ハハジマメグロを撮りたい!(母島)【旅レポ】

tanoshimasan

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島の中じゃスズメくらいの感覚

 ちゅんちゅんとさえずる小鳥に、ここまで執着したことがあっただろうか。僕はカメラを構えてじっと待つ。狙いは木陰に設置された、小鳥向けの水飲み場だ。 ちゅぴぴぴ。という鳴き声と共に、黄色と緑の鮮やかな小鳥が1羽、2羽。よし、ピントを合わせて・・・、カシャ。むー、鳥の撮影ってなんでこんなに難しいんだろう・・・。

 母島最南端・南崎へ向かう遊歩道で、僕はハハジマメグロを撮影するチャンスを窺っていた。絶海の孤島とも呼べる小笠原諸島には、様々な固有種、つまり世界中を見わたしても、小笠原諸島でしか生息していない動植物が存在する。ハハジマメグロもそんな固有種のひとつ。その名前のとおり、小笠原諸島でも母島列島にしか生息していない鳥だ。 「絶滅危惧種に指定されているけど、島の中じゃスズメくらいの感覚でよく見かけるよ。」

 ハハジマメグロについて調べると、島民も観光ガイド本も、決まってこう説明する。その証拠に、僕もハハジマメグロにはいとも簡単に出会うことができた。天然記念物という希少性を持ちながら、母島ではちっとも珍しくないという面白い存在なのである。 それでも観光客の立場からすれば、「母島でしか見れない鳥」と聞けば、ぜひとも写真に納めたいもの。しかも、ちょうど手ごろな距離感でひょっこり現れてくれるから、ついついシャッターチャンスを窺ってしまう。

 しかしこの日、撮れたと思っていたハハジマメグロの写真は全部ぼやけていた。あーあ。

写真のイラストのように、遊歩道の道中に水飲み場がある。トレイが渇いている時は、水を入れてあげよう。

次から次へとやってくる

 ハハジマメグロはその名のとおり、目の周りが黒いのが特徴だ。小笠原には、目の周りが白く、ほぼ同じ見た目のメジロもいる。大きさもほぼ同じなのでややこしいが、じっくり目元を観察すれば、その違いがわかるはずだ。 僕はこの日も南崎への遊歩道へ向かった。南崎への道中には、木の上に小鳥の水場と称したトレイが、何か所かに設置されている。ここはまさに小鳥たちの休憩所で、メグロにメジロ、ウグイスなどが交互に訪れては水を飲んでいるのだ。中には、ちゃぽんと浸かって水浴びをするヤツもいるからカワイイ。その下には雨水を溜めたペットボトルが数本並んでいて、気づいた人間がトレイに水を補充してやる仕組みだ。

 ちょうどトレイが渇いていたので、僕は水を補充した。そして、少し離れた場所からトレイを観察していると、ほどなくして小鳥たちがやってくる。さすが南の島、小鳥たちも暑いのだろうか。ちょこちょこ動く小鳥たちも、水場に降りるとそのまましばらく休憩する。やはり、ハハジマメグロを撮りたければここしかない。 小鳥は次々やってくる。ぱぱっと現れて、水を飲んだり、水浴びしたり。その姿がいちいち愛らしく、見ているだけでも十分癒される。あっ、忘れちゃいけない。しっかり写真も撮らないと。

 しかし撮っても撮ってもぼやけていたり、ブレてたり。カメラが悪いのか、技術が悪いのか、場所が悪いのか。結局、諦めて帰ることにした。 と、ふと脇を見れば、木の枝に止まってのんびりしているメグロちゃんが。カシャッ。あら、あっさり撮れちゃった。

それでもまだまだ “いい写り” じゃないですね。精進せねば・・・

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