屋久島(やくしま)白谷雲水峡を自転車で登ってみた【旅レポ】

tanoshimasan

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【白谷雲水峡】
屋久島(やくしま)を代表する景勝地のひとつ。雨量が豊富な屋久島の中でも特に濃い木々や苔で覆われた場所で、別名「もののけ姫の森」とも呼ばれる。巨岩、原生林、水のせせらぎが楽しめるトレッキングコースでもあり、屋久島観光において、欠かせてはならない場所―――

美しい景色で知られる白谷雲水峡
美しい景色で知られる白谷雲水峡

気持ちよい景色!(BGMは奥田民生『さすらい』)

大学の友人6人と共に、屋久島を訪れることになった。9泊10日という長旅。その10日間のうちの1日は、僕が予定を考えなくてはならなかった。そこで、訪れる前から行きたい行きたいと強く思っていた、この白谷雲水峡を選んだ。

地図を広げてみると、その日滞在する素泊り宿から白谷雲水峡まで9km程度の道のり。おそらく10kmもない。当時、旅先でサイクリングをすることに憧れていた僕は、「これなら自転車でもイケそう!」と、思ったのだ。ネットで「自転車 平均時速」なんて調べると、だいたい10~12km/hと出てくる!

9km程度の道のりに対し、10~12km/hの自転車。いかに屋久島が起伏の激しい島だとしても、2時間もあればで着いてしまうのではなかろうか!・・・こうして、妙に気合が入っていた僕は、白谷雲水峡を自転車で行こうと決めてしまったのだ。

・・・甘かった。ダメだった。馬鹿だった。イキっていた。失敗だった。調子に乗っていた。宮之浦港近くにある宿を出発して2時間、僕と友人6人の計7人は、噴き出る汗を地面に垂らしながら、とぼとぼと自転車を押し続けていた。

宮之浦港付近

宮之浦港付近

2時間前のスタート時こそ、快調だったのだ。朝8時出発。気温もそれほど高くなく、上り坂も少ない。島で初めて漕いだ自転車は、風を受けてめちゃくちゃ気持ちが良い。あのころはまだ7人の会話も弾んでいた。良い景色を見つけては、自転車を止めて写真も撮ったし、何かボケをかまして笑い合ったりもしていた。「今日撮った写真は結婚式のお祝いムービーで使えそうだよね!」なんて言ったりして。

青い空と煌めく海、そして雄大な屋久島を背景に大学生が7人自転車を漕ぐ。そうそう、僕はこんなサイクリングに憧れていたのだ。なんて気持ちが良いのかしらん。これぞ青春!BGMには奥田民生の『さすらい』が似合いそうだ。

地図に従って車道を右に曲がる。スタートして10分ですでに1kmほど走った。おお、こりゃホント2時間もあれば着くなァ。お気楽大学生7人は、割と本気でそんなことを話していた。

汗が絞れてしまうほど

バスが追い抜いて行った・・・

バスが追い抜いて行った・・・

ja.wikipedia.org

それから、メンバーの汗がしたたり落ち始めたのが40分後、全員の会話が途切れ始めたのが60分後、少しずつ息が上がり始めたのが80分後くらい。いつの間にか、自転車は“漕ぐもの”から“押すもの”になっていた。さっきまでは散々「綺麗!」なんて言って喜んでいた景色も、歩くもんだから変わり映えもしないし飽きてくる。そして何より、どうしようもなく暑いのだ!

