石島、井島(いしま)「日本で唯一、島内に県境がある有人島」【この島、日本で唯一】

tanoshimasan

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国内には6,000を越す島々が存在します。それだけたくさん島があれば、中には一風変わった面白い島もちらほら見かけたりします。このシリーズでは、そんな島々の中でも「日本で唯一、●●な島」だけを取り上げて紹介していきたいと思います!話のネタに、島旅の参考にどうぞ!

岡山側・石島の集落
岡山側・石島の集落

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日本には47の都道府県がありますが、中には、離島の上を県境が通過するケースがあります。今回注目するのは岡山県と香川県の県境をまたぐ石島/井島(いしま)。この島は、日本で唯一、島内に県境がある有人島なのです。(全国に合計8あり、7つは無人島)人口は103人(2011年時点)の小さな島で、定期船もありません。島内に唯一存在した小学校は、最後の児童1人が卒業し、2012年で休校となりました。一見どこにでもありそうな普通の島かも知れません。

しかしもうひとつ、この島の面白いところは、岡山県と香川県で名前が違うところ。読みはどちらも「いしま」なのですが、岡山の場合は石島、香川の場合は井島と書き、区別されています。これも、島内に県境が敷かれていることに由来するそうです。

何かと珍しい存在の石島/井島(いしま)。この小さな島にはどんな歴史があるのでしょうか。ひも解いていきたいと思います。

ココに注目!~日本で唯一たるポイント~

■1.漁業権をめぐって争った歴史

地図で見るとよくわかりますが、瀬戸内海に浮かぶ石島/井島(いしま)は、本州と豊島、直島、この3つのちょうど真ん中あたりに位置します。

石島/井島

県境が通る唯一の有人島。よく見ると海岸手前で境界線が途切れているのがわかる。

1600年代後半あたりから、本州側・岡山藩胸上村と、徳川幕府の直轄地であった豊島とで、この島を巡る漁業権と領有権が争われるようになりました。事の発端は、岡山と直島の中間あたりの海上で、胸上村の漁民がイカナゴ漁を行ったこと。当時直島の領主だった高原氏がその漁民を捕らえたことで、後の争いに発展しました。

見てわかるとおり、瀬戸内海には島々が多く、領地の線引きが曖昧だったのです。この争いは不毛を極め、奉行所に訴訟を起こした直島側が、幕府に判断を求めたのが1690年のこと。そして1702年、島の北部分を岡山県胸上村、島の南部分が香川県直島とする、現在の形となったそうです。

詳細については不明な点が多いものの、幕府の判断を仰ぎ、領地を分けるまでに12年かかっていることから、かなり頭を悩ませる問題だったのではないでしょうか。一説では、岡山藩の出崎(本州側)から石島/井島に向けて樽を流し、漂着した箇所から線を引いたという逸話も残っているようです。果たして・・・。

余談ですが、領地が決定されるとすぐ、胸上村より移住者が訪れ、集落が形成されていきました。一時は数百人規模まで人口が増えたそうです。現在も集落は岡山側(石島)にしかありません。

■2.実は県境未定地

石島/井島の陸地部分は尾根線によって県境が設けられました。東は戸尻鼻から西はヘラガ崎付近まで、大まかには島の3分の1が岡山(石島)、3分の2が香川(井島)とされています。島の香川方面は、八十八か所めぐりの霊場を模した石仏が88体置かれているそうで、県境と思われる場所より見られるようになるそうです。

が、ヘラガ崎の海岸付近に限っては、漁業権の問題から明確な線引きがされておらず、不確定のまま現在に至ってしまいました。そのため、確かに石島/井島には県境が通っているのですが、海岸部分は微妙に空きがあるのです。行政的にはいずれ解決すべき問題だそうですが、費用面で折り合いが付いていないのが現状とのこと。

この石島/井島を巡っては、こんな変わった話もあります。かつて、日本で面積の小さい都道府県と言えば、1位が大阪府、2位が香川県とされていました。

ところが、先述の石島/井島の面積が不確定なことから、1988年、香川県は総面積から井島の14.2㎢を省いて計算することになりました。加えて大阪府は、当時建設が進められていた関西国際空港など埋立地を面積として追加したため、大阪府と香川県の総面積は、わずかな差で逆転してしまったそうです。

いやいや、僕個人はてっきり、大阪府が面積最小だと思っていました。香川県側の井島は無人地域ですけれど、総面積から省く判断に問題はなかったのでしょうか。なんとも興味深い話ですね!

■3.定期航路開設なるか

・・・と、何かと特殊な存在の島ですが、島自体はごく普通ののどかな島だと言われています。現在の主産業は漁業やのりの養殖だそうで、島民らは自家用船を持っているのが普通なのだそう。船が車がわりの存在と言うのも、島ならではといった印象です。島には大きなお店などがないため、買い出しや通院の際は本州側の宇野まで出かけるそうです。

ただ、石島/井島においても高齢化が進んでいるそうで、船を操縦できる人も限られてくるのが現状だと思います。2012年9月には、島民が定期航路開設を要望したとのニュースもありました。

かつては領有権が争われるほどだった石島/井島も、逆に人が離れてしまうと寂しい限りですね。島の存続のために、良い今後を期待したいところです。

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