数年前、僕はラブホテルと呼ばれるレジャー施設で清掃のバイトをしていました。ラブホの職場環境は「面白いと思えば面白い、特殊と思えば特殊、普通と思えば普通」という何とも不思議な感覚があります。このシリーズ?では謎の多いラブホテルの舞台裏に少しずつ迫っていきたいと思います(脇汗)。
借金を返すために入社したUさん
山梨県からラブホテルに出稼ぎに来たUさんという40代男性の社員候補の人がいました。社員候補の人は2週間の研修期間があります。1通りの仕事を体験したところで、社長と面接をして合格となれば入社という運びになります。
Uさんはとても正直な人で、社長との面接で「借金があるので返せるように頑張ります!」と多額の借金を背負っていること暴露・・・。「借金のことを面接で話すなんて変わってるね・・・」と社長に首をかしげられながらも、晴れて社員登用されることになりました。
布団置場に仕切りを立てて寝室を作る
社員の人は基本的にホテルの敷地内に住んでいます。ホテルとは別館にあるフロントの2階が寝室になっていて、6畳1間の洋室に2段ベッドが置かれている部屋と4畳半の和室の部屋がありました。しかし、そこには他の社員さんが住んでいてUさんの寝床はありませんでした。
そこで、ホテル内のリネン室の2階にある布団置場にUさんの寝床を作ることになりました。 6畳ほどの布団置場の奥に、仕切りを立てて箱状の部屋を作ります。その部屋に木で作った簡易ベッドを置いて出来上がり!シンプルな作りで住みやすそうなイメージがありますが、部屋のサイズは2畳にも満たない窮屈なスペースです。
部屋の明かりを豆電球でとり、ベッドの脇に14インチのTVが置いてあります。窓がないので常に薄暗く、湿気がこもっているのでカビ臭く、わずか2畳にも満たないスペースは寝室というよりは押入れです。閉じ込められたら1日で発狂してしまいそうなくらい過酷な環境でした。
最初は頑張っていたUさんもやがてアル中に・・・
借金を返すために頑張っていたUさんも、入社2ヶ月を過ぎると徐々に失速していきました。1日15時間労働というハードワークについていけず、持病のヘルニアを再発して身動きが取れなくなってしまいます。気がつけば部屋に閉じこもるようになり、あまり仕事場に姿を見せなくなりました。あるとき、ひょっこりリネン室に現れたUさんは、冷蔵庫にあるお客さん用の日本酒(ワンカップ大関)を取って帰っていきました。
冷蔵庫から日本酒がどんどん消えていき、日本酒が無くなると今度は缶ビールが消えていきます。Uさんの部屋にご飯を運びに行くと、室内に酒瓶が転がっていて異常に酒臭いのです。完全にアル中と化したUさんは昼間から顔を真っ赤にしてグーグー寝ています。
アル中な上に不倫までしていた!
給料泥棒と罵られていたUさんは、無断で山梨に帰ってしまいました。それを心配したY主任はUさんの実家を訪ねに行くと「すいません!すいません!」とUさんは平謝り。会社を辞めた理由を問い詰めると、40代女性スタッフのRさんと不倫関係にあったことを自白します。交際が破局を迎えて傷心したUさんは、酒に走って寝込んでしまったそうです。
女性スタッフRさんは魔性の中年と呼ばれており、同世代の中年男性を狙って片っ端から落としていくことで有名でした。Rさんの毒牙にかかったUさんは、恋に溺れて酒に溺れて金に溺れて溺死してしまいました。自業自得とはいえ、故郷に妻子を残して出稼ぎに来たUさんを気の毒に思います。
「酒と女と金には気をつけろ!」わかっていても・・・引っかかってしまうもんですよね・・・。
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