原子力の安全を司る新しい機関として、原子力規制庁(政府案)がいいか、原子力規制委員会(自公案)がいいかの綱引きが行われていましたが、新聞(産経新聞≪原子力規制委、設置へ 政府・民主、自公案を丸のみ≫2012年5月12日)が伝えるところによると、政府・民主党は、自公案を丸のみして国家行政組織法第3条に基づく「原子力規制委員会」を設ける方向で調整に入ったとされます。
「3条委員会」、あるいは「3条機関」ってなに?
国家行政組織法第3条を見てみると、こうなっていました。第3条 国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。
2項 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。 3項 省は、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。
4項 第二項の国の行政機関として置かれるものは、別表第一にこれを掲げる。
条文を素直に読むと、国の行政組織として「委員会」と「庁」はどちらも省の外局として置かれるということで、庁だからダメで、委員会ならイイということではなさそうです。
この法律の4条にはこう記されています。
第4条 前条の国の行政機関の任務及びこれを達成するため必要となる所掌事務の範囲は、別に法律でこれを定める。
なぁんだ、やっぱり。「原子力規制委員会」がどんな性格の組織になるかは、これから決める法律次第ということ。3条委員会だから独立性が高くて安心、という話ではなさそうです。
【つついてみたい重箱の隅っこ】
新聞報道では、毎日新聞も産経新聞も時事通信も、そろって3条機関の例として、「公正取引委員会」を上げていますが、国家行政組織法第3条4項が別表で定めている3条委員会は、公害等調整委員会、公安審査委員会、中央労働委員会、運輸安全委員会の4つだけで、公正取引委員会は内閣府設置法49条、64条により設置された委員会です。
独立してそうなイメージが強い「公取委」を引き合いに出しただけ、なんて言うと叱られちゃいますかね。
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