数年前、僕はラブホテルと呼ばれるレジャー施設で清掃のバイトをしていました。ラブホの職場環境は「面白いと思えば面白い、特殊と思えば特殊、普通と思えば普通」という何とも不思議な感覚があります。このシリーズ?では謎の多いラブホテルの舞台裏に少しずつ迫っていきたいと思います(脇汗)。
ホテルのオバケにおびえる従業員
「このホテルにはオバケの出る部屋がある・・・」という噂話がありました。僕自身、霊感が強くないので見たことはありません。しかし、女性スタッフに霊感体質の人が多く、週1回くらいの確率で見ていたそうです。「キャー!出たー!」みたいな叫び声がしょっちゅう聞こえてきました。
イギリスでは霊の出るホテルやマンションは人気があるという話を聞きます。オバケ見たさにホテルに泊まる人もいるくらいです。ディズニーランドのホーンデットマンションみたいな面白いオバケが出る分に大歓迎だけど、僕がいたホテルにはガチで怖い・・・ほんとにあった怖いオバケだったのです。
女性スタッフによる霊体験談
オバケが出る部屋と出ない部屋があるらしく、要注意なのは3号室、8号室、11号室でした。なぜその部屋に出るのか理由は分かりません。あえて言うなら他の客室と比べた場合、デザインやインテリアになんとなく出そうな雰囲気があります。女性スタッフの霊体験を以下にまとめてみました。
40代女性スタッフRさんの霊体験 (11号室)
11号室は部屋全体が鏡張りになっています。ある夜、Rさんが鏡を拭いていると、背後に白い着物姿の若い女性が現れてこちらをジッと見ていたそうです。「ギャッ!」と声を上げて振り返ると誰も居ませんでした。再び鏡を見ると、着物姿の女性がどんどんRさんに近づいてきて、そのままスーッと目の前の鏡に吸い込まれて消えてしまったそうです。シャレになりませんね・・・。
30代女性スタッフNさんの霊体験(3号室)
3号室で清掃を終えた男性スタッフが部屋を出ようと階段を降りていると、突然「キャッー!」と背後から叫び声が聞こえました。驚いて振り返ると女性スタッフのNさんが1回転して階段から転げ落ちてきたそうです。Nさんは「後ろから誰かに押された!」と主張します。しかし、Nさんは最後に部屋から出たので押されることはありえません。「また押されちゃった・・・」と言うNさんは、全治1週間の捻挫で翌日から欠勤しました。「何度も押されてるのかよ~」というのが僕の感想です。
フィリピン出身の40代女性スタッフKさんの霊体験(8号室)
掃除のスピードが速いフィリピン人のKさんは、「終わったから次の部屋に行ってるよー」と言葉を残して8号室を去っていきました。2秒くらいして「ひゃ~~!」という叫び声がしたので駆けつけると、「出ただよ!出ただよ!」と声を震わせて顔を真っ青にするKさんがいました。話を聞くと、階段の下でしゃがみ込んでこっちを覗き見る男がいたそうです。ボロボロの白いTシャツに茶色の短パンを履いた中年の男性らしく、その場に居合わせた女性スタッフのRさんが「私もそれ見た!たぶん戦時中に亡くなった人の霊だと思う」と幽霊談義に花を咲かせていました。怖かったです。。。
なんだかんだで自分も見てしまった・・・
「霊感が無いことがオレの長所!」として生きてきた自分なので、まさか見ることはないだろうと思ってました。そんなある日、霊感体質の女性スタッフNさんと休憩室で雑談をしていました。「11号室に若い女の霊が出るらしいですね。目の前に出てきたらフェ〇とかエロいことしてもらいますよー!」と舐めた口調で話していた僕。Nさんも「ギャハハ―!」みたいな感じで笑ってました。
「やっぱりさ、若い女だったらエッチなこと好きだと思うもん!」と言った瞬間に、Nさんが僕の腕を引っ張って窓を指さしました。「えっ!?」と驚いて窓を見ると、白い布をまとった人影が左から右へスーッと抜けていくのがハッキリと見えました。「ねぇ、見たでしょ?今の!」と聞かれたので「見ました!」と即答しました。
霊感はないと信じて生きてきたのに、完全に幽霊を見てしまったのです・・・それ以来、1人で客室に行くときは歌いながら入るようになりました。
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