国内には6,000を越す島々が存在します。それだけたくさん島があれば、中には一風変わった面白い島もちらほら見かけたりします。このシリーズでは、そんな島々の中でも「日本で唯一、●●な島」だけを取り上げて紹介していきたいと思います!話のネタに、島旅の参考にどうぞ!
無番地とは、「何丁目何番何号」「何番地」といった、いわゆる住居表示や地番が振られていない土地のことを指すそうです。日本にはいくつかこういった場所があり、基本的には鉄道の敷地や自衛隊の所在地など、その地域の一部が無番地として扱われることがあるようです。田舎ばかりがイメージされがちですが、例えばJRの四ツ谷駅や横須賀、木更津の自衛隊駐屯地なども無番地にあたります。どうも無番地とされる経緯はいろいろあるようです。
さて!この青ヶ島は、島全域が「東京都青ヶ島村」となっている1島1村制の離島です。この青ヶ島と言えば、有名なのが「日本で一番人口が少ない自治体」だということ。2012年時点では人口が195人であり、これを下回る規模の自治体は存在しません。しかし、興味深い点がさらにもうひとつ。なんと村全域が「東京都青ヶ島村無番地」なのです。
ココに注目!~日本で唯一たるポイント~
■1.日本一人口が少ない自治体
述べたとおり、青ヶ島は人口が200人を割る自治体です。島は伊豆諸島の南端で、八丈島からさらに南。50%前後という就航率の低いフェリーと、定員の少ないヘリコプターしか移動手段がなく、東京都内でありながら、ちょっと容易に訪れることのできない島という印象です。
そんな島ですから、島民みなが顔なじみで家族のような存在ではないかと想像がつきます。それに、郵便物なんかが届いても住所が細かくなんか振ってある必要が無いかも知れませんね。なにせ、人口200人未満なのですから。理屈の上では、郵便番号と名前さえあれば、わざわざ「東京都青ヶ島村無番地」と書かなくても宛先は明確になるのです。
■2.人が住める面積が少ない
青ヶ島の大きな特徴として、現在も活動を続ける火山島という点があります。地熱により地面が暖かく、噴気孔から蒸気が上がる風景が見られます。ですが、それ以上に特徴的なのが、島の独特な形状です。
言葉で説明するよりも、写真で見た方が早いかもしれません。この分かりやすい凹地は、火山活動による「カルデラ」というもので、見てのとおり外周はまさに断崖絶壁。船が寄り付くのも困難だそうで、先に述べたフェリーの就航率の低さも、この断崖絶壁が理由のひとつだと聞きました。
起伏に富んだ島なので平地は限られており、その平地に寄り集るような形で集落がつくられています。そんな地形のため、いつしか「青ヶ島ではどこからどこまでが誰の土地なのか曖昧になった」とのこと。今や「住居表示(丁目、番、号)や地番(番地)がなくても困らない」と言われていますが、そうではなく、土地の線引きが難しいゆえ、全村域が無番地扱いなのだそうです。
■3.平均年齢が若くパワフル。人と人との距離が近い
繰り返しになりますが、青ヶ島は就航率の低いフェリーと、定員の少ないヘリコプターしか移動手段がありません。交通網が絶たれやすいため、かつては食糧難に陥ったこともあるとか。魅惑の島として注目を集めながらも、(僕も含めて)容易に行ける島ではないのです。一見すると、途方もない遠い島に思えてしまいます。ですが、島民の平均年齢は30代後半と若く、島民の約半分は島外出身で、役場や学校といった公的機関に従事しています。島をあげての取り組みでは、この若い世代が島を引っ張る役目を担うそうです。
また、青ヶ島関連のお土産などを眺めていると感じるのですが、お土産の種類が意外と多い。195人の島であることを思えば「こんなにもあるんですか!」と驚くレベルです。そのためか、基本的に自給自足なのが青ヶ島スタイル。作れるものは何でも自分たちで作ってしまうそう。それでいて、足りないものは分け合うと聞きました。お土産も、そんな青ヶ島だからこそ、いくつも生まれたのではないでしょうか。
こうしてみると、青ヶ島は人と人との距離が特別近い印象です。このつながりの密接さが、土地の線引きを曖昧にさせてしまったのかもしれませんね。
東京都青ヶ島村無番地
絶海の孤島・青ヶ島!簡単に行けない島だけに、離島ファンの憧れの的です!
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