石巻震災復興ネットワークと化粧品ブランドランコムの協力のもと企画された「アイズフォーフューチャーbyランコム」という講座へ通う機会に恵まれました。復興が進む石巻の女性を外面・内面からもっと輝かせ、社会参画へのモチベーションを上げることを目的とし、石巻に住む年代や立場も違う様々な女性が参加しました。全12回の講座は自分にプラスになる事ばかりでとても充実した内容でした。自分を輝かせようという志を持った人が集い、互いに刺激を受け、会話も弾み気分はまるで女子高生!(笑)「学ぶ」ということがどれほど幸福で大切なことか、この歳になって身をもって実感することが出来ました。
緊張した開講式から、お化粧のノウハウ、コミュニケーション能力アップの方法や互いが笑顔になる会話の仕方、石巻を代表する女性の方々との「石巻をもっと輝かせるため」の熱いディスカッション、元ミスユニバースジャパンから直接ウォーキングやストレッチの指導、栄養学に基づいた食事の取り方などなど。最終的には習ったパソコンを使い、自分がどれだけ成長したかをプレゼンテーションするまでに至りました! 終わってみると30名の初対面のクラスメートは大切な仲間へと変わっていたのです!! 一人一人の成長はもちろんのことですが、この新しいコミュニティが築けたことが何物にも代えがたい宝となりました。
復興の中で一番大切なのは心の復興。自分の心に元気が無いと周囲にも影響するしヤル気も出ません。自分の心に栄養を与えてゆとりが生まれれば大きな力になるはず! 皆さんもどうか自分を見つめ、労わり、大切にして下さい。
被災後の心の支えは「人との繋がり」でした。連絡手段が途絶えた時の家族への想い。何を失ってもとにかく家族が一番ということを思い知らされました。
携帯の電源を何日かぶりに入れ受信した膨大な数のメール。私を心配する文面の緊迫感から家族や友人がどれ程心配していたかが伝わり涙が出ました。
実家に避難し無事を知らせるため友達の家に顔を出すと、驚いた顔がみるみると泣き崩れ「いつ女川にあんだのこと探しに行くか行くかって考えでだんだ!」と号泣されました。ただただ嬉しくて二人で抱き合いしばらく泣きました。その後クラスメートが次々とガソリンの無い時期に必要な衣類などを持ち寄り届けてくれてました。震災で打ちひしがれた心を友達が支えてくれました。
関東からトラックでガソリン・灯油・水を運んでくれた従兄弟は普段はまったく音沙汰無し。でもピンチの時は駆けつけて助けてくれるなんとも頼もしい存在でした。
全国の顔も名前も知らない人たちからも沢山の支援を頂きました。それがご縁で釧路、八王子、浦安、春日井、伊豆の国の方々との交流が続いています。震災が無ければ出会うこともなかった。ご縁とは本当に不思議で素晴らしいものです。
憎き津波にただ一つ感謝するとすれば「大震災が無ければ出あうことの無かった人とのご縁」ただこれだけです。
いろんなものを奪われました。想いでのたくさん詰まった家、大切な宝物、大切な人、仕事、地域のコミュニティ、大好きな風景…。そんな大っ嫌いな津波が残して行ったものは、ガレキだけでは無かった。新しい出会い、ご縁を残していってくれたのです。
これから先、私の未来にはどんな素敵なご縁が待ち受けているのでしょうか?
今、私と繋がりのある全ての大切な人達との間にはどんな素敵な関わり合いが生まれるのか?
そして大切な家族・親類との間にはどんな素敵な出来事が起こり運命を共にするのか?
なんだか映画の予告篇みたいでワクワクしている自分が今ここにいます。
つつじ野連載について
この記事は石巻エリアの地方紙「石巻かほく」紙上に2013年6月から掲載していただいたものです。女川のママ友から頼まれ、「あんたの頼みなら!」と引き受けたものの、8回分のお品書きを考えると・・・それだけで悩みました。いざ書き始めると700文字の制限に苦労しました。「この言葉足らずの表現で読む人に本当に伝わるの?」とハラハラしていましたが、いざ第1回が掲載されると朝から電話とメールがとまりませんでした!
8回の連載のうち4回は震災の話です。書いている時には「ここまで書く必要ある?」と悩んだこともありました。それでも「当時の様子が手に取るようにわかったよ」と言ってくれる方も数多くいました。「石巻地域以外の人にも読めるようにしてほしい」と勧めてくれる知人もいました。そんな声に後押しされて、この場をかりて記事を公開させていただく次第です。被災地で起きたこと、被災地のいまについて少しでも知っていただき、そして災害から家族を守ることを考えていただくきっかけとなれば幸いです。
最後に、毎回掲載してきたひまわりの写真ですが、これは2012年1月に亡くなったおっぴちゃん(私から見るとお祖母さん)が植えたひまわりです。植えた本人が居ないのに、夏におっきくおっきく咲いて…。「ほれ!がんばれよ~!」って、いつも見守ってくれています。
那須野公美
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