【復興支援ツアー2018レポート】東北の魅力に触れ、復興を学ぶ旅 by orangeoor18

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中心部では復興が進んでいる印象を受けましたが、郊外に進むにつれまちの風景が変わってきます。

比較的、汚染の度合いは低いのですが土のうが未だ残っていたり、空き家も多くありました。

避難指示が解除されてから3年ほど経ちますが、帰還率は全体の5割程度なのだそうです。郊外の住民や若者といった人たちの帰還が進んでないという厳しい現実がある一方で、最近は県外からの移住者も少しずつ増えているそうです。

90分間の語り部を振り返ってみて、印象に残っているのが、ガイドの方が仰っていた「目に見えないものだからね・・・」という言葉です。放射線という目に見えないものだからこそ、人それぞれで感じ方に差があります。不安はないよという方もいれば、安心できないという方もいると思います。

そして、まちのほとんどの家を見ても、損壊なくそのまま残されています。(津波の被害を受けた地域もあります)外から見れませんが、すぐにでも住めるのではないかという家もありました。にもかかわらず、住みたくても住めなかったという状況はこれまで訪れてきた津波被害を受けた地域とは異なりました。

緑のシートで覆われた汚染土
緑のシートで覆われた汚染土
楢葉北小学校は放射線事故や老朽化の影響により校舎はすでに解体されています
楢葉北小学校は放射線事故や老朽化の影響により校舎はすでに解体されています
郊外には空き家が多く残っています
郊外には空き家が多く残っています
JR木戸駅。楢葉には竜田駅そして来年にはJビレッジの前に新駅ができます
JR木戸駅。楢葉には竜田駅そして来年にはJビレッジの前に新駅ができます

楢葉町から宿泊先のいわき市に向かう途中、浜沿いにある道の駅よつくら港。
震災により建物は全壊してしまったのですが、2012年に再オープンしました。

道の駅としてだけでじゃなく交流の拠点としても活用されているそうで、到着した時には終わってしまっていたのですが、この日もイベントが行われていました。

交流館と情報館で建物が2つに分かれており、交流館の2階では海を見ながら食事をいただけるテラス席もあります。

交流館の2階はフードコートになっており、この高い天井部分が特徴です
交流館の2階はフードコートになっており、この高い天井部分が特徴です
2階へ上る階段部分には多くの方のメッセージが掲示されています
2階へ上る階段部分には多くの方のメッセージが掲示されています
建物の前にあるふれあい広場
建物の前にあるふれあい広場
 道の駅 よつくら港
www.429-love.jp  

いわき市の海岸沿いを南に進み少し内陸に入ったところにあるかまぼこ工場と併設された「かねまん本舗」というお店があります。

いわきを代表する老舗の練り物屋さんで名物のシーフードケーキやかまぼこなど多数の商品を取り揃えています。

お店の中では飲食スペースもあるので、お茶を飲みながらおやつとして練り物を食べることもできます。

商品、その製造に使用する水の放射線物質を測定し、お店のホームページで公開していたり、合成着色料や甘味料などの添加物を不使用とするなど食の安全にこだわっています。

いわき市沿岸部では海岸堤防、防災緑地、水門などさまざまな工事が進められています。全ての事業が完了するまであと少しです。
いわき市沿岸部では海岸堤防、防災緑地、水門などさまざまな工事が進められています。全ての事業が完了するまであと少しです。

この日、最後に向かったのは市内の南に位置する「いわき・ら・ら・ミュウ」。

1階は鮮魚市場やレストランなど、2階は震災関連の資料が多数展示されています。
展示スペースでは「震災」「津波」「記憶」「復興」などさまざまなテーマに沿って、いわきの震災から今まで歩んできた道のりをパネルや映像で伝えています。

いわきでは市内127か所の避難所に19,813人の方々が避難しました。その避難所で実際に使われた備品も展示されており、生活の様子を実際の目で確かめることができます。

いわき・ら・ら・ミュウを後にして、ホテルに到着です。

宿泊したのはホテル花天。地下にはLED照射による水耕栽培で野菜(レタス、ルッコラ、ホウレンソウなど)が育てられています。もともとはプールだった場所を改装したそうです。

栽培施設はロビーからも見える位置にあり、とれたての野菜は翌朝に館内で販売していました。もちろん夕食、朝食でも食べられます。

1Fロビーからは栽培施設(写真の左側)が見えます
1Fロビーからは栽培施設(写真の左側)が見えます
ホテルで栽培された野菜は夕食のサラダに使われていました
ホテルで栽培された野菜は夕食のサラダに使われていました
 【公式】ホテル花天|いわき小名浜 全室オーシャンビューの温泉ホテル
www.hotel-katen.com  

2日目

ホテルから出発し、常磐道を使って福島県の北東部に位置する新地町に向かいます。

下の写真はサービスエリアのトイレに設置されていたものです。9つのポイントに放射線量を計測し、このように常時公開されています。

常磐道を走行中も、道のいたるところに線量数値を公開している案内板が掲げられています。

広野ICから南相馬ICに向かいます。
車は窓を閉め切って内気循環をしながら走行し、持参した線量計を何度かチェックしたのですが、途中までは大きく変化せず。

しかし、常磐富岡ICを少し越えてから急激に数値が上がりました。またその区間では道路の横に汚染土が入った土のうも置かれていました。

新地町に到着し、まず向かったのが新地町役場。4階の展望ロビーは土日も見学する可能で震災関連の資料を見たり、津波被害を受けた釣師地区の町の様子を望むことができます。

新地町はこの釣師地区を中心に町全体面積の20%が浸水。海近くのJR新地駅も全壊してしまいました。

現在駅は再開し、海沿いでは防災緑地を整備中。緑地内には津波防災機能を備えるだけでなく、公園そして震災の記憶を後世に伝える場としても計画されています。

そのひとつとして復興のシンボルとして掲げられているのが、復興フラッグ。
町に駆けつけた自衛隊員が瓦礫の中から日の丸旗を見つけて、それを掲げたことが始まりとされています。

隊員の想いから掲げられた希望の旗をボランティアの方々が引き継いだのですが、その中心になっていたのが、震災前からこの町に訪れていた多くのバイク愛好家たちでした。

このフラッグが町の住民に勇気を与え、のちに愛好家ネットワークにより全国の人々から応援の声が集まり、これまで存続してきたのだそうです。

そして、現在4代目として役場の敷地内に設置されており、ゆくゆくは来年完成する防災緑地に掲げられます。

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