【振り返り・仮設住宅】間取り図(2DKタイプ)

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「単身用 1DK」に続いて、一般社団法人プレハブ建築協会のホームページの参考図面を引用しながら、応急仮設住宅の暮らしについて紹介する。

 災害への取り組み - 一般社団法人プレハブ建築協会
www.purekyo.or.jp  

小家族用 2~3人用 2DK(約29.7㎡)

大雑把にいって1DKタイプは、6帖ほどのスペース2つに、キッチン、バス、トイレといった設備と靴脱ぎ場、それに5帖の居室と収納を詰め込んだ構成だったが、2DKは4帖半4つ分のスペースに設備と居室が収められている。

全体のスペースが1.5倍あるから1DKに比べれば余裕がある。と言っても1DKに比べればの話であって、2DKの仮設住宅を初めて見て「広々としている」なんて印象を持つ人はないだろう。

それでも、ひとつ言えることは、たしかにキッチンは広い。流しの横には狭いながらも調理台もある。食器の洗いカゴも置ける。アクロバチックな動きをしなくても、まあ普通に料理することはできる。台所に無理矢理テーブルを置いている家もあるくらいだから(椅子が引けないくらい狭くはなるが)、DK=ダイニングキッチンと呼べなくはない。都市部の不動産屋なら、これくらいのスペースをDKと呼ぶところも少なくないだろう。

問題は、この2DKに何人が暮らすことになるか。そして、何年間ここで暮らすことになるのかだ。

荷物がはみ出す

2~3人用とは言え、4人家族が入居する場合もあった。小さな子ども2人と両親という家族構成と、60代の夫婦に40代の息子、あるいは寝たきりの高齢者を含む3人家族では状況がまったく違ってくる。

プレハブ建築協会のページでは、さらに広い約39.6㎡の3K(大家族用 4人以上)も紹介されているが、家族用の間取りで圧倒的に多いのは2DKの方だと思う(大家族用とされる3Kの仮設にお邪魔したことは、7年間で1、2度しかない)。

たとえば60代の夫婦に40代の息子の3人家族の場合、2DKでどのように暮らすことになるか、想像してみてほしい。息子が1部屋使うことになる場合が多いだろう(実際にそんなケースしか知らない)。すると夫婦の居室は4帖半一間。荷物はどうする?

衣食住という言葉があるくらいだ、どんな暮らし向きの人であっても衣料品なしでは生きていけない。たとえパソコンやテレビ、CDプレイヤーがなくたって、冬物、夏物、下着にタオル、ハンカチ、コート、通勤や通学用、作業着、それに冠婚葬祭のものと、衣料品はけっこうな数になる。そしてかさばって場所を取る。

間取り図を見てみよう。設備としての収納は間口1間の「押し入れ」1つだけ。3人分の衣料品を詰め込めるスペースではない。そしてもうひとつ問題がある。押し入れ付きの部屋が1つしかないことだ。

そう、布団をしまう場所も大問題になってしまうのだ。4帖半2部屋は壁で仕切られている場合がほとんどだ(アコーデオンカーテンのものも一部にはある)。幅が70cmほどの出入り口を通って、毎朝毎晩布団を運ぶことになる。押し入れに布団をしまうのを諦めて、押し入れのない方の部屋では布団をたたむだけということになってしまうかもしれない(実際にそういう家もあるし、口に出さないだけで多くの家でそうなっているのではないか)。

子どもが小さければ、押し入れがある部屋を寝室専用にして布団を3枚敷いて雑魚寝することもできるだろう。エアコンのある方の4帖半を家族全員の居間として使おうというやり方だ。しかし、子どもが自分の部屋を求めるような年齢になれば、夫婦の部屋と子供部屋という分け方をせざるを得なくなる。

よく耳にした話にこんなものがある。「息子の部屋に荷物を取りに行くと叱られてね」。(夫婦と息子という家族構成の家は多いように感じる。嫁不足は農家に限ったことではないのかもしれない)

2人対1人では、2人の方が荷物が多くなって当たり前だ。自然と夫婦部屋の荷物が、子供部屋に置かれることになる。押し入れのある方の4帖半を子供部屋にした場合はなおさらだ。だからといって頻繁に出入りすると言い顔をされない。親子であってもそういうものだ。被災したからといって家族ならではの小さな諍いが消えてなくなるわけもない。

高齢だったり膝が悪かったりでベッドを入れざるを得ない人もいる。4.5帖とは言え、ベッドを1台入れたら、布団は一組しか敷けない。ベッドを2台入れたら通路がなくなってしまう。そんなスペースで、寝たきりの親を介護しながら夫婦で暮らしている家庭もある。病人にも家族にもたいへんなストレスが続いている。

そして、もうひとつ看過できないのは時間の経過だ。

「いずれまた引っ越すことになるのだから、できるだけ物は増やさないようにしている」

仮設住宅に暮らす人は口を揃えてそう話す。しかし、5年、6年、7年と仮設での生活が続くうちに、どんなにセーブしていても物は増えてしまう。「足の踏み場もない」という言葉が比喩ではない状態になる。

仮設住宅を訪ねて部屋まで入れてもらえるのは、ほとんどが一人暮らしの人だ。それでも数年前には、「今日はひとりだから」と上げてもらえた家もあったが、最近ではまずない。たとえどんなに親しくても、実際に客を入れることができる状況でないのだろう。おそらく物理的にそうなのだと思う。玄関先で立ち話をしていて目に入るところだけでも、段ボール箱や衣装ケースが積み上げられていて、床というものがほとんど見えないのだから。

