地域の歴史を知る休日(富士のシラス)

orangeoor18

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これまで静岡県沼津市の歴史をあらためて学び直してみようと思い、市内の文化施設を見学してきました。当時の出来事を中心に生活の様子や産業が発展するまでの過程など、各施設ともに充実の内容でした。

 地域の歴史を知る休日(沼津の干物) by orangeoor18
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市内を飛び出して、今回からは近隣の市町も巡ってみようと思います。西隣に位置する富士市の歴史民俗資料館です。

歴史民俗資料館は、富士市に生きる人々のくらし(民俗)を中心に展示しています。民俗の実物資料をはじめ、ジオラマや映像を交えながら、解説を施しています。

歴史民俗資料館 | 富士山かぐや姫ミュージアム

東名高速道路の富士インターチェンジから少し北側に行ったところにある広見公園。東京ドーム3個分が入るほど、広々した公園の中には博物館や復元した建造物が点在しています。また、春にはお花見スポットとしても人気なんです。

園内の利用は駐車も含めて全て無料です。園内の隅々まで観て回ると半日ぐらいはかかると思いますが、今回は着いたのが午後ということもあり、園内の一部を見学しました。

博物館の本館は「富士山かぐや姫ミュージアム」ですが、こちらは時間の都合で見学できず…。本館からさらに北側に進んでいくと見えてきたのが、分館にあたる、こちらの歴史民俗資料館でした。

館内は吹き抜けの2階建て。写真のとおり、壁など至るところに木が使われています。圧倒的な展示数やすごい仕掛けが施されている素晴らしい博物館もたくさんありますが、最近はこのように決して大規模ではなくても中身がしっかりしている(良い意味でこぢんまりしている)博物館・資料館を回るのも楽しくなってきました。

1階部分は稲作や製茶といった農業や漁業など富士の人々のくらしを昔から支えている産業に関する展示。

吹き抜けの左右に展開されている2階部分は製紙業や戦争など、近代の富士がわかる展示内容になっています。

富士のシラス漁

今回も注目したのは、漁業の展示コーナーです。

沼津と同様に海に面していて漁業が盛んな富士市。沼津ではマグロやカツオなど大きな魚を狙った建切網漁(たちきりあみりょう)、そして干物や鰹節といった水産加工品が主でした。

一方、富士の代表的な漁として挙げられるのがシラス漁です。田子の浦のシラスは今も有名で、特に生シラスは一度は食べてみる価値があると思います。

その名物のシラスですが、漁が行われるようになった初期は様々な苦労があったんだとか。

沼津市にある狩野川河口から西側に向かって富士川河口まで砂浜が続いています。
このエリアには入り江や湾が無いために漁港がありませんでした。現在は、田子の浦港という港があるのですが、それまでは浜に丸太を敷き、船をすべらせて浜辺から漁に出ていくという方法だったんだそうです。

ちなみに、この沿岸で泳いだことがある方ならわかると思うのですが、浜辺から急に深くなることで知られています。そのような特徴もあってか、漁に出かけたり帰ってきたりする際、船の上げ下げがしづらかったようで、対策のために反りの部分を強化するなど、船を改良をしたこともありました。

また、当時は天気予報などないので、漁師の人たちは雲の動きや形で天気を読み、当日の出漁を判断。また、潮の流れを見て船の動きや網のかけ方を変えていました。

天候は富士山にかかる雲の動きや形が予報になるため、富士山を見て出漁を決めていたのだそうです。富士山の上に笠雲はかかると雨が降ると言われています。これは今でも言い伝えられていますね。

シラスを獲る方法

富士のシラス漁は1隻の船と網を使っておこないます。

船が動力化するまでは4人程度で船に乗り、櫓(ろ)を使って人の力で漕ぎました。船に乗る人を乗り子と言い、船に乗って網を落としたり、曳くことが役割です。

4人の中でもそれぞれ役割があり、船のかじ取り役(熟練者が担う)、網を海に落とす人、櫓(ろ)で船を漕ぐ人。そして、船には乗らず浜で網を曳く人。

そういえば、同じ漁法ではないものの、自分が小学生ぐらいのころに何度か朝から浜へ行き、網を曳いていたことを思い出しました。地曳網ですが、大人十数人で浜から曳いていたと記憶しています。

一方、昔ながらのシラス漁は数名で網を曳いていたそうです。今では船は大型化し設備も充実していますが、昔は船を動かすのも、網を落とすのも、網を曳くのもすべて人力。さらには魚群探知機もありませんので、漁の微妙な判断も昔は人のみで行っていたのですよね。

漁師の方々の凄さを改めて感じられた展示コーナー。おまけに食欲も出てきました。田子の浦港に行けば、たぶん新鮮な状態で食べられる生シラス。(不漁の日もあります)干物と同じくこちらも近々食べに行こうと計画中です。

最終更新:

コメント(4

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  • A

    akaheru

    今回も渋いところに行ってますね!
    でも楽しそう。

    今のところに引っ越してきてからは、地元の歴史を学べるような施設に全く行ったことがないので、ちょっと探してみようと思います。

  • B

    baikinman

    田子の浦と言えばシラスなのですね。
    私の富士のイメージはヘドロでした・・・。すみません。
    今度食べてみます!

  • P

    pamapama

    僕らの世代にとって田子の浦のイメージは「公害」でしたが、いまはすっかりきれいな海を取り戻してシラスが人気だなんて素晴らしいことですね!我が家では味的にも栄養的にも「シラス食ってりゃ間違いない」が合言葉です(*^-^*)

  • C

    cha_chan

    田子の浦港の生シラス、一同食べてみたいです。今のように情報や機械もない時代の漁師さんのカンは、まさに職人技ですね。それにしても有意義な休日を送っていますね!生シラスの食レポもよろしくお願いしますね!