ガラガラの小笠原高校。避難所生活を楽しむ。(小笠原諸島・台風シリーズその3)【旅レポ】

tanoshimasan

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(小笠原諸島・台風シリーズ) その1>その2>その3>その4 「小笠原に台風が上陸するらしい。」

 小笠原諸島に滞在中の2009年9月16日、そんなニュースが舞い込んできた。定期船は台風が通過するまで欠航が決定。本州から1000km離れた小笠原の地で、台風をしのぐことになった!

30人いるかいないか

(前回より)

 いよいよ本格的な暴風域に入るようだ。宿での夕食も済んでひと段落した21時ごろ、避難をすることに決めた8人は避難先である小笠原高校へと向かった。 「この建物の2階が体育館で避難所になっています。マットと毛布があるので適当に敷いて寝てください。あと、非常食と非常水もあるのでご自由に取ってくださいね。」

と、小笠原村役場の職員と思われる方から説明を受ける。だが、その説明はどこか事務的でやはり台風が近いという緊迫感は感じない。「大型で非常に強い台風14号」と聞いていたはずだが。 避難所に入ると、ある意味予感したとおり、ガラガラだった。集落ごとに避難所があるにしても、2000人の人口に対してあまりに少ない。おそらく30人いるかいないかといったレベルだ。内地から放送するテレビのニュースが「大型!危険!注意!」と叫んでいたが、それよりも現地のガラガラの避難所の方が説得力を感じた。島民にとってはこの程度の台風は慣れっこなのかも知れない。避難した僕らでさえ、

 「まぁこれも良い経験だよね!」と、割り切っていた。

『解放厳禁』←「内地に帰って仕事しなくていいなら・・・」

 「見て見て、これ・・・」ふと、みんなに声を掛けたのは一緒に避難をした女性・Hさん。避難所のガラス戸にあった貼り紙を指さしていた。

 『解放厳禁』

間違えてるーーー!風が強いし、たぶん、たぶん『開放厳禁』って書きたかったんだよね?それとも僕らは人質なんでしょうか。。 「内地に帰って仕事しなくていいなら、ずっとここにいたいよ・・・。」

会社員のMさんがぽつりとつぶやき、全員ハッとした。

パジャマ姿の成人男女で校内探検

 9月19日。この日の10時ごろに上陸するらしいのだが、8時ごろからトランプに夢中になっていた僕ら。気付いたころには11時を過ぎていた。さすがに飽きてきた僕らは、校内を探検することに。小笠原高校は体育館と教室が行き来できる構造のようで、僕らは久々に身体を動かした。

 小笠原高校は、離島としては比較的生徒数の多い学校で、教室は学年ごとに分かれていた。 「見て、この子超かっこよくない!?」

と、はしゃぐHさん。彼女は教室に貼られていた修学旅行の写真スクラップに見入っていた。どこに注目してるんですか! 1週間に1便の定期船で結ばれる小笠原諸島ということで、この学校の修学旅行はなんと内地へ2週間。その様子が写真スクラップになっていてとても楽しそうだった。観光客の僕らが島を訪れることをワクワクするように、この島を出て内地で2週間も過ごすなんて、修学旅行としてはかなり贅沢なことかもしれない。それでいて、普段はイルカやクジラが見られる島で生活をしているわけだ。恵まれているなぁとしみじみ感じる。

 島の高校生活を垣間見てはきゃあきゃあ盛り上がった。パジャマ姿、無精ひげ、すっぴんの男女が、校内を徘徊していちいちテンションを上げているのだから、それはそれは妙な光景だったと思う。

非常食を食べてみよう

 僕らはのほほんと教室探検をしていたが、台風は確実に勢力を増していた。窓を叩く雨はまさに横殴り。それどころか、校舎から見える海の水を巻き上げているようにも見える。 教室の窓のさんには新聞紙が敷かれていたが、それでも水が漏れていた。

 校内探検にも飽きた僕らは、昼食をとることに。せっかくだから非常食を食べてみようということになった。

 その名も「安心米」。なんとお湯を入れるだけで五目ご飯が出来てしまう!らしい。正直なところ、それほど美味しいと思えるものでは無かったが、ロクに外出もできないことを思えば、「こういった食事の存在がありがたいね」という結論になった。 しかし、30人程度の避難民に対して、「安心米」は100個以上あった。

 「これだけあるとさ、いっぱい持って帰りたくなっちゃうよね!」 Hさんが言う。

 「えーっ、怒られないですかね。」と、心配する僕をよそに、Hさんは大量の「安心米」をしげしげと眺めている。そこへ偶然通りかかった役場職員のおじさんが一言、

 「それ賞味期限近いからさ。たくさん持って帰っていいよ。」 結局、僕とHさんで20個近く頂くことに。帰りのお土産に非常食が加わってしまった。

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