防災ワークショップ「ポリ袋でカレーをつくる」

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阪神淡路大震災が発生した1月17日、神戸と東北をつなぐイベント「Action7~神戸から東北へ~」で教えてもらったカレーライスのつくり方。

カレーライスは炊き出しの定番だが、今回のカレーはポリエチレン袋を使って湯煎してつくる。ポリ袋を使うことで5つも6つもメリットがあることに驚いた。大船渡在住の防災士の新沼真弓先生に教えてもらったレシピを大公開。

つくってみよう(ご飯編)

まずはご飯を炊く。使うのはポリエチレン袋。ワークショップでは100枚100円のものを使ったが、スーパーのサッキングテーブルにある半透明のポリ袋と同じ材質だ。

被災した前提でのクッキングだから、計量カップなどないということで、ペットボトルをカットしてカップにする。500ミリリットル入りのペットボトルなら、5分の1くらいのところに印を付けて(つまり100ミリリットルの計量カップとして使うわけ)、そこまでお米を入れる。

計量したお米をポリ袋に入れたら、同じペットボトル計量カップで飲料水を計る。お米の量と同じか、少しだけ多めが基本。計量したらポリ袋に入れる。

※ ワークショップでは、あらかじめ100ミリリットルを計って印を入れていたが、正確に100ミリリットルである必要はない。お米とほぼ同量の水を入れて湯煎すればご飯が炊ける。ちなみに100ミリリットルで炊くと、はお茶碗一杯強のご飯になるので、大まかな目安としては覚えておいた方がいいだろう。

袋の口を閉じる。カラーゴムなどで自分のものだと分かるように印を付ける。なければ結び方を工夫するなどして、自分のものだと分かるようにする。

準備完了。グループごとにお米と水が入ったポリ袋をまとめて、カラーゴムなどでグループの印をつけ、湯煎の鍋に投入。

湯煎の時間は30分ほど。出来上がり加減を確認して湯煎から上げる。

ちなみに、お米は研いで(洗って)ない。使ったのは無洗米ではない普通の精米を使ったが、炊き上がったご飯はほとんど(まったく)ぬか臭さはなかった。岩手県推奨のブランド米だったせいか、「ふだんのご飯よりおいしい」という声すら上がった。

おそらく精米機が進歩したということなのだろう。普通の精米でも無洗米のように調理可能という「おまけ知識」もゲットできた。

つくってみよう(カレー編)

お米と同様に、ポリエチレン袋にミックスベジタブル、ツナ缶を入れる。ワークショップでは、ミックスベジタブルは1人用の小パック(100グラムほど)1袋、ツナ缶4分の1を使用。

カレールーをひとカケ、飲料水を100ミリリットル弱入れてもみもみ。

ご飯と同様に袋を閉じ、印をつけて、湯煎に投入。

調理はこれで完了。

湯煎の時間はご飯と同様、30分ほど。出来上がり加減を確認して湯煎から上げる。もちろん、ご飯とカレーを同じ湯煎鍋に入れてもOKだ。

※ ワークショップではミックスベジタブルとツナ缶を使ったが、具はいつものカレーと同じでも大丈夫。生野菜でも生肉でも湯煎調理で美味しく仕上がる。

でき上がったご飯とカレーは、新聞紙でつくったお皿にポリ袋事ごとすっぽり入れて、「いただきま〜す!」

防災ワークショップ「新聞紙でカレー皿をつくる」
 防災ワークショップ「新聞紙でカレー皿をつくる」
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この調理法が緊急時にいかに優れているか、そのポイントを以下に紹介する。

飲料水を使う量が少ない

災害などの際には飲料水はきわめて貴重だ。ポリ袋を湯煎してつくるこの調理法なら、お茶碗一杯ののご飯に100ミリリットル、カレーにも100ミリリットル使うだけ。それぞれ一食分だから無駄がない。

湯煎用の水は飲める水でなくてもOK。調理する食べ物はポリ袋で密封するから、湯煎用には雨水でも、川の水でも使える。

洗い物が少ない

鍋を使って直火で調理すると、鍋やお玉などの洗い物が出る。それぞれが食器を使えば、その洗い物のための水も必要になる。食べ物を洗うわけだから、汚れた水では不衛生。最低でも調理器具や食器をすすぐ際には貴重な飲料水を使わなければならない。洗い物が少ないという点でも、飲料水の節約になる。

ゴミが少ない

調理したポリ袋をそのまま新聞紙のお皿にセットして使うので、食後に出るゴミは、新聞紙とポリ袋だけ。どちらも小さく畳めるからゴミも少なくて済む。

ポリ袋を新聞紙皿でくるんで折り畳んで捨てれば、衛生上も若干の効果が期待できる(生ゴミそのままでは、すぐに臭いがきつくなるし虫も発生しやすい。新聞紙でくるむことで、多少なりとも対策になる)。

見た目はイマイチだが、中味はかなりの絶品
見た目はイマイチだが、中味はかなりの絶品

個人の好みに対応できる(重要!)

給食の定番でもあるし、ほとんど国民食のイメージがあるカレーだが、なかにはカレーは苦手という人もいる。同じカレーでも辛口がいいとか甘口じゃないと食べられないなど個人の好みは多彩だ。

災害時なのだから我慢しろ、という考え方もあるかもしれないが、それは違うと思う。日常でない状況を強いられているからこそ、食事をとおして少しでも心の安らぎが得られた方がいいに決まっている。

一人分ずつポリ袋で密閉して調理するから、辛口のルーでも、甘口のルーでも、クリームシチューのルーでも、ルーの代わりに醤油と塩と砂糖を入れて肉じゃがにしてもいい。

もちろん、ご飯の炊き加減も思いのまま。水を増やせば柔らかく炊けるし、さらに水の量を増やせばお粥のように炊くことも可能だ。

食べ盛りの若者向けに量を増やすこともできるし(食材が十分あればの話だが)、減らすこともできる。

つまり、子どもからお年寄りまでたくさんの人がいる避難所などで炊き出しをする際に、個々の好みに合わせた食事を提供できるということだ。大鍋を使った調理では、とてもこんなことは実現できない。

ユニバーサル・デザインな調理法である(きわめて重要!!)

一人分ずつの調理なので、アレルギー対応という点でも優れている。

宗教などで食の禁忌がある人にもやさしい調理法だ。

※ 湯煎鍋に入れる際に、はっきり自分のものであることが分かる印を付けることが大切なのは言うまでもない。

ポリ袋を利用した湯煎調理に関しては、安全上の問題を指摘する人もあるが、あくまでも災害という緊急時の対応ということを考えれば、危険性よりもメリットの方がはるかに大きいことが理解できるだろう。

注意したいのは、ポリエチレン袋はマルで、ビニル袋はバツだということ。素材によって耐熱温度が違うからだ。チャック付き袋でもチャック部分に耐熱温度が低い素材が使われている場合がある。

ちなみにポリエチレンの耐熱温度は110℃〜130℃ほど。鍋の底や縁に直接接すると袋が融ける可能性があるので、その点は要注意。

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