ある日、いつものようにコラムを書いたところ、上司から指摘を受けました。
上司「ここさ、誤字だと思うんだけど“使いさし”じゃなくて“使いさらし”じゃない?」
僕「えっ?」
「使いさし」は通じないの!?
分かる人には分かると思います。僕は誤字だと思いませんでした。しかし、「誤字じゃないの?」と聞かれるのです。
元々の文章は
“ある時、予定外の外食が続いてしまい、自宅に使いさしのまま置いていた
もやしが傷んでしまいました。”
でした。つまり「使いさし」が通じていない。僕はまったく気付きませんでした。どうもこれ、方言だったようなのです!
僕の出身は兵庫県。大まかに言えばバリバリの関西弁圏です。調べてみたところ、「使いさし」など、【~~さし】は、動作を途中でやめた時に使う言葉。どうやら、関西圏だけで使われる言葉だったみたいです。そのほかで言えば、「読みさし」「飲みさし」「食べさし」……などなど。てっきり全国共通の言葉だと思っていました。
この場合、【~~かけ】と書けば正しかったようです。つまり、上の例で言えば“使いさし”でなく“使いかけ”とすれば通じたのです。……と言うわけで、僕は
“自宅に使いかけのまま置いていたもやしが……”
と修正したのでした。
方言と標準語の違い……こればっかりは経験が必要か
このように、「方言を方言と思っていない時」は厄介だなと思いました。
もちろん、「関西弁が標準語や!!」なんて1ミリも思っていませんが(笑)、時々こうしたアクシデントが発覚するので、焦ってしまうのです。もちろん、それが面白くもあるのですが。
そう言えば、僕が九州に住んでいたころ、バイト先の店長からよく「その辺はわいといて」とホウキを渡されることがありました。ホウキを渡されるからには「掃けってことだな」と察していたものの、「はわく」なんて初めて聞きます。そのことを周囲の人たちに告げたところ、
「えー!?“はわく”って九州しか使わんと??」
と驚いていました。意外と、おらが地方の方言を標準語だと思い込む例は多いのかも知れませんね。
同じく関西弁で言えば、(学校の)クラスの日がわり当番の意味で「日番」という言葉があるのですが、これが今ひとつ通じなかったことにはビックリしました。やはり「日直」が圧倒的多数なんですね。
さらに調べてみたところ、「日番」と呼ぶのは関西の中でも神戸周辺だけのことだとわかりました。大阪では普通に「日直」と呼ぶそうです。
(僕は兵庫県・阪神地区の出身です)
方言や文化の違いは千差万別。こう考えると面白いですね。大阪と神戸なんて30km程度しか離れていないのに、ちょっとした文化の違いがあったわけです。
(話し言葉だって、大阪と神戸では、実はけっこう違います)
ただ、文章を書く上では、この「方言の壁」にどう向き合うか。身体に、頭に、染みついている関西弁は、これからも思わぬところでぽろっと出てくるでしょう。ライター向けの「方言 ― 標準語 はやわかり表」なんてモノはないのです。
(あったら良いなぁ……)
こればっかりは経験を積まなきゃ分からないのかも知れませんねェ。
とにもかくにも、たくさん書いていきたいと思います。
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