静岡県浜松市で、被災地からの避難者同士の連携と情報発信、さらに東北と静岡をつなぐ活動を行っている「はままつ東北交流館」。館長の佐藤大(だい)さん自身、東京電力の第一発電所で勤務中に被災された方です。
震災から2年半近くが経過し、被災地の実情を伝えるメディアは少なくなっているのが現状ですが、佐藤さんはだからこそ「伝え続けていきたい」と考えています。
被災地の本当の姿をひとりでも多くの人に知ってもらうために、佐藤さんたちが実施してきた被災地への視察ツアー。第三回目となる今回は、いわき市から楢葉町を経て北上し、第一原発のある大熊町や双葉町を通過し浪江町へ。さらに双葉町、富岡町を巡るというもの。
通常では入れない場所へのツアーの意義
浪江町請戸(うけど)漁港の跡地(申し訳ないのですが跡地としか呼びようがありません。建物などはほぼ壊滅し、がれきもまだ残された土地に夏草が生い茂っていました)で、佐藤さんに「伝えていくことの意味」を語ってもらいました。
2013年8月24日の福島県浪江町請戸(うけど)地区
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(インタビューの内容)
まだまだこういう地域があるってこともあるし、
復興に向けてね、進んでいるところもあるし、こういうところのように、
一向に手が付いてないところもある。
たとえるなら光と陰。
光が当たっているところは復旧・復興が早い。
けれども、そうでない部分、闇に隠された部分というのは、
俺はこういうところなんじゃないかなと。
まあ、なかなかね、立ち入ることもできないし、復旧に向けてのビジョンもできてないってところもあるんだろうけど。
でも、こういう現実があるということは知らなきゃならないのではないか。
(問:佐藤さんとしては、今回のようにな視察を今度どんな形で続けてくのか)
たくさんの人に参加してもらって、そしてたくさんの人に現実を見てもらって、
そして、
今回は第3回目(のツアー)だったけど、
2回目に参加した人がまた参加してくれている。
やっぱ、
1回来たからいいやじゃなくって、
前回に来たときとどう違ってくるか、っていうのも見てほしい。
もしかしたら違ってないかもしれない。だけど、
なんであれからこんなに(時間が)経っているのに、ぜんぜん変わってないんだろうってことも、もう一度考えてもらいたい。
今回初参加という人もたくさんいる中で、その人たちには、この現実っていうか、
実際被災地がこうなんだと。
なおかつ、やっぱみんな、岩手や宮城に行ってる方々も多いだろうけど、
やっぱ、そこはそこで見るべきだと思う。
あっちは(ここにくらべれば)いろいろ復旧も進んでいるから、光の部分だろうし、
でも、こういうところだと影の部分がある。
1回行ったからじゃなく、2回、3回と足を運んで、
「違い」っていうのも分かってもらいたいし、
まだまだ先、長丁場になるからね、
だからみんなで支えていかなければならないんじゃないか。
そう思います。
(問:あと20年、30年、あるいは100年…)
だよね。何年かかるかってことは読めないからね。
やっぱ、それに対してウチらはどうするべきかっていうこともあるし、
伝えなきゃならない部分もある。
復興に向けてのビジョンも考えなければならない。
それに対する行動力も重要だ。
いろんな部分があると思う。
そういういろんな部分をみんなで考えながら、
力出し合いながら、
やっていければいいかなと。
そう思います。
●TEXT+PHOTO+VIDEO:井上良太(ライター)
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