登山道に長く続くため、昼夜の気温差が極めて大きい。条件によっては真夏と真冬の気温を1日のうちに経験させられる
◆山脈ではなく独立峰であるため風が強い。また同じ理由で気象の変化が著しい
◆関連して落雷が多い(毎年、落雷による被害が発生している)

淡島から望む富士山(2012年8月)
淡島から望む富士山(2012年8月)

あんまりたくさんマイナス面ばかり書いていると、登山する気が失せてしまいかねないですが、富士山にはその他の日本の山とは異なる地形による危険がたくさんあるということを理解していただきたいのです。

たとえば気温。山では100m登るごとに気温が0.6〜1.0℃ほど下がっていくと言われますが、風向きや気圧配置によって変化の幅がもっと大きかったり小さかったりもします。ニッポンにはアメダスという優れた気象観測システムがあり、観測ポイントにもよりますが、気温や降雨、風速、日照時間など様々な気象データを確認することができます。そして、山頂の測候所が廃止になった富士山にも、アメダス観測ポイントはあるのです。

 2015年07月01日 富士山(フジサン) 毎正時の観測データ
www.jma.go.jp  
 山梨県側の観測ポイント 気象庁 | アメダス(表形式)
www.jma.go.jp  

たとえば過去数日間の富士山山頂の気象データを確認したり、直近で天気図が似ている日のアメダスデータを比べてみたり、河口湖や甲府など「下界」とのアメダスデータの違いを調べてみると、登山を予定している日に山頂付近がどんな気温なのか、防寒のためにどんな衣類が必要なのか、など予測することはそう難しいことではありません。

登山や下山の標準的なコースタイムや山小屋の配置など詳しく紹介してくれているページもあります。自然との関わりである富士登山には、自然体験だからこその危険は数多くありますが、どのように備えるかを考える上で貴重なデータや情報も数多く公開されているのです。

 夏の富士登山の基本|登山基本情報|富士登山オフィシャルサイト
www.fujisan-climb.jp  

さまざまな情報を取り込んだ上でプランを立て、必要な装備を選択して、大好きな山仲間たちと(あるいはソロでもいいんですけど)、日本で一番高くて、日本の他の山とはまったく異なる個性をもつ富士山にチャレンジする――。

山は登るのと同じくらい、計画している時が楽しいと、よく言われますが、こうして書いているだけで、また登ってみたい気分になるから不思議です。登らぬバカ、二度登るバカとも言われる富士山。魅力と危険と、一度登ればもうたくさんと思ってしまう苦難がある山だからこそ、その「二度登るバカ」な辺りを克服する山旅をプランニングするのも面白いかな~なんて、思ったりもするのです。

この夏はぜひ一度、富士登山を計画してみて下さい。(もちろん噴火情報にはご留意の上で!)

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