空調とプライバシー

間取り図を見るとエアコンは1台しかない。入居時に備え付けられたのは4帖半片方だけの1台だけということで、もう1台欲しければ自分で購入しなさいということだった。

震災から3年目頃のことだったか、仮設住宅のエアコンのない部屋の恐ろしさをはじめて味わったのは、陸前高田市の竹駒小学校仮設団地をイベントで訪ねた時のことだった。敷地に余裕がなくて集会所としての建物が造れない仮設団地では、空き室になった一戸を集会所として使っているところが少なくない。

4帖半に10人以上が集まってワイワイガヤガヤ。それでもエアコンがあるから快適だった。ところが、ちょっとした作業のため隣のエアコンのない4帖半に入ると、5分もしないうちに伸びてしまいそうになった。温度計を持って行って室温を測ってみればよかったと思う。しかし、数値としてのデータは示せないが、あの酷い熱気は身体が忘れない。あと5分も我慢していたら間違いなく熱中症になっただろう。

屋根も壁もスチールでできた仮設住宅では、夏のエアコンは欠かせない。1DKの話の網戸の件でも触れたが、だからといってエアコン2台は贅沢に過ぎる。被災地では、電気代の節約が生活再建のために必須という意識が強いからだ。

そこでこんな要望が出されるようになった。『実証・仮設住宅 東日本大震災の現場から(大水敏弘著・2013.9.1・学芸出版社)』から引用する。

また、岩手県では苦情の連絡に一元対応する窓口として「保守管理センター」を設けることとした。(中略)ちなみに、苦情の内容を並べてみると、以下のとおりである。
・部屋が狭い、キッチンが狭い、特に調理台部分が狭い
・むき出しの鉄骨部分が熱い、結露する
(中略)
・部屋同士の間は壁だが一部を開けられるようにして欲しい(エアコンのない部屋の空調のため)

『実証・仮設住宅 東日本大震災の現場から』大水敏弘著・2013.9.1・学芸出版社

2部屋の4帖半の間が壁で仕切られていなければ、1台のエアコンを2部屋で使えるのに、という要望だ。住田町の木造仮設住宅は、ほぼ同じ間取りながら2部屋の仕切りがアコーデオンカーテンになっている。集会所として使われている一棟を訪ねて、「なるほど」と唸った。竹駒小学校の仮設団地とは雲泥の差だ。エアコンはよく効くし、何より間仕切りのない9帖分のスペースは広々として開放感すらある。

部屋の間の仕切りを取り払えば空調の問題は解決する。しかし、それではまた新たな別の問題が浮上することになる。プライバシーの問題だ。

住田町の仮設住宅で夫婦と30代の女性の3人暮らしだった家では、アコーデオンカーテンを撤去してベニアで壁を造って完全な個室2部屋に改造したという(アコーデオンカーテンは単なる目隠しでしかないから。そもそも住田町の木造仮設住宅は天井板もなく、屋根裏や梁がむき出しだから、梁にもベニアを張って屋根裏部屋にして、物置として使っていた)。

「流行ってたのかな。そもそも収納が少なすぎるし、やっぱり個室の方がいいですからね。うちと同じような改造をしてる所はけっこうありましたよ」

2DKと言っても平面積では1DKの1.5倍でしかないのだ。そこに2人、3人、4人が暮らすのだから大変なことに違いない。間取りの問題も空調の問題も、いずれもスペースが限られていることに起因する。その意味で、住田町の仮設住宅で行われていた改造(違法改造などと呼ばれないことを祈る)、つまり屋根裏を収納として利用するというやり方は、ひとつのヒントと言えるかもしれない。

脱衣スペース

プライバシーという話題でもう一件。参考図面の風呂の側に脱衣スペースと表示されている。押し入れの角からトイレの角にかけて斜め線も見える。右側の図には吊りカーテンとの表示もある。

少し分かりにくいかもしれないが、風呂場入口の前で、カーテンで仕切られた三角のスペースが脱衣スペースということだ。つまり、脱衣所はない。

カーテンを吊っているだけで、幅は80cmほど。その上、脱衣スペースのカーテンを閉めるとトイレの入口を塞ぐことになる。

さすがにこれでは友人でも泊まってもらいにくいだろうし、親戚に来てもらうのも考えてしまうのではないか。

3部屋続きのタイプも

現在、プレハブ建築協会のホームページには記載されていないが、2DKタイプには、入口側からキッチンとバス・トイレを集約した部屋、物入れ付きの洋間、窓のある洋間と3部屋が縦に並ぶ「縦長タイプ」というものもある。

前出の『実証・仮設住宅 東日本大震災の現場から』によると間口は3.5m、8.0mなので面積は若干狭い。このタイプは住宅メーカーが施工したこともあって建物自体の品質がよく、また窓のある部屋が南向きに建てられる場合が多かったので、少人数で暮らす分には過ごしやすいと言う人もいた。このタイプに入居していた女川の知人Iさんは一人暮らしだった。

ただ、真ん中の洋間がどうにも使いにくい。窓のある部屋とキッチンがある部屋には日が入るが、真ん中の部屋は昼間でも電灯をつけなければ暗い。居間として使われることの多い窓のある部屋と玄関の間の通り道になるため落ち着かない。このタイプで3人以上の家族が暮らす様子は、ちょっと想像することができないほどだ。しかし、実際にはこのタイプにもまた、多くの家族が入居していた。

話を聞く機会があれば、お伝えしたい。

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