”アート”で島おこし

tanoshimasan

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出羽島の取り組み

 10月13日付の毎日新聞の記事で興味深い記事を見つけた。

(徳島県)牟岐町の離島、出羽島(てばじま)で、島を美術館に見立てたアートフェスティバル「出羽島アート展2013」が、来年2~3月に計画されている。
(引用:『新たな観光名所に 景観や空き家活用「アートフェス」、来年2~3月に計画』 2012年10月13日付 毎日新聞)

というものだ。島に残る古民家やその景観を活かし、そこに芸術家たちの現代アート作品を展示するようだ。印象としては、島全体をキャンパスと捉え、その島で作品を展開するといったところだろうか。僕はまだ出羽島に行く機会がないが、おそらく自然豊かで人口も少なく、「古いけどどこか味わい深い」、そんな建物が並んだのどかな島なのだろうと想像できる。調べてみると、緯度はそれほど低くないものの、太平洋に面しているためか、どこか暖かい印象。南国情緒を彩るヤシの木が育ち、ハイビスカスも咲くようで、なんとも良い雰囲気だ。ただ、今まで観光地化に積極的だったという印象は受けなかったので、今後の取り組みに 期待したいところである。(写真・・・出羽島の風景)

島とアートの融合

 出羽島での取り組みもそうだが、島と芸術(アート)の融合による島おこしプロジェクトをここ数年よく見かける。有名どころで言えば、建築家・安藤忠雄の設計による地中美術館が人気の直島(香川県)、明治後期から大正初期に稼働した精錬所跡地をアート化した犬島(岡山県)、また他の島々に先駆け、築100年を越える古民家などを活かしたアートプロジェクトに取り組んできた佐久島(愛知)などが挙げられる。またどの島も着実な成果を上げているようだ。 佐久島では1996年にアートプロジェクト構想がスタートし、長らく試行錯誤が続いたものの、2004年に観光客数が上向き始め、以降は毎年増加傾向にある※。ターゲットは「体験型志向の若い観光客」とあるが、その目論みどおりの成果が上がり始めているとみてよい。

※ 愛知県一色町佐久島「アートによる島おこし」(総務省HP参照)

(写真は愛知・佐久島の風景。左・・・イーストハウス、中・・・カモメの駐車場、右・・・大葉邸) 前述の出羽島においても、

町商工会は、車1台通らない、この自然豊かな島をPRしようと、若い女性にも人気の高い現代アートに着目。
(引用:同記事 2012年10月13日付 毎日新聞)

とあるように、若い客層の獲得は、観光客の増加のみならず定住促進も期待できるだろう。これらは全国の島々に共通する課題だが、先んじて行われる取り組みだけに今後も注目していきたい。

長期的なビジョンを

 しかし、出羽島も含めて島々は高齢化が著しく、過疎化も進んでいる。それゆえ、かなり難しいことだと思うのだが、僕個人としては長期的なビジョンを期待している。事実、佐久島では成果を上げるまでに8年の歳月を要したのだ。一朝一夕で成し得るものではない。

  中でもアートの維持、保全は必須だと思う。イメージして頂きたいのは、寂れた観光地。古びた看板や、老朽化が進んでもほったらかしの設備など、特に地方で見かけたことは無いだろうか。おそらく、かつては賑わいを見せ、一定の観光客が訪れたはず。それでも、時代には抗えず活気を失ったのだろうが、個人的には あれほど空しいものはないと思っている。 定住促進が急務の島々にとって観光訴求は必須だが、だからこそ、アートの維持や保全には全力を尽 くして頂きたいのだ。とは言え、同じアートばかりでは飽きられてしまうことも想像できる。このあたりの工夫も求められるだろう。新聞によると、フェスティ バルの期間は2013年の2~3月とされているが、それに終始しない取り組みを期待したいところだ。

 日刊楽島コラム
potaru.com

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