小規模離島からの発信

tanoshimasan

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国境離島に見る過疎・高齢化

島を守ること

 『WEDGE 12月号』が離島にまつわる特集記事を組んでいました。「99の国境離島 守る覚悟はあるのか」というタイトルで、過疎・高齢化が進む国境の離島を国策としていかに守っていくべきか、論じられています。 記事中では、警察官が2名しかいない人口2780人(2010年国勢調査)の島・下甑島(しもこしきじま、鹿児島県)に中国船が漂着した事件を例に、過疎の島の危うさを指摘。この事件では、1997年のある日、突然およそ20人もの中国人が島に降り、島民らに混乱と衝撃を与えました。この件においては密航者らも騙されて連れてこられた“被害者”だったそうですが、彼らがもし凶器を持っていたとしたら、島は何を守れるのかと警鐘を鳴らしています。下甑島では2005~2010年までの6年間で人口が329人減少。現在も人口は減り続けています。

 尖閣や竹島ばかりが注目を浴びていますが、防衛力の無い有人島が有事に巻き込まれたとしても、やはり弱いと言わざるを得ません。日本最西端の与那国島でも、自衛隊の誘致をめぐって意見は二分しています。 9ページにわたる特集記事は、その後補助金に頼らない観光客誘致について触れ、

予算が限られていようとも、それぞれの離島が持つ潜在力を十分に引き出して、これ以上の衰退をなんとしても食い止めなければならない。
(引用:「99の国境離島 守る覚悟はあるのか」 WEDGE 12月号紙面より)

と結んでいます。

魅力を発信すること

 国内には有人離島がおよそ430あります。どの島も過疎・高齢化が著しく、前述したような問題は他人事ではありません。僕が個人的に島を歩いて感じていることは、どの島にも「危機感を感じている人は感じている」ということ。

 そして「危機感を感じている人」は、各島々で、もしくは島から離れた場所で、それぞれの島のPR活動を行っています。 たとえな僕の知人だけでも色々と紹介できるもので、「しまのがっこう」という名前で日本の島々について学ぶ機会を設けている、かごしま・島交流の会。五島列島の情報を都内で発信するため、新聞を不定期で発行している有志団体、五島ZINE。人口減が進む口永良部島で、島での雇用増加と観光PRを目指すNPO団体、へきんこの会。などなど。(写真は「アイランダー2012」で島々の勉強会を設けた「しまのがっこう」。)

 『WEDGE』の記事内でも、島内外の有志5人が立ち上げた「五島列島ファンクラブ」が取り上げられており、島の特産品の加工販売、廃校となった小学校でのカフェ経営が紹介されています。 上記はほんの一例ですが、時間があれば彼らの活動について調べてみてください。彼らに共通するのは、決して大人数とは言えない小規模団体。年齢・性別様々ですが、それぞれが自身に出来ることを掲げ、島のために活動しています。加えて言えることは、彼らの取り組みは行政とは別の民間レベルだということ。取り組みに多額のお金を要することも無く、限られた条件のなかで運営をしているのです。

 様々な考え方がありますが、島に一番求められるのは魅力を発信することで人を増やすこと。努めて「自分たちに出来ること」を取り組んでいる団体は、想像以上に多いはずです。僕も日々の記事で紹介していきますし、またそういう活動を見かけたら、どうか一度目を向けて頂きたいと思っています。

◇参考ページ◇「99の国境離島 守る覚悟はあるのか」 WEDGE 12月号

関連ページ:(1)、(2)、(3)

 日刊楽島コラム
potaru.com

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