ふと、白谷雲水峡行きの路線バスが僕らを追い抜いて行った。そう、自転車以外の選択肢があったとすれば、あの路線バスに乗ることだったのだ。1日8本の路線バス(繁忙期)、片道は500円、バスに乗車すれば30分で着く白谷雲水峡。それを僕らは自転車を押して登って行く。レンタサイクルは1日2000円、出発して2時間以上、地図を見る限りゴールは果てしなく遠い・・・。バスや車が通過するたび、みんな僕らをちら見していく。なんでこんなことをやっているんだろう。あっこれ、企画したのはこの僕だ。

もはや汗でぬれた服が絞れそうなレベルだった。男の先輩Sさんが「ちょっとシャツ脱ぐわ」と言って服を絞り出す。女の先輩Yさんが「あたしだって脱ぎたいわ」と恥じらうそぶりも無く真顔でつぶやく。あぁ、なんだか申し訳ない。悪いのは白谷雲水峡に自転車で行こうと言い出したこの僕です。すみません。すみません・・・。

無理をして自転車に乗る(雲行きが怪しい)

無理をして自転車に乗る(雲行きが怪しい)

歩きはじめて4時間。僕ら一行は新たな問題に直面しかけていた。それは水分だ。当然ながら、山を登れば登るほど、自販機なんてものはなくなっていく。僕らは多めに水分を用意していたつもりだったが、それを上回る疲労と汗は予想できていなかった。休憩をとる回数も増え始め、女性陣からは弱音の声も漏れる。無理もない。高校まで運動部に所属していた僕でさえ、膝が笑うほど足がガクガクしていた。

予定では10時過ぎには着いているはずなのに、時刻は12時を過ぎていた。おにぎりを食べて昼食にしたいところだが、やはり残りの水分が不安で、食べる気もあまり起きない。けっこう坂を登ったからか、少しだけ涼しく感じるのが救いである。

・・・と思ったら、瞬く間に土砂降りになってしまった!

さすが、山の天気!さすが、「1ヶ月で35日雨が降る」と言われる屋久島!シャツにまみれた汗は雨に流され、歩くのもばかばかしい。仲間の6人もヤケクソになってきたのか、みんな笑い始めていたのが僕には救いだった。

どうにかこうにかたどり着いた・・・

どうにかこうにかたどり着いた・・・

びしょ濡れだったはずのシャツが再び乾き始めるほど天気は回復。めまいがしそうなほどの道のりを経て、白谷雲水峡にたどり着いたとき、時刻はすでに14時30分を回っていた。白谷雲水峡の景色よりも、ここにたどり着いたことでもう満足だった。

登りに6時間30分もかかってしまった以上、ここでのんびりすることもできない。白谷雲水峡の散策コースを見ると、所要時間はどれも2時間から6時間程度。僕らは2時間コースを30分ほど歩き、そこで折り返すのが精いっぱいだった。本来なら不完全燃焼なんだけど、みんな心のどこかで「もういいや」と、思っていたような気がする。

こうして時刻は16時。僕らがたどり着いたときにはちらほら見かけた他のお客さんたちも、ほぼみんないなくなっていた。

白谷雲水峡から自転車でくだっていく!

くだりは驚くほど快適!

くだりは驚くほど快適!

くだりの自転車は、別次元の乗り物だった。ひたすらくだるのみ。来る途中に見てきた景色が、まるで走馬灯かと思えるほど、パァァァァと展開されていく。時間を掛けて何度も巻いたゼンマイが一気に動き出したかのような感覚だった。

自転車はそこそこ加速しているのだが、視界が開けているので危なく感じない!下の方までうねうね伸びている車道がずっと先まで見渡せる!当然、この夕暮れ時に対向車は1台もない!

それに景色だって驚くほど綺麗なのだ。山の向こう側に太陽が沈み、空はぼんやり赤みがかっている。遠くに小さく見える集落とその向こうの海まで赤みがかっていて、この特別な景色はこの場所でしか見られないと思えた。路線バスに乗っていた場合、こんな景色に出会えていただろうか。

僕らは白谷雲水峡が不完全燃焼だったけれど、そのかわりに特別な経験と景色を見たに違いない。うん、みんなには迷惑かけたけど、なんだかんだで満足してくれているはずだ。



・・・と、僕は自分に言い聞かせながら坂道を下る。

行きは6時間30分、帰りはなんと・・・45分。圧倒的速さで下り終えてしまった!

白谷雲水峡

地図を見る限り、それほど遠くない気がしたのですが・・・うーん。

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