お笑いライブに出演して度胸をつけたいホストの心情2 【噂のホストNo.1】その23

naoki1014

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ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。

懲りずに再び声優とライブに出る

女にモテるためには女の胸に飛び込んで行く度胸が大切だと勝手に一念発起した自分。元売れない芸人だったこともあり、友人のツテを借りて約4年ぶりにお笑いライブに出演しました。結果はほぼ笑いゼロの惨敗!プロ声優の渡瀬ゆずのさんを相方に迎えながら、オチでスベッて客がどん引いてしまいました。芸人としてもホストとしても完全にスベッたな~と落ち込んでいるとき、僕の携帯電話に吉報が入りました。

ゆずの「知り合いにお笑いライブに出演したい声優の子がいるんですよー」
僕「え、マジですか?」

ゆずの「はい、先輩なんですけどお笑いマニアの人なんで紹介したいんですよ」
僕「お願いします!」

同じ業界で活躍していた仲間だった

ゆずのさんに紹介された女性は桂木ちかさん(仮名)と言って、ウィキペディアで調べても出て来るようなゲーム業界ではけっこう有名な声優さんでした。驚いたのは自分が過去にシナリオ制作に関わっていたエロゲーに出演したことがある人だったこと。

僕「あのゲームのシナリオ、僕もシナリオ書いてたんですよ」
ちか「えー!?本当ですか?」

的な感じで携帯電話で会話をしたら直ぐに仲良くなりました。やはり、プロの声優さんということで仕事を複数かけもちしており、ライブの稽古に多くの時間はさけない様子。またしてもライブ当日にネタ合わせをするという、ぶっつけ本番の形になってしまいました。

桃太郎に続いて今回は白雪姫に挑戦

「ライブの日はパーティードレスみたいな衣装を着てくださいね!」というリクエストにちかさんは忠実に応えてくれました。実際に会ってみたら意外にも巨乳な人で、女のパワー丸出しな感じがして僕は焦りました。

夫婦漫才でもあるまいし、客観的に見たらいやらしい感じの男女に映るに違いありません!どうすっかなぁ・・・。しばらく考えた後、ちかさんの巨乳を利用したネタに切り替えることにしました。

僕「じゃあ、白雪姫のストーリーを僕が読んでいくので、それに合わせて動いてくださいね」
ちか「合わせるだけでいいんですか?台詞とかは?」

僕「台詞は決めてないんですけど、反抗的なキャラでお願いします」
ちか「反抗的な・・・?」

僕「とにかく、僕のやることに反抗してぶつかってきてください!」
ちか「わ、わかりました・・・」

笑いが何なのか分からなくなって舞台終了

「イナバとちか!」

コンビ名を告げる大きなアナウンスと軽快な出囃子と共に呼び出されます。僕は前回と同じように黒いスーツに身を包み、ちかさんは胸元を強調したセクシーなパーティードレスで登場です。

僕「はい、ど~~も~~!いやいやいや~!懲りずに今回もプロ声優を連れてきちゃいました~」
ちか「えー?前回も声優さんと出演したんですか?」

僕「そうですね、下ネタを出してスベッてしまったので今回は真面目にいきます!」
ちか「女の子に下ネタは駄目ですよ~、最低じゃないですか!」

ちかさんはリクエスト通りの反抗的なキャラクターでツッコんでくれました。僕は白雪姫の物語を語り始め、ちかさんはそれに合わせて動いてくれます。

僕「おや、これは綺麗なお姫様だ。森に迷ってお腹が空いたでしょう?リンゴを1つどうぞ~」
ちか「いりません!あんたみたいな怪しいセールスマンのリンゴなんて食べません!」

本来の白雪姫のキャラクターとのギャップに驚いたのか・・・お客さんからクスクスと少しだけ笑いが漏れました。チャンスです!ここを上手いこと拾えば笑いを広げられるかもしれない!

僕「あぁっ?リンゴはいらないだと・・・お前はもう立派なリンゴを2つ持ってるじゃないかっ!」

僕はポケットに隠し持っていたリンゴを、ちかさんの胸にギュッと押し付けました。その瞬間からお客さんはシーン・・・クスクス笑いも沈黙に変わりました。またしてもドン引きです・・・。

ちか「キャーッ!変態っ!ここに痴漢がいます!誰か捕まえてー!」

ちかさんが慌てて切り返しても客の空気は戻ってきません。どうにもならないので一か八かの賭けに出ます。

僕「わかったぞ!お前が欲しいのはリンゴじゃなくてコイツだろ?」

僕は内ポケットに隠し持っていたバナナを取り出し、自分の股間にあてて皮を剥き始めました。

ちか「はぁっ!?」
僕「オラオラオラオラーッ!」

股間に当てたバナナを激しく揺らすと、バナナが根元でポッキリ折れて舞台に落ちました。その瞬間、どっと笑いが起きて僕は完全に力尽きました。これ以上、引き出しはありません。

僕「落としてー!早く証明落としてー!」

半分、テロのような形で舞台に幕が下りました。4分の予定だったネタはわずか1分半で終了。偶然的に起こった笑いでなんとか凌いで逃げました。それ以来、ちかさんとの共演の話は無くなりました。

やはり、ネタもしっかり作り込んで稽古もしっかり積まなければ笑いはとれません。芸能の世界もホストの世界も中途半端では通用しないことを悟った夏の夜でした。

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