震災を経験して(5)「きのう銀行の窓口で・・・」

onagawa986

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「那須野さんって新聞のコラム書いていた方ですよね? 文章がすごくお上手で毎回読ませて頂いてましたよ。大変な経験されましたね、頑張ってください!」

きのう銀行窓口で名前を記入した用紙を見せた途端、担当の女性行員からこのように声掛けされ、あまりの出来事に面食らってしまった!
地元ローカル新聞、石巻かほく・つつじ野に毎週木曜日、二か月間コラムを掲載して頂いたのは去年の6月。かれこれ一年近くも前の事だ。
私よりも年上に見受けられるその行員は私の目を真っ直ぐに見据え、おだやかに一年も前の新聞の話をし、手続きが済み最後にも「お待たせいたしました、頑張ってくださいね」と励ましの言葉で見送ってくれた。

めったに行かない銀行窓口でこんなにドキドキさせられるとは!
ペコペコと何度も頭を下げ立ち去った私の顔が赤かったのはその日、石巻の桜の開花を一気に加速させた春の陽気のせいだけでは無かった。

「うわ~!わたし、読み手の心に残るようなことを書くことが出来てたんだ!?」
全く知らない誰かの心に引っかかり留まった、私たち一家の震災体験をもとに書いた新聞のコラム。
それを通して私が伝えたかったことは
「家族・仲間の大切さ!そして女川との絆を壊すことなく石巻でも新たな絆を広げるという自分自身の決意表明」だった。
それがたしかに伝わっていたことを実感できた今回の出来事。
この何とも言えない達成感!高揚感!幸福感!
「やった~!」ってバンザイしたい気持ち!
それと同時に「那須野ってやっぱり珍しい苗字なんだな~!こりゃますます悪いこと出来んわ!」とも感じた。

やたら画数の多いこの苗字のおかげで今回はとても良いことに巡り合えた。
「よし!頑張ってもっとこちらの銀行に貯金するぞ!」
けっこう単純な私。
あらためて声をかけてくれた行員さんにお礼を言いたい。
読んでくれて
覚えていてくれて
声を掛けてくれて
本当にありがとうございました!

震災前に住んでいた女川町・石浜地区のお獅子、ピンと立った耳が特徴
震災前に住んでいた女川町・石浜地区のお獅子、ピンと立った耳が特徴
本文と写真は全く関係ありませんが天にも昇るように嬉しい気持ちをお獅子で表します!
本文と写真は全く関係ありませんが天にも昇るように嬉しい気持ちをお獅子で表します!

那須野公美

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