ツクシの花言葉知ってますか?

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春の東北は山菜の宝庫。バッケ(フキノトウ)とかシドケ(モミジガサ)、ミズ(ウワバミソウ)、ウルイ(オオバギボウシ)、それからワラビやゼンマイなどなど、早春から晩春にかけての季節の進みに合わせて次々に山菜の食べごろがやってくる。

おばあちゃんたちやお母さんたちの知り合いが多いから、例年この時期には美味しい春の風味をお裾分けしてもらうことが多い(ありがたいことだ!)。そんな或る日、おばあちゃんたちやお母さんたちの寄り合いに参加していたとき、「九州の方じゃツクシを食べるんだってね」と言われたことがある。

バッケに菜花、そして土筆
バッケに菜花、そして土筆

「こっちのバッケのほどには喜んで食べるってものではないけど、まあ食べますね」と答えると、「いやぁ、あれは食べないわよね」「食べようって気にならないもの」「一体どうやって食べるの」と集中砲火のように言葉が返ってきた。

ぼく自身、ツクシを美味しいと思ったことはほとんどないし、実は食べたことも数回(10回未満)しかなかったのだけれど、集中砲火にはちょっと参った。そこまで言われると、何とかして美味しいツクシを味わってもらいたいものだ、とまで考えた。

記憶の中にあるツクシの思い出は、小学1年生に上がる前の春休みのものだ。当時自動車学校に通っていた母が、どうも路上に自信がないと気をもんでいたのを受けて、父が運転を教えてやろうということになった。休日に田舎の方まで出かけて行って、だたっ広い空き地を使っての運転講習が何回か行われた。運転講習とはいってもピクニックみたいなもので、教官役の父が助手席に乗って母を指導している間、ぼくと姉の二人は野原で四葉のクローバーを探したり、レンゲソウで花の髪飾りをつくたりして遊んでいた。野原にはツクシもたくさん生えていて、レンゲの髪飾りづくりに飽きたぼくはひたすらツクシを摘んでいた。何のためというわけではない。たぶん、形が面白かったからというだけの理由だろう。

自家製の講習を終えて草の上にお弁当を広げていたとき、ツクシが食べられることを母が教えてくれた。そう聞いたぼくは、さっき摘んだツクシを生のまま口に入れ、ムシャっと嚼んだ。おそろしく不味かった。苦くて筋っぽくて粉っぽかった。

「生ではダメだよ。ちゃんと料理しなきゃ」と、父と母、それに姉まで一緒になって笑った。そんないきさつから、その日の晩ご飯にツクシの佃煮が出ることになったのだが、料理されたツクシもやっぱり美味しいものではなかった。醤油と砂糖で甘辛く煮込んでいるからたしかに醤油と砂糖の味はする。でもツクシ本来の味(らしきもの)は苦みと筋っぽさしか感じられなかった。

その後、実家でツクシを料理したことは、たぶんない。あったとしても1度か2度だろう。大人になって料亭みたいなところで、「春の珍味ですから」と出されたツクシの佃煮を口にしたこともあったが、真っ黒くなるまで煮詰められたそれは、もはやツクシではなかった。

そんなトラウマみたいな思い出があるのだから、ツクシを美味しく料理して食べてもらおうなんて思ったのはその一瞬だけのこと。「ツクシが出るのは早春だから、もう残ってはいないだろう。来年の課題だな」なんて決めつけていたら、少し山間に入った田んぼの土手で見つけてしまったのだ。田の植物を圧するほどの勢いで地面から突き出すツクシの大群生を。まさに何百本もの「土筆」を土手に突き刺したような光景だった。

トラウマはある。でも、ここで出会ったからには覚悟を決めるよりほかはない。「頭のところが開いてしまってるのはダメだぞ」とか「小さくても固いのがいいのよ」など就学前の幼児の頃に教わった言葉を思い出しつつ何本か摘んできて料理することにした。

下ごしらえとして、軸の部分の袴(ハカマ)を取ってよく水洗いする。水けを拭き取って軽く油で素揚げして、砂糖醤油で煮詰めることにした(そのまま佃煮にするよりアクが抜けると思ったのだ)。

結果は失敗であった。素揚げにしたから苦みはなかった。しかし、揚げたせいで身が細ってしまって、ますます筋張った食感になった。そして砂糖醤油と油の味しかしない。たしかに不味くはなかったが、何を食べているのかわからないという食べ物になってしまった。

知り合いのおばあちゃんから頂いたお焼きに添えて。最近ではツクシが花粉症に効くという触れ込みで、飴やチョコレートつくられているようだが、おそろしく高価だ
知り合いのおばあちゃんから頂いたお焼きに添えて。最近ではツクシが花粉症に効くという触れ込みで、飴やチョコレートつくられているようだが、おそろしく高価だ

ところで、ツクシにも花言葉があるのをご存知か?

ネットで調理法を調べていたらたまたま見つけたページにしっかり掲載されていた。ツクシの花言葉には、「向上心」とか「驚き」といったものがあるらしい。「向上心」の所以は、天に向かってすくすく伸びるその姿にあるのだとか。

なるほど、「今年はうまく行かなかったが、来年こそは美味しいツクシ料理を作れるように頑張ろう、ツクシに負けない向上心を持って」なんて思ったのだった。

花言葉を紹介しているページによると、ツクシは誕生花にもなっているのだそうだ。3月6日と3月12日。ぼくの知り合いにもこの日が誕生日という人がいる。これはもうひとつの花言葉よろしく「驚き」だった。きっと知り合いも、自分の誕生花がツクシだと知ったらビックリするんじゃなかろうか。

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