被災地とパチンコ店

tanoshimasan

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TVCMと街並みの違和感

 東北の被災地を巡り、道中はホテルや旅館に宿泊した。住みなれた土地とは違う場所でテレビを見ると、受信する局の違いに戸惑うものだが、もうひとつ言いようのない違和感があった。毎夜部屋でくつろぐたび、その違和感は大きくなり、そしてはっきりした。パチンコ店のTVCMが他地域のそれと比べて明らかに多いのである。1社や2社ではなく、覚えているだけでも5社はあったのではないか。 思い返せば心当たりもある。被災地を車で走っていても、まだまだ津波のあとが残る道路沿いに、きれいな店構えのパチンコ店が多かったことも思い出した。この時点ではあくまで印象でしかなかった。ただ、気になったので調べてみると、社会問題とも言えそうな実態が浮かび上がってくる。

 僕個人も情報収集不足だったのだろうが、震災バブルでパチンコ店が繁盛していることを指摘した記事が実は多かったのだ。事故のあった福島第一原発付近や、津波被害の顕著な海岸沿いの地域では、平日からパチンコ店が満員になることもあるという。

被災地にパチンコ店が多く見られることへの違和感。

ネット上でも話題にされていることが多い。

 個人的な見解を言えば、娯楽としてのパチンコ店の存在は良くも悪くもどうでもいいと思う。ただ、今回の震災、被災地のパチンコ店が問題視される理由は、賠償金(福島)や失業手当がそのまま使用されているということだ。震災後に仕事は失っても、収入が途切れないこともあって、パチンコに興じるのだという。

 「原発事故で避難区域となった町から逃れてきた顔見知りが、昼間からパチンコ店に入っていくのを見た。聞くと、震災後に 失業手当を受給し、さらに東電の賠償金を貰えるから働くのが馬鹿らしくなったらしい。カネをどう使おうと自由だけど、みんなが復興に向けて頑張っているのに……」
 行政による被災者への“生活保護”の厚遇ぶりが、逆に復興を遅らせていると指摘されている。一部の被災者には、「働かない方が震災前に比べて収入が多くなる」という異常なケースが生じているからだ。
(引用:『原発避難者 失業手当と賠償金で働くのバカらしくパチンコへ』 2012年3月13日付 NEWSポストセブン)

 僕が被災地を巡る中、関わった人々からこのような声は聞こえてこなかった。しかし、こういった現実も震災によって浮き彫りになるのだから、なんともやるせない。 被災地の方々にお話を伺うと、よく「こんな何もないところによく来たね。」なんて言われたりした。でも、そんな地域にもパチンコ店はある。

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