離島キッチンに行ってみる

tanoshimasan

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浅草駅ビルにオープン!「離島キッチン」

 先月(11月)21日オープンしたばかりの EKIMISE に行ってきた。EKIMISE とは東京スカイツリーの開業に伴って改修された駅ビルで、銀座と浅草の2店舗体制を取る老舗百貨店・松屋の4階から屋上までを指すらしい。外装は松屋・浅草支店としてオープンした昭和6年(1931年)当時のアール・デコ調に戻しており、浅草らしい昭和の香りが漂う。 5月22日の開業以降、休日の浅草界隈の混み具合ときたらかなりのもの。東京スカイツリーのオープンから半年以上経過した12月でさえ、東京スカイツリーや浅草の観光客が立ち寄ることもあってか、老若男女国籍問わず相当なにぎわいだ。

  さて、僕がこの浅草を訪れたお目当てもその EKIMISE にある。その名もまさに「離島キッチン」。なんでも、離島の郷土料理専門の飲食店とかで、 EKIMISE 開業時の新聞記事でもその変わった名前が取り上げられていた。東京スカイツリー、都会的スマートさと下町情緒が入り混じる浅草で“離島”を感じられるのだから興味深い。いったいどんなお店なんだろう・・・!  

裏を返せば「あるものはある」

 ということで、地下鉄から浅草駅に降り立った。レトロな雰囲気をそのまま残す浅草地下街を抜けて EKIMISE に入ると、打って変わって煌びやかな印象。既に昼食時とあってか、7階の飲食店街へ向かうエレベーターにもなかなか乗れなかった。離島キッチンはエレベーターを降りて左手すぐにある。 7つの飲食店は例外なく混んでいた。なかでも、やや小さめスペースの離島キッチンは空席ひとつ無く、順番待ちの受付簿に名前を書いて待つことにした。木目調の外装に並べられた植木。

  横には「ないものはない 隠岐國 海士町観光協会」とシンプルなポスターが貼ってあった。そう、この離島キッチンはもともと島根・中ノ島の海士町観光協会 が移動販売カーとして、不定期に営業していたのが発端。元々は中ノ島を中心とした隠岐諸島のPR活動の一環だったそうだが、徐々に実績を上げ、ついには店舗として EKIMISE からオファーを受けたという。(東武食品サービス株式会社が運営) 僕のあとに来たカップルが「『ないものはな い』だって。ウケるねー。」と笑っている。どの島も観光PRをするとき、よく「この島には何もないよ」なんて言う。それは、何もないことが魅力的だという ひとつの価値観だが、何でも揃うこの東京・浅草で、このカップルにはどう見えているのだろう。しかし島の料理はどれもがうまいのだよ。裏を返せば「あるものはある」のだよ。僕は頭の中の届かない声でカップルに説明した。

隠岐名物・寒シマメ漬け丼

 メインメニューは5品、それにアラカルトメニューや島のお茶、焼酎といったドリンク類がちょこちょこ。僕は「当店のオススメ」であり、隠岐名物の寒シマメ漬け丼を選んだ。聞くと、寒シマメとは隠岐の言葉でスルメのことだそうだ。 どうでも良い話だが、その日、朝食は食べていない僕。料理を待っている間に、お腹が露骨に鳴った。料理を運ぶパートのおばちゃんに笑われる。おいおい、もう少し我慢できんかね。

  料理が運ばれてくる。メインの寒シマメ漬け丼がどどん、それに味噌汁と小鉢がいくつか。島では定番のきざみめかぶや、鹿児島離島でよく食べられる味噌ピーナッツなどが乗った小鉢もニクい演出だが、やはりここはメインの寒シマメ丼から頬張りたい。てっぺんには卵黄が乗せられているが、まずは黄身を潰さず、イ カの肝醤油でヅケにしたシマメとご飯を頂いた。 ん~~~~~。

 いやあ、やっぱり島の味と言えばヅケに限る!そもそも ヅケとは冷蔵技術が未発達だった時代に魚介類を日持ちさせるために考えられ島々の食文化を支えた素晴らしい技術なのだがいやはやそんなことはどうでも良くてただただうまい!ポイントは肝醤油だろうか、このコクがたまらないのだ!黄身を混ぜると肝醤油がさらにマイルド。うまい。 結局あっという間に食べてしまった。ほかのメニューも気になるな。むむう。

 食べ終わると、さっきのカップルが近くに座っていたことに気付く。彼らは兵庫・家島諸島の「釜揚げしらす丼」を注文していた。家島が気になったのだろうか、スマホで調べていた。「へー家島って兵庫県なんだ!」兵庫は僕の地元でもある。少し嬉しい。「・・・で、兵庫県ってどこ?(笑)」

 ちょ、マジすか!?

東武浅草駅ビル EKIMISE         

EKIMISE入口

 

EKIMISE7階「離島キッチン」この日は混んでいた

お店の前には島々のパンフレットが置いてある

その横には「ないものはない」ポスター

 

「離島キッチン」オススメメニュー

隠岐名物・寒シマメ漬け丼ぷりぷりのシマメ(スルメ)が美味

ビールなどを除けばほとんどのメニューが“島モノ”!

 

水戸駅にも姉妹店

  都会で“離島”の味が楽しめる「離島キッチン」。雰囲気はとても好きだったが、料理や小鉢のひとつひとつも、どこの島のものかがわかればなお良いと思う。メニューを見渡せば、兵庫・家島諸島のほかにも、愛媛・岩城島、東京・青ヶ島といったシブ~いチョイスもあるだけに、何県の島で、何が有名で云々・・・と伝われば、ものすごく楽しいだろう。

 また、いくつか観光パンフレットもあったが、内外装から島の雰囲気が感じられる要素があれば嬉しい。離島キッチンをきっかけに、それぞれの島々の様子が伝わればより楽しめる気がするのだ。  とは言え、やはり島料理はうまい。ひと品食べただけでは満足も行くまい。島への旅行となると気合と時間とお金が必要である。誰もが気軽に行ける東京・浅草に、島っぽ~い空間があるっていうことが、なんだか良い。実はこの離島キッチン「水戸駅の駅ビルにもあって、若干メニューも違うんですよ」とのこと。

 水戸か・・・、大型連休に島へ行くよりは安上がりかも。  

◇店舗情報◇「離島キッチン 浅草EKIMISE店」 

◆住   所・・・〒111-0033 東京都台東区花川戸1-4-1 浅草EKIMISE 7階(地図)

◆ アクセス ・・・東武鉄道「浅草駅」・東京メトロ「浅草駅」より徒歩1~3分、都営地下鉄「浅草駅」より徒歩5分 ◆電話番号・・・03-6802-8077

◆営業時間・・・11:00~22:00(ラストオーダー21:30) ◆休   み・・・年中無休(EKIMISEの営業に準じ、元日・施設点検日等を除く)

 日刊楽島コラム
potaru.com

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