現在、温室効果ガス削減などの地球温暖化対策を話し合う国連の会議が、南米ペルーにおいて開かれています。温暖化による影響はいくつも指摘されていますが、今日はそのなかでも海への影響についてご紹介します。
温暖化による影響の前に「温室効果ガス」について
問題になっている排出温室効果ガスの内訳を見てみると二酸化炭素が76%、メタンが約16%、一酸化二窒素が約6%などとなっています。同じ排出量でもガスの種類によって温室効果に差はあるものの、二酸化炭素が占める割合は大きいものがあります。
ちなみに温室効果ガスは必ずしも地球環境にとって良くないというものではありません。ある一定の温室効果ガスは多くの生物が生存する上で必要なものです。仮に温室効果ガスが全くない状態だと、現在平均気温が14度前後と言われている地球の気温は、マイナス19度くらいになると考えられています。
上昇し続ける二酸化炭素濃度
地球温暖化の問題が指摘され始めたのは1970年代と言われており、初めて温暖化について話し合われたのは、オーストリアのフィラハで1985年のことでした。それから30年近くたった今もなお、排出されている二酸化炭素が減る気配は一向になく、増え続けています。
地球の温暖化が進むと、海面上昇や生態系への影響などさまざまな問題が知られていますが、そのうちのひとつに海水温度の上昇があります。
温暖化を抑制していた緩衝役
20世紀の100年で、地球の平均気温は0.6度上がったと言われています。最初にこの数値を聞いた時、「果たして問題があるレベルなのだろうか」と思いました。
しかし、この気温変化は地球上で過去に例を見ないほどの上昇率とのことです。そしてもうひとつ付け加えると、この「0.6度」という数値は陸地においての話です。
実は近年、地球の気温の上昇は海が熱を吸収することにより抑えられていたことが指摘されています。海が果たした役割は大きく、1971年から2010年までの40年間に地球全体で蓄積された熱エネルギーの9割以上を海が吸収し、温室効果ガスである二酸化炭素を30%も取り込んだそうです。
海という存在があったからこそ「0.6度」という数値で収まったものの、人類が地球に与えた影響はそれ以上のものがあるようです。
海水温の上昇と影響について
海によって地球の温暖化が抑制された代わりに、その海の温度が上昇しているそうです。過去100年間の海面水温を見てみると、世界全体の平均海面水温は0.51度、日本近海で1.08度上昇しています。
エルニーニョ、ラニーニャという気象用語を聞いたことがある方も多いかと思います。南米ペルー沖の海水温が変化する現象のことで、世界的な異常気象を引き起こすと言われています。地球の表面積の約7割を占める海の変化が与える影響は少なくないと言われています。海水温の上昇により極地の氷が溶けやすくなるのは知られていますが、そのほかに台風への影響についても指摘されています。
台風のエネルギーの源
台風の発生、発達には海面水温が28度以上であることが必要と言われています。台風(熱帯低気圧)のエネルギーのほとんどは、海から放出された水蒸気が元になっています。そのエネルギーは非常に大きく、大きさにもよりますが、比較的小さな台風でも全世界で1日に使われているエネルギーの約33倍ものエネルギーを持っているとのことです。そのような台風も、陸地に上陸してエネルギー供給源を絶たれると、2、3日程度で消滅してしまいます。
昨年、史上最大級の台風がフィリピンを襲いました。日本でも今年の夏、「過去最大級」と言われた台風が発生し、「数十年に1度」の強い台風などに発令される「特別警報」が出されました。
「海水温の上昇」と「台風の巨大化」についての関連性は、現在研究途中とのことでまだ明らかになってはいませんが、海面温度の上昇により、海水の蒸発量が増え、台風が巨大化することを指摘する研究者も少なくありません。
緩衝役の限界
海岸沿いは、内陸地に比べて「夏と冬」や「朝と夜」の気温の寒暖差が少ないことは学校で習ったとおりです。熱を吸収し蓄える性質のある海は、激しい気温の変化を和らげてくれる緩衝役になっています。
しかし今、温暖化がその緩衝役の許容量を超えて進むことが指摘されています。
地球の温暖化。国が取り組む以外にも個人でできることはあります。今、手遅れになる前のぎりぎりの時期にきているのかもしれません。
参考WEBサイト
紹介:sKenji
最終更新: