お笑いライブに出演して度胸をつけたいホストの心情 【噂のホストNo.1】その22

naoki1014

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 ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。

度胸をつけるためにお笑いライブに出る

ホストを始めてから2ヶ月が経ち、まったく女にモテる素質がないことが発覚した自分。女性とのトークに慣れるためにガールズバーに通っては金を無くし、出会い喫茶でキャッチを試みては女に金を騙し取られ、キャバ嬢をゲットしてホストクラブに連れ込んだものの、酒代を全部払わされて儲けはパー!

もうどうにもならない・・・そもそも自分には女を口説く度胸が足りない・・・
度胸を付けるためには・・・そうだ!お笑いライブに出よう!!

突然、意味不明な行動を思いついたように見えますが、僕は芸人をこころざしていた時代があるです。3年くらいズルズルと芸人を続けた末に全く売れず、金に困ってエロゲーのシナリオライターになったという経緯を持ちます。さらにエロゲー作家になっても金に困り、金の匂いがするホストに転身したのでした。

声優の女の子を相方に誘ってみる

かつての芸人仲間のコネを使い、知人がプロデュースするお笑いライブへの出演が決まりました。問題は相方・・・。元々ピン芸人なので1人で出ることも可能です。でも、どうせなら舞台の力を借りて女に慣れたい。女性を相方にできれば一石二鳥じゃないか!

でも、女友達なんて全然いなかった。友達どころか知り合いさえいない・・・
あれ・・・いた!

唯一の知り合いだったのはエロゲー制作でお世話になったことのある女性声優の存在でした。僕は思いきって現役プロ声優の渡瀬ゆずの(仮名)さんに電話をかけました。

僕「あのー、仕事の依頼なんですけど・・・お笑いライブに出演してくれませんか?」
ゆずの「お笑いライブ!?なんですかーそれ?」

僕「相方として出演して欲しいんです。ちゃんとギャラも払いますから」
ゆずの「へー、面白そうですね。いいですよ!」

なんと二つ返事でOKしてくれました。ゆずのさんは21歳の女子大生でゲームの声優で進学塾の講師もしているという多忙な人でした。ちゃんと打ち合わせをする時間もないので、ライブ当日に現場でネタ合わせをするという強行策に出ました。

プロ声優を贅沢に使って斬新なネタに挑戦

「イナバとゆずの!」

劇場内にコンビ名がアナウンスされ、軽快な出囃子の曲に乗せられて舞台上に躍り出ました。

僕「はいど~も~~!いやいやいや~!」
ゆずの「いや~始まっちゃいましたね~」

僕は黒いスーツに身を包んで黒いプラスティックバットを片手に持ち、ゆずのさんは胸元の空いた少しセクシーなワンピース姿で舞台に登場しました。お客さんの目からどんなコンビに映ったのかは想像できません。

僕「なんと相方の渡瀬ゆずのさんは、現役バリバリの声優さんです!」
ゆずの「はい、ゲームやアニメに声をあてるお仕事させてもらってます!」

僕「ゆずのさんのプロ声優として実力を見せたいので、昔話から『桃太郎』を演技してもらいましょう」

プロ声優の演技が見られるということで、会場のお客さんにも期待の空気が広がります。

僕「どんぶらこ~どんぶらこ~と大きな桃が流れて来ると…お婆さんは桃を拾って食らいつきました」

僕は黒いバットをゆずのさんの口元に差し出して、桃に見立てて食べるように指示を出します。

僕「はい、桃がきたよ!大きく口を開けてガンガン食べて!勿体ないから種まで全部舐めまわして~!」

ゆずのさんは言われた通りにバットを桃のように頬張って、先端をベロベロ舐めまわす仕草をしてくれました。

僕「フェ〇チオじゃねーかーっ!!」

その瞬間、プラスティックのバットでゆずのさんの頭を思いきり叩いてツッコミを入れます。舞台裏のスタッフは爆笑。場内のお客さんは失笑です。男性客は笑ってくれますが、女性客からはピクリとも笑いが漏れません。

このような出落ちでスベッたネタは修正が利きません。この後、キジを登場させたり犬を登場させたり、シモの流れから正しい方向に物語を戻そうとしたものの時すでに遅し!一度引いた客のリアクションを修正することはできませんでした。

舞台度胸をつけて、女にも慣れる!その結果、舞台でスベッて女にも嫌われる!
それでも、自分の中で何かがスカッとはじける瞬間を感じた夜でした。

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