~ 昨日のお言葉 2012年5月23日 ~
「米原発を安全に導く人物への魔女狩り」
東京電力福島第1原発事故以降、日米の原子力行政に影響力をふるった米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長が、21日に辞職を表明。産経新聞≪米原子力規制委 ヤツコ氏辞職≫(2012年5月23日)が伝えた。記事によると、
ヤツコ氏は辞職の声明で「(今後は)別の立場で米国民の安全確保に努める」とし、失意をにじませた。
ヤツコ氏は福島第1原発事故以降、原因究明や事故対応について日本に対してズバズバ助言を行うとともに、日本で収集した情報をもとに米国の原発の再点検を引っ張るかなり精力的な人物という印象だった。ところが、
その裏で目を覆うような抗争がNRC内部で進行していた。昨年12月にヤツコ氏を除く執行部の全委員が「ヤツコ氏の運営は独善的だ」とホワイトハウスに告発した。
今年2月にジョージア州の原発計画についてNRCが34年ぶりの原発建設認可を与えた際にも、ヤツコ氏は委員でただ一人反対した。
このような状況を受けて、民主党のリード上院院内総務などオバマ政権側は、「米原発を安全に導く人物への魔女狩り」
とヤツコ氏を擁護してきたが、大統領選への影響を考慮したのではないかと記事は伝えている。さらに、こんな一言も。
正念場を迎えた日米の原子力行政に少なからぬ影響を与えそうだ。
出来事の構図からいって、原発の安全性に疑義を唱えていた人物が、原子力の規制監督部門から外れたということだから、日本への「少なからぬ影響」がどういう方向性のものになるのか。今後の推移をウォッチしていきたい。
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