足もとのタイル
粟島の釜谷地区を散歩していると、足下にこんなタイルを見つけた。
ワッパ煮
大謀網
・・・あっ、なるほど。
この島の名物をタイルにしているのか。
へー、この島ってふぐもとれるんだ。
このオオミズナギドリが島では有名なんだっけ・・・詳しく知らないや。
特別なタイルではないのだが、どうしてだろうか。
ひとつ、ふたつと見ていくうちに、なんだか次が気になっていく。
釜谷地区周辺の歩道は起伏が大きめなのだが、そんなことも気にならないほど、歩くスピードに調子が付く。
僕が歩いたかぎり、タイルは16個見つけた。
実際はいくつあるんだろう。
おばあさんと畑
「どこへ行くの」
竹林の遊歩道を抜けると、おばあさんに声を掛けられた。
「こんにちはー。散歩ですよ」
粟島の凄いところは、すれ違いざまに声を掛けるとすぐに世間話が始まってしまうところだと思う。それは僕のようなよそ者が相手でも関係ない。
おばあさんが畑に行くというので一緒に歩く。
おばあさんは粟島で生まれ育った90歳。
「やっぱり動くのが好きでね。この年で元気にやれてるのも歩くからじゃないかな。子供たちからは、心配だしあんまり無理をするなって言われるけど」
と笑う。
畑は歩道のわきにあった。ゴミを拾い、肥料を蒔きと作業をするそうだ。
島ののどかな風景の一部に過ぎなかった畑だが、こうして島民のおばあさんと話しながら見ると、その見え方も違ってくる。この畑ではじゃがいもが育っているらしい。
粟島に来てからというもの、コロッケやみそ汁など、なにかとじゃがいもを口にする機会があり、まぁこれが甘いわ良い香りだわで旨いのだ。あまりにも旨いので、つい昨日、港近くの直売所で購入したのだが、じゃがいもは8個入って200円という安さ。僕が購入したそれが、おばあさんの畑から採れたものかはわからないけれど、こうやって島の生活を垣間見てしまうと、そのありがたさを感じずにはいられない。
歩いて、話して、見えてくる景色。それがまた、面白かったりする。
おばあさんは、ほぼ毎日、農具を背負いながら、集落から30分近く歩くそうだ。
「子供たちは車で送ってくれようとするけどね。できれば歩きたい」
と意気込んでいた。
高台と海
こうして、タイルを追い、おばあさんと話し、気の向くままに歩いていると、いつの間にか高台に来ていた。
島とは基本的に海から顔を出す山みたいなもの。少し歩けば、すぐ上り坂である。
海の方を向くと、山肌を撫でるような海風が吹く。
「あっ、この景色は好きだ」
そう思いながらシャッターを切ってみる。塩竃六社神社から見渡す景色はひと目で好きになってしまった。
気の向くままに歩き、そこでぱったり出会う景色が良かったりする。
「歩くっていうのも捨てたもんじゃないな」と、粟島でも感じさせられた。
粟島・釜谷集落
この周辺を散歩した。
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