海に山に人に、「人生が変わる出会い」
2011年、国内では4番目の世界自然遺産に登録された小笠原諸島。東京から南へおよそ1000kmに浮かぶ島々は「東洋のガラパゴス」とも呼ばれ、訪れた人々を魅了し続けています。そして何よりもその不便さが魅力。週に一便の船で、25時間30分の船旅をしなければたどり着くことは出来ません。もちろん空港はありません。憧れのあまり、「会社を辞めて」と、訪れる人もちらほら。移住に至っては非常に難易度が高く、住宅が争奪戦になると言われています。 そんな小笠原諸島、見てみると面白いのですが、島々はすべて家族。父島をメインランドとする父島列島、母島をメインランドとする母島列島に分かれ、兄島、弟島、姉島、妹島などの無人島がその周辺に点在しています。そして、その中心地が父島になります。世界自然遺産として多くの固有種に恵まれ、大陸では見られない種類の動植物もたくさん見られます。図鑑やパンフレットを見て「オガサワラ~」「ムニン~」という名前を見つけたら、それはほぼ間違いなく小笠原生まれ。ぜひ小笠原が自然遺産たる意味を肌で感じてみることをお勧めします。
陸地は世界遺産に指定されている小笠原ですが、恐らくそれ以上に人気なのが海での遊び。野生のイルカやクジラ、アオウミガメをはじめ、外洋をうろうろしている大き目サイズの魚たちや、内地では見れそうもない南国の魚たち。それでいて、沖縄の雰囲気とはまたちょっと違う。 国内のほかの島々と違い、移住者が多く、年齢構成も若い層が目立つ小笠原。「人生が変わる出会い」が待っているかもしれません。
父島の見どころ
文化に親しむ
入港日、出港日
小笠原独自の表現かもしれません。週に1便しかやってこない船(おがさわら丸)には、島民の生活も詰まっています。島民や観光客はもちろん、スーパーに並ぶ食材も、1週間分の新聞の束も、郵便物や宅配便も、amazonで購入した商品も、すべてが週に1便の船に乗ってやってきます。そのため、島の生活も船の出入りと共に呼吸しています。入港日前は島は静かで休む店も多く、ひとたび船が入港すると多くの人で賑わいます。島のスーパーは入港日は商品の争奪戦。その日に手に入れなければ買えないものも。食パン菓子パンも凍った状態で届きます。そして3日後が出港日。散々遊んだ観光客も島民や長期滞在者に見送られていきます。最後の見送りは圧巻。一度体験すれば「また来よう」と思うはず。
自然と遊ぶ
青灯台 (場所)
島の人たちには青灯(あおとう)と呼ばれて親しまれているちょっとした泳ぎ場です。感覚としてはプールのような場所でしょうか。観光客のほか、島の子供たちもよく遊びに来るため、夏場は小学校のPTAによってブイとフロートが設置されています。気軽な遊び場とは言え、水深はかなり深く、泳ぎの苦手な人は浮き具を持っていないと危ないかも知れません。潜るとロクセンスズメダイや、オビブダイといった小さめの魚たち、岸壁にはクマノミ、深いところではサメやタコなども見かけるなど、まさに天然の水族館。素潜りの練習にももってこいです。
宮之浜 (場所)
こちらも人気の泳ぎスポット。海水浴から素潜り、ダイビング、泳ぎ釣りと、初心者から小笠原にハマりすぎている熟練者まで、多くの人で日中賑います。良い日は透明度が高く澄んだ海とサンゴの美しい景色が広がります。個人で遊ぶ分にはもちろん無料ですが、お金を払ってでも良いかと個人的には思っちゃうほどです。父島と兄島の間に位置するため、瀬戸の部分は流れが速いので注意。
釣浜 (場所)
宮之浜近く、いくつか崖を隔てて反対側にあるのが釣浜です。その名の通り釣場として使われていたようですが、今は穴場のシュノーケリングスポットといったところでしょうか。華やかな宮之浜に比べると人も少なく殺風景な場所にありますが、それは海の外の話。潜ってしまえば負けず劣らずの美しい景色が待っています。しかし、釣浜も同じく父島と兄島の間に位置するため、瀬戸の部分は流れが速いので注意。
施設で遊ぶ
小笠原水産センター (場所)
小笠原で出会う魚たちが気になったらここへ行ってみましょう。都が管轄する、どちらかというと研究がメインの施設ではありますが、水族館もあるんです。”水産センター内には研究設備の拡大および効率化、そして施設を開放した観光拠点としての役割を強化するため、飼育観察棟(通称;小さな水族館)があります。”(小笠原支庁HPより)なにやらカタ苦しいですが、楽しめる場所なので良し! 魚の歯磨きも出来ちゃいます。 ※ 小笠原水産センターに関する記事です。【旅レポ】小笠原・父島、魚の歯を磨く?
景色を楽しむ
ウェザーステーション (場所)
かつては気象観測用のドームのことでしたが、老朽化のために撤去されました。しかし、その近くにある展望台が夕陽の名所と言うこともあり大人気。いつの間にか、その展望台がウェザーステーションと呼ばれるようになりました。ファンの間からは「ウェザー」という通称で親しまれ、夕食時にも関わらず、特に入港中は多くの人で賑わいます。季節によってはイルカやクジラも見ることが出来るかも。また、夕陽が沈む直前に緑の光が一瞬、ほんの一瞬輝くグリーンフラッシュという現象がごく稀に起こるとか。たまに誰も見えていないのに、一人で「見えた!」なんて言う人もいますが、一瞬のことなので「見えた気がする」程度かと(笑)。
夜明山 (場所)
原付、車があるならば、夜明山へも行ってみましょう。車道かつ上り坂なので歩くとシンドイですが、車道から頂上へはほんの数分。手軽に絶景が楽しめます。こちらも夕陽の名所ですが、人が少ないので訪れる際は気を付けて。でも、ウェザーステーションより良い夕陽がそこにあります。もちろん日中もおすすめ。
ジョンビーチ (場所)
真っ白でさらさらの砂浜、更には小笠原の他のエリアよりも明るい(?)海の青で人気のジョンビーチです。しかし、泳ぐ人は少ないかも知れません。それもそのはず、ここへたどり着くには、登山並みにシンドイ道のりを越えなければなりません。往復で一日は要します。ジョンビーチの由来ですが後述するジニーとジョンの恋人同士が、それぞれ別の浜に漂着したことによると言われています。隣同士の浜でしたが、崖を隔ててついには会えなかったそうな。悲しいお話ですが、そんな話を感じさせないほどに、浜は美しく輝いています。※ 体力の有無に関係なく、外洋に面した海ですので潮流も早く注意が必要です。
ジニービーチ (場所)
現在では海からでしか上陸できない幻の浜辺。かつては、遊歩道が敷かれ、ジョンビーチより崖を越えて訪れることが可能でした(2008年頃)が、今は自然の保護の観点から海からの上陸に限られています。美しさではジョンビーチ以上とも言われるジニービーチ。崖のごつごつした岩とは対照的に、よりさらさらの砂ときらめく海が、贅沢な時間を演出します。※ しかし、ここも潮流が速いため、泳ぐにはあまり適さない場所です。船またはシーカヤックにて上陸しましょう。
ハートロック (場所)
こちらも海からでしか眺めることが出来ない場所です。トレッキングツアーにてハートロックを訪れることは可能です。それはそれで楽しいです!が、ハートロックがなぜハートロックと呼ばれるかを知るためには、遊覧船などのツアーがおすすめ。答えがわかった時はついテンションが上がっちゃいます。
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