棄てるものは「羞恥心」!桃岩荘に泊まる。その1 (生ける化石は異空間編)【旅レポ】

tanoshimasan

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思うに桃岩荘の話題は難しい。ネタバレしてしまっては面白くないが、事前勉強をせずに行っても楽しみにくい(ついていけない)からだ。そのため、デリケートな 範囲内で桃岩荘をお伝えする必要がある。その微妙なさじ加減のなかどこまでできるかはさておき、やはり知っておいた方が良い情報はたくさんあると思っている。ここでは僕の体験とともに桃岩荘を紹介したい。

なお、色々と独自のルールが用意されているため戸惑うかも知れないが、起床と消灯以外は原則自由参加。体調と相談して臨めばよい。

桃岩荘ユースホステル

北海道、礼文島。桃岩荘という名の宿を聞いたことは無いだろうか。礼文島に宿泊施設は数あれど、どこに泊まろうとおそらく話題にはなる、色々な意味で特殊な宿である。何故か。船の入港時、既に彼らはそこにいるからだ。

遠目からでも既に旗が目立つ桃岩荘

遠目からでも既に旗が目立つ桃岩荘

うっぉおおおおおおおい うっぉおおおおおおおい!

何か叫んでいる。振っているのは旗だろうか。・・・と、こんな感じで、礼文島に上陸する15分ほど前から、彼らはダントツで目立っているのだ。

ヘルパー、常連客、連泊客らが一緒になって派手に出迎えてくれる。

ヘルパー、常連客、連泊客らが一緒になって派手に出迎えてくれる。

桃岩荘宿泊者が集められるとトラックの荷台へ乗って移動する。・・・その前にギリギリ聴いたことのある「月光仮面」や「ガッチャマン」の踊りを踊る。もちろん踊ったことは無い。周りがやっているので「なんとなく踊る」のだ!常連と思われるオジサマ何人かは「こうだよ」と教えたり、レクチャーをしてくれた。

「なんだか、異世界だ!」

さて、ここで桃岩荘の概要を説明せねばなるまい。

・桃岩荘とは北海道北部、最果ての島、礼文島にあるユースホステルである。
・ユースホステルとは1970~80年代に最盛を迎えた宿泊施設。
・最盛期はその宿泊料の安さと貧乏旅行ブームが相まって、若者たちでにぎわった。
・特に当時は旅人同士の交流を重視し、歌ったり踊ったりすることで親睦を深めた。
・しかし近年は、個人旅行の増加、個室対応の増加。
・ネットカフェやドミトリーの登場で必ずしもユースホステルが安いわけではない。
・結果、ユースホステルは会員数・施設数とも減少傾向。
・同時に「歌って踊って」といった交流スタイルを取るユースホステルもほぼ皆無に。

そんな中、全盛期当時から歌も踊りも非常に激しく、今なおその独自のスタイルを貫いているのが桃岩荘である。

歴史と共に変遷を続けた旅行スタイル。ユースホステルも例外ではく、禁酒・個室の禁止などの規則はニーズに合わせて緩和していった。しかし、桃岩荘だけは当時の雰囲気が色濃く残っており、往年のファンから愛され続けている。これぞまさに、生ける化石と言ったところだろうか。ところが、昔ながらの雰囲気を保つがゆえ、かなり好き嫌いがはっきり分かれる宿でもある。よく考えて泊まることをオススメする。

船の見送りで踊り始める
船の見送りで踊り始める
この日は天気が良いので寝転がることに
この日は天気が良いので寝転がることに
快晴!
快晴!

桃岩荘へ出発!

ブルーサンダー号エースに乗り込む。ヘルパーさんにより女性だけ手を引かれる。

ブルーサンダー号エースに乗り込む。ヘルパーさんにより女性だけ手を引かれる。

港から宿までは送迎がある。送迎などは全て「ヘルパー」と呼ばれる若いスタッフが行う。ヘルパーとは、ユースホステルやそれに近い宿泊施設にて見られる制度で、無給~薄謝ながら、3食付で非日常空間に長期滞在出来るというメリットがある。ペアレントと呼ばれるオーナーのもとで働くのが相場だが、桃岩荘は20代を中心とした大勢のヘルパーたちのみで運営されているのが特徴的だ。(ペアレントは存在するが顔は出さない)

ブルーサンダー号エース(トラックの荷台)に乗り込む!

ブルーサンダー号エース(トラックの荷台)に乗り込む!

車というか、トラックの荷台に積みこまれる。最初はえーっ!と思ったが、乗ってみると案外楽しくて、お客さんはみんなきゃあきゃあ騒いでいた。こうして一路桃岩荘へ。道中、ヘルパーさんが桃岩荘に関する注意事項を述べる。

「さぁー!間もなくこのブルーサンダー号エース※1!桃岩タイムトンネル※2に差し掛かろうとしております!桃岩タイムトンネルを抜ければそこはもう桃岩時間※3!そこで3つのモノを棄てて頂きます!それは知性※4!教養※5!羞恥心※6!」

近距離にもかかわらずヘルパーさんが叫ぶ。先に断言しておくと、羞恥心さえ棄てることが出来れば、桃岩荘を存分に楽しめる素質があるだろう。間違いない。羞恥心さえ棄てることが出来れば、桃岩荘は間違いなくオススメの宿だ。お楽しみはここからである。

さぁ、遠い世界に旅に出ようか※7。

~~~ 桃岩用語 ~~~

※1 ブルーサンダー号エース
 → 送迎用の高級車・・・もといトラックである。前身のブルーサンダー号の
   後継で、「エース」がついたらしい。

※2 桃岩タイムトンネル
 → 元地港、香深港方面から桃岩荘へ向かう際に通過するトンネル。
   桃岩荘のヘルパーさんは勝手に桃岩タイムトンネルと呼んでいる。

※3 桃岩時間
 → 本格的に桃岩荘の独自空間に突入することを指した時間。
   桃岩タイムトンネルを抜けたら桃岩時間に突入する。

※4 知性
 → 普通の旅行客なら持ち合わせていると思われるもの。

※5 教養
 → 普通の旅行客なら持ち合わせていると思われるもの。

※6 羞恥心
 → 恥じらい。島田紳助プロデュースではない。

※7 遠い世界に旅に出ようか
 → 桃岩荘に宿泊すると意味が分かる。
   文章の締めくくりをキザにしたかったわけではない。

桃岩荘ユースホステル

(男女別相部屋)素泊まり:3,045円(非会員は600円増し)、朝食630円、夕食1,050円、アクセス:香深港から車で送迎(15分)、問い合わせ:0163-86-1421(※10月1日~5月31日まで閉館)

【シリーズ】棄てるものは「羞恥心」!桃岩荘に泊まる。

桃岩荘シリーズの記事一覧です!

★その1 (生ける化石は異空間編)【旅レポ】

 その2(案外落ち着ける場所もある編)【旅レポ】
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 その3(真骨頂・ミーティング編)【旅レポ】
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 その4(愛とロマンとそれ以外の何か編)【旅レポ】
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 その5(見送り見送られ桃岩荘編)【旅レポ】
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  • K

    Kazannonekko452

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    • T

      tanoshimasan

      書いていて、「どこまで見せるか」が難しいです。
      出来れば現地に行って体感してほしいので・・・。笑