今年の漢字、3位に「島」
「島」は大いに注目されたが・・・
去る12月12日、毎年恒例の「今年の漢字」が発表されました。今年の漢字は「金」だそう。今年は金メダルラッシュもあり、さらには5月の金環日食など。さすがに得票数1位だとそのバックグラウンドは想像できてしまいますね。そのほか、生活保護や消費税問題と「金」にまつわる話が活発だったというのも理由だとか。 そんな「今年の漢字」を毎年公表しているのが日本漢字能力検定協会。漢検ですね。漢検のホームページでは、1位となった「今年の漢字」はもちろん、候補となったトップ20までが掲載されているのはご存知でしょうか。
世界自然遺産登録となって1年が経った小笠原諸島は連日盛況。下手をすれば島へ行く船の予約すら取れないこともあったとか。定住促進の機運も高まってきています。今年開催された「アイランダー2012」では、島々が定住促進ブースを設け、島暮らしの魅力をPRするといった試みもみられました。また、全国のあちこちで島おこしのための活動が行われており、ゆるキャラマスコットの誕生や、自治体主体の観光客誘致ツアーがあちこちで開催されるなど、興味を引くための工夫も細かくなってきています。 ・・・と、いう話は漢検のホームページには一切ありません。ほとんどが尖閣諸島や竹島の領土問題を挙げて今年の漢字を「島」としたものばかりです。決して明るい話題ではないですね。「島」が大いに注目された1年でしたが、やはり人々の心に残っている島と言えば、尖閣諸島や竹島なのでしょうか。
今年改正された離島振興法も、竹島や尖閣諸島問題において重要な役割を担います。
第一条 この法律は、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担つている離島について(後略)
云々とあるように、特に国境離島や異国船の侵入を許しがちな海域の島々は、近隣諸国から守らなければなりません。たとえば竹島のように、いくら日本の島だと主張しても、韓国の人々がそこで暮らし、韓国からの観光客が多く訪れてしまっては、いったいどちらの島か分かりません。 それだけに、島で人々が暮らし活発化していること。これが大変重要になってきます。
離島振興法、ニュースにならない島々を照らせるか
ただ、ニュースで目立つ話はここまで。国境の島々に限った話だけではなく、日本にはそれ以外にも400以上の有人離島が存在しています。そんな島々ですが、「どの島も人口減少が顕著であり、このままでは人が住めなくなってしまう」恐れもあることはあまりニュースになりません。 観光客へのPRに取り組むことで観光客の増加を図るべきなのか、島での雇用を充実させて定住促進を目指すべきなのか。例えば、島民の平均年齢が77歳近くに上り、しかし人口は100人を割っている宮城県の田代島では、島の若手メンバーが集まって、島に多く住む猫をマスコットに観光客の誘致へと取り組み始めました。長崎県の小値賀島では、島外の人々が島での暮らしを体感できるよう、移住者と移住希望者の交流イベントを組むなど精力的。鹿児島県の口永良部島では、人口が150人を割っていますが、伝統芸能を絶やさぬようにと、NPO団体を立ち上げた移住者も。このあたりは島によっても手段がわかれています。
改正離島振興法に離島活性化交付金が盛り込まれたことで、島々が何らかの手段で活性化していくことが期待されています。400超の有人島を思えば、国境離島なんて数えるほどしかありません。ほとんどがニュースにもならないような島ですが、ひとつひとつに目を向けていくと、そこには「島のために」と汗を流す島民がいるものです。 「今年の漢字」ランキング3位にランクインした「島」。来年は別の理由で上位にランクインしてほしいなと、ささやかに願っています。
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