手軽で優雅★初島グルメに舌鼓!【旅レポ】

tanoshimasan

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岩のり丼

 熱海港から20分でアクセス可能な初島。伊豆諸島からも近く、周辺に島々も多い。色々なガイド本を眺めていたりするとすぐにわかるのだが、島が近くにたくさんあると、名産品や島のグルメなんかも似通ってくるものだ。それでも美味なものは多いのだが、やはり旅先での食事は「ご当地感」を求めてしまうものである。

 そういった意味で、初島を訪れた際はそこまで期待していたわけではなかった。初島は島の半分がリゾート施設と言うこともあり、集落とリゾート施設で2つの顔がある。リゾート施設は高級感のある料理が豊富なのだが、なにぶん金銭的理由もあって手が出せない(笑)。そうすると集落の食堂へ目を向けるわけだが、集落には食堂街が形成され、島の飲食店の大半が同じように軒を連ねている。 「えっ、これ何が違うん?」

思わずそう言ってしまうほど、どの店も同じ見た目である。軒先に看板、メニューサンプル、水槽、やや高めに設定された同じような値段、そして名字そのままの店名・・・。筆者には博多駅の飲食店街でのアルバイト経験があるのだが、大都市の飲食店が、如何に他の店舗との差別化を図ってやりくりしていたことか。なんとものんびりした様子にカルチャーショックを受けてしまった。

 10店舗近いお店の中から「みやした」というお店を選んだ。どのお店も水揚げしたての魚料理がメインなためか、居酒屋のメニューっぽいのが多い。ここは初島名産の岩のりをふんだんに使った「岩のり丼」を注文した。出てきた料理は見たところ、ご飯の上に岩のりが乗っていて、小エビ?のかき揚げらしきものが細々乗っていた。 「こんなものか・・・」 失礼ながら見た目の感想はそんな感じだ。その感想が「失礼だった」と気付くのはもう少し先である。

 食べ始めると 「お兄さん、もっとごはんとよく混ぜて」 お店の奥さんの声だった。一瞬理解できなかった。あぁ、自分が言われてたのか!・・・いやしかし、自分は丼は綺麗に端から食べる派なのだ(どんな派閥だ)。カツ丼なんかは、カツがしっかり切れていて、そのラインに合わせてごはんをかき込む。すごく食べやすい。そう教わってきた(たしか親に)。これが丼のスタイルではないのか。

 ・・・と、頭の中で散々口答えしつつ、「郷に入れば・・・」の精神で混ぜることにした。次のひと口で、前言をすべて撤回することになる。

 うまい。確かにうまいのだが、想像以上に味が複雑なのだ。丼の具は圧倒的に岩のりなのだが、正体はこのかき揚げらしきものだった。小エビだけではない。よく見ると島の名産である明日葉、それに玉ねぎ、ねぎ、イカのゲソもちょこっとある。それらを同時に口に含むことで、何とも言えない味わいだったのである。魚と呼べるものは一切入っていない。それでもこれは海の幸・・・いや、島の幸と言うほかないだろう。グルメ気取ったコメントが頭を巡り始める。気づけば店の前には海も広がっていて潮騒がなんともえぇ感じではないか!店内は狭いが常連客と思しきお客さんが楽しそうに談笑している。何とも優雅な時間を過ごしているんだと、その時ふと気づく。

 なるほど、同じような見た目とか、同じようなメニューとか、ここでは割とどうでも良いかもしれない。食堂街全体で初島の味覚なのだろう。食堂街なら気取らなくて手軽だ。あとは好きな場所で過ごせばいいだけである。何気ない食堂でもグルメは潜んでいた。 初島はあえて何日も滞在するような大きな島ではない。それでも「また来よう」と思った。

島旅レポート「旅レポ」

最終更新:

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  • L

    lovetravel

    なんか行って食べてみたくなっちゃいますねぇ!