地域通貨で離島振興!

tanoshimasan

公開:

3 なるほど
1,845 VIEW
0 コメント

長崎県の離島・6自治体の試み

 国内でもっとも多く離島を有する長崎県。その長崎県がおもしろい地域振興策を導入するようです。

『長崎の離島、観光客向け地域通貨 来年4月導入 2割分のプレミアム』
 長崎県の離島にある6自治体が共同で2013年4月から、観光客向けの地域通貨を展開する。土産物や宿泊代の支払いなどに用途を絞り、地元在住者は購入できない。全国で導入されている地域通貨はボランティア活動の拡大や地域振興、環境保全を主な目的としており、観光振興に特化した地域通貨として先駆的な取り組みになりそうだ。
 6自治体は佐世保、対馬、壱岐、五島の4市と小値賀、新上五島の2町。佐世保市は五島列島北端の宇久町が対象地域となる。
 地域通貨は千円券1種類で、6枚を1セットにして5000円で販売し、2割の1000円を割り増しのプレミアムとする。(後略)
(引用:『長崎の離島、観光客向け地域通貨 来年4月導入 2割分のプレミアム』2012年11月13日付 SankeiBiz)

というもの。長崎県は離島に限らず観光名所が多いですが、離島に特化した地域通貨を考えているようで興味深いです。おおまかな言い方ですが、5,000円で6,000円分の買い物ができて1,000円お得!というところですね。 旅先はついつい財布のヒモが緩むので、こういう施策はイチ旅行者としてとってもありがたいなぁと思います!せっかくですので、ただ「5,000円で6,000円分使える地域通貨」と言わずに、独自の呼び方も考えるとおもしろそう(?)。例えば、1,000Ⅰ$(=アイランドル)みたいな。思いつきですが・・・(笑)。

課題は交通アクセス

「どこか懐かしい」日本の原風景。

島ぐるみのおもてなしが魅力の小値賀島

 とは言え、僕はあまり長崎に行ったことがありません。今は静岡県内在住ですが、かつては九州・福岡県に住んでいました。仕事柄長崎に関わることはありましたが、福岡に住んでいても、なかなか「遊びに行く」となると気合が必要な場所だった印象です。JRの特急や高速バス、飛行機など手段はいくつかありますが、当然ながら安ければ時間がかかり、速ければ値段が高くなります。さらにそこから「離島へ行く」となると、他の長崎の観光地よりもう一段ハードルがあり、どうも敷居が高い気がしてなりませんでした。

 参考程度に『ながさき経済 2011年11月号』(長崎経済研究所)を見てみると、以下のことがわかります。長崎県で観光地としていきたい地域(年代別)

長崎に魅力を感じない点

 ネガティブなデータばかり参照してしまいましたが、これらのデータからも、離島はやはり交通アクセスの難しさがネックになっていると考えられます。「観光地としていきたい地域」の項目において、壱岐・対馬、五島、平戸と離島が下位を占めている点からも明らかでしょう。結果として、時間とお金に比較的ゆとりのある年配世代の観光客が多いのが現状なのではないでしょうか。

 では、その交通手段の課題をどう解消するか。単純にお金を積めば、長崎県や周辺離島へも速やかへ向かうことは可能ですが、そうしてしまうと「5,000円で6,000円分使える地域通貨」のおトク感はそれほどありません。さらにもうひと工夫、パンチの効いた取り組みを期待したいところです。

ぜひ若年層へ訴求を

長崎県・対馬異文化が楽しい国境の島。

 ですが、この地域通貨、可能ならば若年層も含めた積極的な訴求を期待したいと思います。先にも述べましたが、長崎県は有人島も無人島も国内でもっとも数が多く、地域振興(離島振興)は永続的に取り組むべきテーマ。定住促進も兼ねて、若年層への観光PR活動は必須とも言えます。 だからこそ、前項にて指摘したように、1,000円のおトク以外にも何か気の利いた施策や提案が欲しいところです。

 ケースバイケースではありますが、観光庁のデータによると、「2011年の1回あたりの旅行における支出額」は、20代~30代で平均3万円前後(2011年)。最も高い60代でおよそ4万円ですから、1万円もの差があると分かります。それだけに、特に若い世代にとっては地域通貨で1,000円おトクになったとしても、その他で支出がかさむようでは、魅力が薄れてしまいかねません。若年層でも安く楽しめるプランの提案があっても良いのではないでしょうか。 長崎県の島々へのアクセスにおいてカギを握るのは福岡空港、長崎空港の存在です。この2つの空港に共通しているのはLCC(格安航空会社)が就航しているという点(福岡はJetstarとPeach、長崎はPeachのみ)。九州へは極力安く行き、無駄なく船に乗り継げば、LCC登場以前と比べればはるかに安く済ませることも可能です。これは安めの高速バスでも同じことが言えます。

 意外と思われる方も多いかも知れませんが、今回の6自治体が所属する島々、すべて福岡・博多港からもアクセス可能と言う点は見逃せません。長崎と言えば交通の便が良くないと言うイメージは根強いですが、提案しだいでいくらでも安く訪れる方法があるのです。これらをうまく組み立てて、長崎の島々を巡ることができれば、少なくとも僕は大歓迎です(笑)。 「LCCと地域通貨を使って、長崎の島々をおトクに遊んじゃおう!」

 自治体の皆様、こんなプラン、お願いできませんか?

 日刊楽島コラム
potaru.com

最終更新:

コメント(0

あなたもコメントしてみませんか?

すでにアカウントをお持ちの方はログイン