日本には謙虚を美徳とする風習があります。遠回しに物を言うことで丁寧さを感じさせたり、自分をへりくだって相手を立てる表現が使われてきました。また日本の学校教育は、正解を求める正解主義が重視され、正解のない問題に対する個々の意見や答えの作り方は教えてくれません。
日本人は欧米人と比べて、自分の意見がない、ハッキリと物を言えない、自己主張が苦手と言われる理由はそこにあると思います。
しかし日本も物を作れば売れるという時代は終わりました。社会に出れば「考え抜く力」が当然のように求められるようになっています。
本書は「考え抜く力」を身に着けるため、ハーバード大学が提唱するクリティカル・シンキングをもとに、TED×Tokyo Teachersに出演したこともある筆者がその経験を踏まえ、考える方法とその実践プロセスを具体的に教えてくれます!
TEDxTokyoTeachers - Miki Kano - It's Thinking Time
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クリティカル・シンキング
情報や意見・主張の是非を吟味し、よりよい「答え」を模索するのがクリティカル・シンキングです。
~中略~
簡単に言うと、「他人に流されずに、自分でじっくりと考えるための思考法」です。
本書22ページ
クリティカル・シンキングは、情報や他人の意見、主張だけが対象ではありません。自分の意見や主張に対してもじっくり考える対象にできることが最大の魅力であると筆者は言っています。
前回紹介したNLPの書籍でもNLPを実践するためには自分自身との内部対話がポイントだと感じましたが、クリティカル・シンキングも自分自身で実践できるため、誰にでもすぐに始めることができる点で魅力があると思います。
クリティカル・シンキングを身に着けることで、情報の理解を深めること、視点を増やすこと、自分の意見に根拠を持つこと、自分の意見に自信と責任を持つことができるようになれるようです。
本書は、欧米人と日本人の考え方の違いを徹底的に研究した筆者が、ビジネスで使える「考え抜く力」を身に着けるためのクリティカル・シンキングの具体的な実践方法を説明してくれており、大変参考になりました。
本書の中にもあるように、考えることを癖にすることが、クリティカル・シンキングを身に着けるうえで最も基本的な前提であると思いました。
本書では、いきなり最初から最後までやり遂げるのは難しくても、できる範囲でできることをやるよう勧めています。本書にある考え抜くための作業を1つでもプラスすれば、自分の意見が今までとは明らかに変わってくることを実感できるはず、と記されています。私も自分に必要だと特に感じた部分から実践していこうと思います。
私は立ち止まってじっくり考えることが苦手です。その場しのぎの行動をしてしまい、結果失敗してしまうことがあります。また、そもそも考え方自体が分からないような場合もあります。もし同じような経験がある方は、ぜひこの書籍を読んでみることをおススメします。
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